Open Network Lab は21日、Seed Accelerator Program 第20期のスタートアップを披露するデモデイを開催した。このバッチには日本の内外から合計120チームのエントリがあり、うち6チームが採択され3ヶ月間にわたってメンタリングや支援を受けた。なお、Open Network Lab はプログラム開始から10周年を迎えた。
新型コロナウイルスの影響で、今回のデモデイはオンライン開催となった。いつものような審査員を迎えての表彰も省略されネットワーキング機会も無いため、Open Network Lab ではピッチを視聴した投資家や事業会社からフィードバックをもらい、輩出スタートアップの次ラウンドの資金調達支援などにつなげたいとしている。
第20期に採択され、デモデイに登壇したスタートアップは次の通り。
PalledAd by PalledAd
オフライン広告は、オンライン広告では狙えないオーディエンスにリーチできるメリットがある。しかし、エレベータサイネージやタクシー内広告などと対照的に、屋外広告は一般事業者にまだ有効に活用されているとは言えない。その理由は、オンライン広告と違い効果測定やデータの可視化が十分行われてこなかったため、投資額に見合った成果が得られるかどうかのシミュレーションが難しいこと、また、広告配信を行う窓口がバラバラであるため、直接広告枠を買うのが難しいこと、などが挙げられる。
「PalleDad」は、前述した屋外広告特有の2つのペインを解決するプラットフォームだ。人流データ × VR アイトラッキングにより、独自アルゴリズムで屋外広告のインプレッションを算出。500媒体以上の広告品質を評価し、出稿ユーザは予算とターゲットオーディエンスを指定するだけで、出稿先を選び依頼することができる。PalleDad が広告出稿者と媒体オーナーを取り次ぐことで、出稿料の15%を手数料として受け取る。現在、国内の広告代理店3社と商談中で、媒体オーナー10社から問い合わせが来ているという。
SignPlace by SignPlace
Z 世代(1990年代後半以降生まれ)の典型的な社会行動パターンとして、Instagram を使って人気スポットに行ったり、食事に行ったりすることが挙げられる。彼らはグルメアプリや観光アプリに頼らず、ハッシュタグ検索で Instagram などから情報を得ているが、ハッシュタグが乱用されたことにより、ユーザが本来望んだ検索結果にたどり着けない問題が生じている(ハッシュタグ汚染)。そのため、ユーザは自分だけのデータベースを作り、そこから必要に応じて情報を取り出すようになった(ストクる)。
しかし、「ストクる」行動にも課題があり、Instagram を使うと営業時間や店舗情報は改めて別のツールで調べ直す必要があり、LINE を使うとフロー型の SNS であるため遡って求める情報を探し出すのが大変で、Google Maps だと SNS ではないため友人やインフルエンサーのオススメから欲しい情報を集めることができない。そこで、友人と街の情報を共有できる形で「ストクる」行動を可能にする SNS として 「SignPlace」が開発された。将来は、ジオターゲティング広告や AR の展開などを予定。
aiPass by CUICIN
宿泊施設ではオペレーションの効率化が課題だが、その足かせの一つとなっているのが利用されているシステムの多さだ。例えば、あるホテルではベンダー15社・14システムが利用されていたという。このシステムの多さが宿泊業界の非効率、コスト高、レガシーさを招いていると考えた CUICIN は、宿泊施設の一連のオペレーションを単一 SaaS「aiPass」で一気通貫に処理できる仕組みを目指す。まずは手始めにチェックインから着手した。
3年間の保管義務、求められる項目が地方自治体によってバラバラであること、また、保健所が紙での記録・保存を推奨しているなどの理由から、レセプションでのチェックインでは宿泊客が紙に記入することが多い。このため、従業員1人あたり5.6時間/日、宿泊客1組あたり15分がチェックインに費やされている。一部ホテルでは自動チェックイン機が採用されているが、導入・運用コストが高いもののユーザビリティは良くない。そこで、CUICIN ではスマートフォンで事前チェックイン→チェックアウトできる仕組みを開発した。
2月に公開したプレビュー版では、従来は18ステップあったチェックインやチェックアウトのプロセスを、6ステップにまで減らすことに成功。現在はホテル運営会社4社と PoC を行っている。ユニークなのは、aiPass の基礎機能とは別に、ホテル毎に求められる追加機能(決済、スマートキー、館内リクエストなど)を他システムと連携する API としてカスタマイズ開発する点だ。同社では共同開発モデルを導入するホテルには基礎機能を無料提供し API 開発でマネタイズ、後に他ホテルには SaaS モデルで提供する。
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フクスケ by フクスケ
厚生労働省の旗振りにより2018年に解禁となった副業制度は、2027年には全従業員への展開が目指されている。一方で、副業制度を導入することで、企業にとっては従業員の隠れ過重労働、副業を踏み台にした反社会勢力の侵入、営業秘密の情報漏洩などリスクも高まる。リスクを最小化するために、企業は適正な副業制度を構築・運用する必要があるが、これには最新の労働法に沿った専門知識が必要で、企業の人事部門だけで整備するには困難を伴う。
「フクスケ」は、企業の副業制度に向けた制度設計・制度運用・事故対応を一気通貫で提供できるクラウドサービスだ。200件以上の事故事例を元に作成された、弁護士や社労士監修のフレームワークを使って、企業は独自の副業制度を簡単に設計できる。厚生労働省の副業ガイドラインにも準拠しており、クラウドであるため加除式コンテンツへの対応も可能だ。社員からの副業内容の入力に応じて、第三者視点からリスク判定するサービスも提供。三井住友海上と開発した情報漏洩リスク保険も提供する。
これまでに企業から17件の問い合わせを受け全てが商談化。従業員人数の10%分のアカウントを、1アカウントあたり1ヶ月1,200円で購入してもらうサブスクモデルで、すでに有料ユーザが3社いるという。オプションで Kintone など他 SaaS とも連携予定。当初は大企業向けのパッケージプラン提供から着手し、2022年には必要機能を細分化した廉価版を中小企業向けに提供する計画だ。
ANIPOS by ANIPOS
日本のペット保険の加入率は7.7%と、13頭に1頭が加入している計算になる。年率20%と成長は著しいものの、年間に100万件(潜在件数)に及ぶ保険金の未申請の多さが業界の大きな課題となっている。保険金を申請しなかった理由について加入者に尋ねたところ、保険に入っていることを忘れていた、あるいは、申請方法が難しく面倒さから保険金を申請しなかった、という回答が多かった。保険会社には加入者に対する利便性向上と業務効率化が求められるが、この2つのテーマはトレードオフの関係で実現が難しい。
「ANIPOS」は、保険加入者向けのモバイルアプリと、保険会社向けの業務効率化ができる Web ダッシュボードで構成されるプラットフォームだ。加入者は動物病院でもらった診療明細書の写真をスマホで撮影するだけで保険金の申請が完了。保険会社はダッシュボードを通じて、申請の受理や AI-OCR によるデータのデジタル読込や保険金査定の自動化が行える。国内のペット保険会社16社中、コンタクトした6社全てと商談が進行中。うち、1社とはデータ学習や経営インパクトを検証する PoC を実施中だ。
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Tippsy Sake by Tippsy
アメリカでは ミレニアルを中心に Sake Bomb をきっかけに認知度を高めた日本酒だが、近年ではクールな飲み物として認知され、日本食以外のレストランで食事とのペアリングに使われたり、クラフト SAKE ブルワリーなども展開されたりするようになった。醸造酒という括りでワインカテゴリで見れば、日本酒はロゼやスパークリングを抜く成長市場として注目を集めているという。
一方で、Tippsy が800人の消費者にアンケートを実施したところ、レストランで日本酒を飲んだこともあるものの、買う場所が近くに無かったり買い方がわからなかったりという理由から、自らストアで日本酒を購入した人は少なかったという。アメリカでは、禁酒法時代に制定された免許の都合上、州境を越えての酒販が許されていなかった。これがアルコール飲料のサプライチェーンやブランドコミュニケーションに影響し、これまで日本酒の効果的なマーケティング展開を阻んできた。
ロサンゼルスに拠点を置く「Tippsy Sake」は、全米に日本酒を届ける EC プラットフォーム。酒蔵毎のストーリーテリングなどブランドコミュニケーションに注力し、日本酒に不案内なアメリカ人にも味の違いをわかりやすく紹介している。300種類以上の日本酒ブランドへのアクセスを提供し、日本酒初心者には、毎回異なる銘柄が送られてくるミニボトルによるサブスクリプションサービスも用意した。
規制緩和の影響もあり酒販がオンラインへと移行する追い風を受ける中、Tippsy Sake はローンチから1年間で月商が当初の5倍の9万米ドルににまで成長。これまでにシードラウンドで50万米ドルを調達しており、年内には売上10億円規模を目指し自社ブランドを立ち上げるることが目標だ。将来はアメリカで日本酒の卸も手掛け、市場シェア10%を目指すとしている。
Open Network Lab プログラムディレクターの佐藤直紀氏によれば、今回の第20期の修了を受け、Open Network Lab は通算で120組のスタートアップを輩出したことになる。また、前回第19期までの輩出スタートアップの、次期資金調達達成率は60.4%、イグジット率は13.5%に達しているとのことだ。
第20期デモデイの開催とともに、第21期への応募受付が開始された。第21期への申込締切は、5月29日の正午となっている。
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"であるために" - Google ニュース
April 22, 2020 at 12:25AM
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Open Network Labが第20期プログラムのデモデイを開催、新型コロナの影響で採択6チームはオンラインでピッチ - THE BRIDGE,Inc. / 株式会社THE BRIDGE
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