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Thursday, May 28, 2020

トランプ大統領、SNS標的の大統領命令に署名。通信品位法第230条の見直しを指示 - Engadget日本版

The Washington Post via Getty Images
ドナルド・トランプ米大統領がFacebook、Google、Twitterなどのオンラインプラットフォームによる「検閲」を取り締まるための大統領命令に署名しました。この動きは、大統領が「郵送投票は実質的に不正な行為だ」と主張した2件のツイートに対しTwitterが"要事実確認"のラベル付けをしたことをきっかけとしたものです。大統領は命令への署名に際し「率直に言って、われわれは今日米国の歴史で直面した最大の危機のひとつから言論の自由を守るためにここへ来た」と述べました。
トランプ大統領が、Twitterに投稿した2件のツイートに"要事実確認"のラベル付けをされ激怒した話は昨日お伝えしたとおりですが、この件に対しホワイトハウスは、インターネットサービスがユーザーから投稿されたコンテンツに対する最終的な責任を問われない根拠とされる、米通信品位法第230条にメスを入れようとしています。米通信品位法第230条が制定された背景には、1990年代半ばに当時のパソコン通信企業を相手取って起こされた2件の訴訟問題があります。

まず一方は、Conpuserveが、フォーラム(会議室システム)にニュース会社が配信した情報に名誉毀損的内容が含まれていたことに対し起こされた訴訟において、自らは単なるコンテンツ"ディストリビューター"で、配信内容の責任はニュース会社にあるとしたことで責任を問われなかった事例。

もう一方は、同じくパソコン通信企業のProdigyが、掲示板(BBS)に書き込まれたやはり名誉毀損的情報について訴訟起こされたものの、同社は「家族が安心して楽しめるサービスを提供する」とのポリシーのもと普段はユーザーが不快な思いをする可能性がある書き込み内容を削除する対応をしていために、掲示内容の編集権があるとされ、コンテンツ"パブリッシャー"であると判断され責任を問われた事例です。

2つの問題を並べて見比べると、Prodigyのほうが普段から良心的かつ顧客に有益なサービスを提供していたにもかかわらず、法的にはCompuserveのほうが正しいという、矛盾した結果が生まれます。この状況を整理するために導入されたのが、ユーザー参加型の"双方向コンピュータサービス"企業は第三者によって提供されたコンテンツに対して、一部の例外を除き法的責任はないと定める通信品位法第230条です。

ただし、そのままだと挑発的、過度に暴力的、誹謗中傷、または卑猥や不潔といった、いわゆる公序良俗に反する内容の情報が溢れかえっても、誰も手を付けない状況になりかねません。230条ではプラットフォーム事業者、またはプラットフォーム利用者がこれら条件に反すると判断したコンテンツを削除しても、プラットフォーム側は責任を負わないとしており、その結果プラットフォーム側が提供したくない情報については、提供しなくても良いとも解釈できる状況を生み出しています。

インターネット企業の多くはシリコンバレーを本拠としており、そこはリベラル色が特に強い地域であるため、Twitterが公正だと思っていてもその判断が自然と反保守的になっている可能性はあるかもしれません。しかし現状では230条によってそれが許されている状況であり、大統領命令はこの保護を取り去ろうとしていると、Wall Street Journalなどは伝えています。ただ、230条については民主党のジョー・バイデン氏やバーニー・サンダース氏らもインターネット企業に過度の免債を与えるものだとして改正もしくは廃止を求めており、またソーシャルメディアに反保守的なバイアスがあることを示す決定的な証拠もありません。

今回大統領が出した命令は、2019年8月にホワイトハウスが用意していた案をベースとしたものと指摘されます。The Guardianによれば、この大統領命令(草稿)はソーシャルメディアプラットフォームが投稿されたコンテンツの編集を禁止することで、今回のように大統領のツイートへのラベル付けをできなくするとともに「不正なポリシー」を取り除くことで政治的な中立性を導入させようとするものだと解釈されるとのこと。

大統領は長年Twitterを活用して自らの主張を述べてきましたが、その一方で、ソーシャルメディア企業が保守派に偏っていることにも長く批判をしてきています。今回の命令への署名に際してもTwitterを名指しし、「いずれ閉鎖させることになるだろうが法的手続きが必要だろう」「合法的に閉鎖できるようになればそうする」とまで述べています。

ちなみに、大統領にとっていまは11月の大統領選挙で再選を果たすための重要な時期。最近はアメリカ国内の死者が10万人を超えた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応を批判する声も高まっています。一部では今回の大統領命令は、そうした国民の不満から注意をそらし、保守派の支持を固めたいのではとの見方もあり、民主党のナンシー・ペロシ議員は「残念なことに大統領令は、COVID-19に打ち勝つための国家的戦略提供に失敗したことを覆い隠すための必死の試みだ」と述べました。

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May 29, 2020 at 05:12AM
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