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Thursday, February 6, 2020

会社を「踏み台」にしてもOK 人材が集まる職場の作り方 - 日経ビジネス電子版

全4546文字

ようやく動き始めた伝統企業に対し、先進的な企業は一歩前に行っている。自社内に起業のサイクルを作る、経営の意思決定にコミットさせる……。共通項は、成長につながる場を提供し、そこから羽ばたくこともいとわない柔軟性だ。

 2019年12月に東証マザーズに上場を果たしたマクアケ。13年の創業以来、国内のクラウドファンディング市場を一から作り上げてきた存在だ。

 このマクアケはインターネット広告大手、サイバーエージェントの新規事業として生まれた会社だ。社長の中山亮太郎氏は、サイバーの社長を務める藤田晋氏のアシスタントやメディア事業の立ち上げを経験している。

 マクアケが象徴的だが、サイバー出身者には起業家として活躍する人が少なくない。新規事業が比較的容易なネットビジネスに軸足を置いていることも一因だが、それ以上に、社員の才能を開花させる仕組みが社内にあることが大きい。それゆえに、多くの若者がサイバーの門をたたく。

 社員の才能を開花させる舞台としては「あした会議」の存在が挙げられる。06年以来、続けている新規事業コンテストだ。会議の1カ月ほど前に役員が若手社員4~5人を指名し、指名された者たちは毎週集まって議論し新規事業を提案する。これがビジネスと人材育成の両面で効果を発揮している。

「提案」「抜擢」「挑戦」「支援」の好循環がある
●サイバーエージェント流 経営人材を生む仕組み

(写真=藤田氏:Rodrigo Reyes Marin/アフロ、須田氏:竹井 俊晴)

 ビジネス面では、これまでに誕生した27社で少なくとも売上高2500億円、営業利益で350億円を稼ぎ出した。

 人材育成という面で見ると、経営者育成の場として機能している。

 あした会議で提案されるアイデアは議論の中で生まれるボトムアップのものもあれば、役員が温めていた案を出すものがあるなど様々だが、いったん採用されればすぐに会社を作る。

「過去の経験」より若手に機会

 その際、社長や取締役には20代の若手を抜擢することが多い。過去の経験が役に立つとは限らないからだ。

 そもそも新規事業は何が当たるか分からない。変化の速いネットビジネスはなおさらだ。一般に新規事業を立ち上げる際はある程度経験を積んだ人材を社長にするケースが多いが、成功するかどうかが分からないのなら若手社員でも構わない。それでうまくいけば手厚く報いる。仮に失敗しても、若い時の失敗は成長の糧。サイバーはセカンドチャンスを与えると明文化しているので、再チャレンジの機会もある。

 決断経験──。これは、サイバーが社員の才能を開花させる上で最も重要だと考えているものだ。投資判断など、社員が自分で決めて成功と失敗を学習する。その量と質が経営に必要な資質を磨くという哲学だ。そのために、若いうちに良質の決断の場を提供する。

 「経営者はサッカー選手やフィギュアスケート選手と同じ。若いうちに成功と失敗を経験する方が慣れる」。人事を統括する曽山哲人取締役はそう語る。

 これまでの経験から、経営者や起業家を育成するのは難しいとの結論に至ったが、育つ場を作ることは可能だということも分かった。それが若手社員に経営を委ねる理由である。

 サイバーには115のグループ会社がある(19年9月末時点)。社長1人に2人の取締役がつくとして、少なくとも300人以上の経営人材がグループ内にいる計算となる。経営人材の育成を唱える企業は多いが、これだけの数の経営者を生み出している企業はそう多くはないだろう。

 そして、誕生した経営者が組織全体を変えていく。

 若者をターゲットにしたウェブメディア「新R25」を運営するCyber Now。同社の須田瞬海社長は学生時代、特に起業を志していたわけではなかった。大学時代は野球部で、就職の時は単純に面白いことをしたいとメディア業界を漠然と希望していた。

 たまたま参加したサイバーの就職説明会で曽山取締役の話に関心を持ち、その帰りに藤田社長の著書を買った。そして、経営哲学に感銘を受けた須田氏はサイバーへの入社を決める。

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