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Wednesday, February 26, 2020

第9回 広報のためのサステナブル・ブランディング入門 (9) - 株式会社 博展(サステナブル・ブランド企画推進室)

知る人ぞ知る、「京都百味會(きょうとひゃくみかい)」。京都の老舗中の老舗が集まる京名物の神髄ともいえる組織です。今回は老舗企業に焦点をあて、サステナブルなブランドであるための奥義を学びます。

京都百味會

京都百味會は、京都の老舗中の老舗67店で構成される組織です。懐石料理の「瓢亭」、八ッ橋の「聖護院八ッ橋総本店」、羊羹の「とらや」など『1名物1店』の原則で結成されており、追加入を一切認めていない、京名物の真骨頂ともいえる老舗の集まりです。これまで表立った取材に応じてきませんでしたが、昨年のNHKスペシャルで取り上げられたこともあり、一段と注目されました。

百味會が結成されたのは、戦後に物資不足などで苦境に置かれたお店同士が助け合ったことが発端といわれています。以来、さまざまな活動を通じて、会員同士が交流を深め、高め合うことで、現在の『京名物ブランド』を創り上げてきました。

ところがこの世界においても、かつてない時代の変化にさらされ、栄枯盛衰が見受けられようになりました。グローバル化の急速な進展、時代の価値観の著しい変化によって、『老舗』だけではなかなか持たなくなっているようです。

どうすれば伝統を守りながら、いまの時代にも通用する老舗として、暖簾(のれん)をつないでいけるのか。この命題に挑むには、同業や近隣の『よそさん』をながめてみるだけでは糸口がつかめないようです。これまでのやり方ではやっていけないという切迫感があります。この経営環境の激変にネガティブになるではなく、この状況をむしろオポチュニティ(商機)と捉え、チャレンジしていくことがこれからの成否を分かちます。

そこで、老舗の「暖簾(のれん)」を時代と調和(ハーモナイズ)させ、さらに栄えある歴史を紡いでいくことができるように、「サステナブル・ブランディング」のメソッドに基づいて検証してみます。

老舗企業出現率は、京都が一番

帝国データバンクの 「老舗企業」の実態調査(2019年)によれば、業歴100年以上の「老舗企業」、全国に約3万3000社があることが判明しました。約147万社のデータベースのうち、老舗が占める割合(老舗企業出現率)は2.27%となりました。

都道府県別に見ると、社数では東京都(3363社)がトップ。老舗企業出現率が最も高かったのは、やはり「京都府」の 4.73%でした。京都府は伝統工芸を守り育てる土壌があったことなどが、老舗企業の存続に大きく寄与したとのことです。

ただ京都の老舗というと、すぐに祇園や四条河原町、西陣などにある仏具や和装関係、食品、陶磁器、伝統工芸品などのお店が思い浮かびますが、それだけではありません。古くからある写真館がその写真製版技術をベースにして電子回路基板の製造を始めた企業、仏具や屏風(びょうぶ)に使われる金銀の箔粉を作っていたところから、自動車や電子機器に使われる金属箔に分野を広げた企業、呉服取り扱いから織物メーカーとなり、そこから自動車や飛行機の内装材メーカーとなった企業など、時代の変化を味方につけ快走する企業も多くあります。

創業時から扱ってきた素材やノウハウが先端技術に戦略的に応用される成功事例があります。長い時間をかけて家業と向き合ってきたことが、素材やノウハウに対して新しい着眼点や発想が芽生え、現代のビジネスで優位に立つことができます。そこには強運もあったかもしれませんが、時代の流れをつかまえる力(社会的感受性:Sensitivity)が備わっていたからこそ、結実したといえましょう。

老舗企業は地域の名士であり、ゆったりと緩やかな時間が流れているイメージもありますが、実は、ここまでの長きにわたる時間は挑戦の積み重ねということができます。

老舗企業に学ぶ「サステナビリティ経営」

帝国データバンクの老舗企業向けのアンケートで、「老舗として大事なこと、重要視すべきことを漢字1文字で表すと?」という問いがあります。圧倒的な支持を集めた文字が信用、信頼の「信」。2位以下は「誠」「継」「心」、「真」と続きました。これらの文字から読み取れるのは、長きにわたってお客様や取引先、地域、そして社員と信頼関係を築き、真心を込めた商いを継続してきたこと。そんな老舗の基盤を形づくる信念や想いが伝わってきます。ここに老舗の真骨頂があります。

サステナビリティ時代の企業経営においても、「誠実な対応」こそが、社員はもとより、お客様、株主、取引先、地域社会といった、自社を支えてくれている人たち(ステークホルダー)との信頼関係づくりの鉄則であり、企業の持続可能な成長の王道といえます。現代において、信用・信頼は「見えない資産」であり、企業競争力といえます。経営者の高い志が熱い理念を生み、その理念が社内で共有(インターナル・ブランディング)されれば、企業行動全般で『自社らしさ』が発露します。社員のやる気を培い、一挙手一投足に「ブランド力」が醸し出されます。こうした組織風土こそが、持続的な競争優位の源泉といえます。

悠久の歳月を経て輝き続けている企業の経営者は、「うちは老舗といわれるけど、いつも『変』わり続けて、『新』しいことをやってこなくては、ここまで続いていられないですよ」と口を揃えて語ります。老舗の暖簾(のれん)は、「信用」という裏打ちがなされつつも、メンテナンスをしていかないとやがてボロボロになっていくからです。老舗といえば、どんなことがあっても古いのれんを守り抜くといった印象を持ってしましがちですが、実像はそうではないようです。

変わらないでいるためには、変わらなくてはならない

ブランドは手をこまねいていると老けます、錆びます、朽ち果てます。いつの時代にも変わらない存在でいるためには、変わらなくてはなりません。「進取の気性」をスローガンに掲げる企業も多くあります。それは、『過去から脱皮して新しいものを志向する』という表層的な意味あいのみならず、積極的に新しい物事へ取り組んでいこうという気質や性格こそが、創業時からの自社のDNAであるというのが本意だといえます。

どんな老舗でも時代に合わせて変化していかなければなりません。老舗の味は「懐かしい」だけでなく、「これからも食べたい」ものであることが大事です。

懐かしいけど新しい、新しいけど懐かしい…。

自社の強み(自社らしさ)を、時代にふさわしく磨きをかける戦略メソッドが「サステナブル・ブランディング」です。

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February 27, 2020 at 06:41AM
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