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Friday, July 3, 2020

<食卓ものがたり>家康に献上 濃厚な味 折戸ナス(静岡市清水区) - 東京新聞

収穫前の折戸ナスを手にする遠藤重人さん=静岡市清水区で

収穫前の折戸ナスを手にする遠藤重人さん=静岡市清水区で

 一富士二鷹(たか)三茄子(なすび)。初夢で見ると縁起がいいといわれるナスは、秀麗な富士山を望む三保松原で知られる折戸(おりど)地区(静岡市清水区)で生産されてきた在来種、折戸ナスとされる。江戸時代の随筆「甲子夜話(かっしやわ)」によると、徳川家康に早出しの貴重な品として献上され、その後も江戸の将軍家に飛脚で届けられてきたという。

 「今年は晴天が続いて例年にない豊作」。六月中旬、週三回の出荷で大忙しの遠藤重人(しげひと)さん(52)は笑顔を見せた。ハウス二棟(計約七百六十平方メートル)で人の背丈ほどに育った枝には、テニスボール大の丸っこいナスがたわわに実る。大きいものだとソフトボールくらいで二百グラムにも。つややかな紫色がまぶしい。日照時間が長く、砂地で水はけのよい温暖な土地が、家康を魅了した名産をはぐくむ。

 農家でつくる「折戸なす研究会」の柴田明生さん(64)によると、献上先がなくなった明治時代にいったん途絶えた。しかし地域活性化のため静岡県が二〇〇五年、種を保存していた国の研究機関「農研機構」から五十粒を譲り受け、三農家が復活させた。

 〇七年から地元や首都圏に出荷を始め、現在は七農家が約二十五アールで年間十〜十二トンを生産する。二月に種をまき、三〜四月に定植。四月には花が咲き五月から収穫が始まる。八月前半に一度葉や枝を切り落として、九月から年内にかけて秋ナスの収穫だ。

 葉や茎、へたの部分に鋭いとげがあるため、丁寧に作業しないと手指だけでなくナスが傷だらけになる。病害虫対策にも気を使う。実がなる間隔が短く、収穫の回転が速い「忙しい作物」(柴田さん)だが、一株当たりの収穫個数は長ナスの半分程度とか。柴田さんは「収量を増やしたい。まだまだ生産性を上げる余地がある」と話す。

 加熱すると甘みが増す折戸ナス。素揚げしてめんつゆに付けて食べたら、濃厚な味が口の中に広がった。みそやチーズとも相性がよさそうだ。家康はどんな食べ方をしたのだろうか。空想も広がった。

 文・写真 五十住和樹

◆買う

 折戸ナスは6月から7月前半が出荷の最盛期。9月後半から10月は秋ナスがピーク。JAしみずのアンテナショップ「きらり」(静岡市清水区庵原町)で販売するほか、同店のインターネットショップなどで購入できる。箱入り11個=写真、JAしみず提供=が3000円。送料別。問い合わせは同店=電(0120)322064。受付時間は午前9時〜午後5時で、火曜定休。

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