
2020年から商用サービスが開始する「5G」。消費者の生活やビジネスを大幅にアップデートする可能性を秘めた技術だ。その一方で、多くの会社が悩む「50G」問題をご存じだろうか。企業の現場に自ら入り込み、目標を「絶対達成」させるコンサルタントの横山信弘氏が「50G」問題に切り込む。
「5G(ファイブジー)」の意味が分からない人たち
「おい、5G(ファイブジー)って、ケータイの通信速度が速くなるだけだろ。ゲームしたり、映画を見たりしない俺なんかには、関係がない話だ」
「いや部長、それだけじゃないですが」
「それだけじゃないって、何だよ?」
ある日のことだ。クライアント企業の社長と一緒にランチしている際、隣の個室から、このような会話が聞こえてきた。社長は手にした小鉢を置きながら、あきれた表情で言った。
「うちの会社にも、いますよ。ああいう管理職」
誰のことを指しているのか、何となく見当がついた。しかし私は口に出さなかった。
「あれほど報道されているのに、5Gが直接、自分の事業に関係がないと、関心を持たないのでしょうか」
「その思考のクセ、はやく治してもらわないと困る。年齢とともに、ドンドン感度が鈍くなっていく管理職が多いんだ」
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。このクライアント企業には2年前から支援に入っている。最近ようやく業績を好転させ、低迷期からは脱した。そのお祝いに、ということもあり、社長からランチに誘われたのだ。しかし、社長の気は晴れないままだ。
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社長を悩ます「50G」問題
「50歳以上の管理職9人を、どうするか。本当に、頭が痛い」
「御社だけの問題ではなく、日本の問題になりつつありますね」
社長は腕を組んだまま黙り込んだ。50代の管理職たちに手を焼いているという。実際に、私どもコンサルタントが支援に入ってからの2年。社長と一緒に進めてきた組織改革に、ことごとく異を唱えてきたのが、この50代管理職たちだ。彼らの激しい抵抗さえなければ、もう1年前倒しで業績も復活していただろうと社長とも話していた。
私はこのような50代男性管理職たちを「50G(フィフティ―ジー)」と呼んでいる。「50G」とは、50代という年齢と世代(ジェネレーション)、そして年老いた男性(ジー)を掛け合わせた造語だ。昨今、年功序列の恩恵にあずかり、高給取りでありながら会社への貢献度の低い男性社員を「働かないおじさん」と呼ぶそうだ。しかし、あまりに表現がストレートすぎて、この言葉の使い勝手は悪い。だから、私はあえて暗号的な「50G」を使う。
日経ビジネス10月14日号では「トヨタも悩む 新50代問題 もうリストラでは解決できない」という特集が組まれた。日本を代表する企業のトヨタ自動車でさえも「50G問題」に悩む時代だ。味の素も先日、50代管理職に対して希望退職を募った。ひと昔前であれば「安定企業」だった、銀行や証券会社においても大リストラ時代が始まっている。多くの会社のケースでは「業績低迷」のリストラではなく、テクノロジーの発展によって余剰化する人員の整理が目的だ。だから問題は根深く、厄介だ。
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働き方改革と「5G」
ついでだから、ここで次世代移動通信システム「5G」について簡単に触れておこう。2019年1月、世界最大のテクノロジー見本市「CES2019」において、米ベライゾン・コミュニケーションズのCEOが基調講演で語ったのが、この「5G」だ。このことからも分かるように、「5G」が世界で最も注目されている次世代技術であることは間違いない。
その特徴は、「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3つといわれている。私は前述した社長に、「5Gは組織マネジメントにおいても、重要な意味を持ちます」と言った。すると社長は「5Gが、組織マネジメントに? どういうことです?」と聞いてきた。私は「生産性アップを極限までアップするのに、使える」と言った。
働き方改革時代となり、いまや日本企業は、異次元なほどに高い生産性が求められるようになった。だから、組織のレポートライン(指揮命令や情報共有の経路のこと)は「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」が望ましい。分かりやすく書くと、
- 超高速……組織階層を飛ばして、しかるべき人へスピーディーに情報伝達する
- 超低遅延……伝えたいことが相手にすぐ伝わり、理解される
- 多数同時接続……リアルやネットのコミュニケーション手段を同時に使いこなせる
このようになる。
しかし、現実は違う。特に大企業だと、命令系統や、情報伝達のラインがとても複雑になり、「レポートラインの中継地」だけ担っている中間管理職も驚くほど多い。その中間管理職の代表格こそ、50代の男性――「50G」だ。
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50Gは企業の「絶縁体」
「50G」は「超低遅延」を強みとする5Gの真逆で「超高遅延」だ。つまり、伝えたいことが相手にすぐに伝わらず、理解されない。以下の会話例を読んでほしい。
「部長、新事業の企画書を読んでもらえたでしょうか。もう2週間も返事をいただいていません」
「2週間って? そもそも返事しなければダメだったのか」
「何を言ってるんですか。時間がないって、念を押しましたよ」
「そうだったか? ま、読んだけど、ダメだ。こんな内容で、新事業を任せられない」
「え? こんなに待たせておいて何を言ってるんですか。以前も話した通り、メンバー6人ともやる気になってるんですよ」
「だいたい、こんな予算どこにあるんだ? もっと考えて企画書を作れ」
「予算は確保できます」
「ダメだ。こんな内容じゃあ、経営陣からゴーサインはもらえん」
「専務には了承をもらってます」
「え、専務に?」
「そうです」
「専務が了承してる? それ、はやく言ってよ」
「企画書に書いてあったじゃないですか。読んでないんですか」
「……」
レポートラインの中継地にいるだけの中間管理職が、このように「早とちり」したり、「結果ありき」で話していたりしたら、いつまでたっても話が前に進まない。先日も、別のクライアント企業で「そういうことは俺じゃなくて、部長に聞いてよ」と言って、まるで意思決定しない課長がいた。「部長が、課長に聞けと言ってるんです」と部下が食い下がっても、「いやいや、俺じゃなくて部長だよ。絶対に部長だ。部長に聞いてくれ」と言って譲らなかった。自分では何も決められないような、こんな「絶縁体」のような中間管理職がいたら、組織そのものが「超高遅延」の状態になってしまう。
50Gの責任は会社にも
5Gは、ビジネスにおいて「破壊的イノベーション」をもたらすといわれている。しかし50Gは、「破壊的現状維持」をもたらすだろう。しかし、50Gの大半は、組織の功労者だ。現在会社への貢献度が低いからといって、リストラ対象にするのは身勝手すぎる。
話を社長とのランチに戻そう。コースランチのメインディッシュが運ばれてきた。国産黒毛和牛のステーキだった。社長は一度箸を持ち上げたが、ため息をついた後、そっと箸をおいた。そして、「うまいものばかり食べていると、ありがたみがなくなってくる」と言った。「感覚がまひしてくるんだ。これだとよくない」社長がそう言うので、私はうなずいた。社長が言いたいことは、何となく分かった。
会社が、50Gを突き放すのは簡単だ。しかし、そのようなぬるい環境に身を置かせ、感覚をまひさせた会社にも責任がある。50代になってからでは遅い。40代、いや30代のころから、将来のキャリア形成と、それに見合った教育や啓発を、会社が責任もってしていかなければならない。今はそういう時代だと、しみじみ思う。
著者プロフィール・横山信弘(よこやまのぶひろ)

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。メルマガ「草創花伝」は4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。
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December 19, 2019 at 06:00AM
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