Paypalの創業者で、投資家のピーター・ティールが2003年に立ち上げたデータ分析企業「パランティア」。同社は膨大なデータを統合し、分析することで人間でも見落としてしまうパターンを見つけ出すソフトウェアが売りだ。 【画像】(はじめから読む)謎のデータ分析企業「パランティア」その実態に迫る
個人情報を扱う面もあるために、プライバシー保護の観点から問題視されることも多々ある。だが、その実態はいまだに謎に包まれている。ニューヨーク・タイムズ・マガジンがその内情を明らかにした。「西側諸国を支援するために立ち上げた」
2019年秋のある晴れた火曜日の午後、パリのリュクサンブール公園でアレックス・カープ(53)が太極拳をしていた。青のナイキのスウェットパンツに、青のポロシャツ。靴下はオレンジで、スニーカーはチャコールグレー。赤のアクセントが入った白縁のサングラスが、彼の最大の特徴である天に向かって逆立つゴマ塩の髪を引き立てていた。 栗の木の木陰でカープは太極拳と気功の一連の優雅な動きをする。体をひねったり、向きを変えたりするたびに足元の小石や土がわずかに動いた。その姿を、近くにいた10代の若者たちが面白そうに眺める。 10分ほど、そうやって体を動かした後、カープは近くのベンチに行った。そのベンチにはボディーガードの一人が置いた楽器ケースのようなクーラーボックスがある。 ケースにはカープが愛飲するドイツのノンアルコールビールの瓶も数本入っているが、いま中から取り出したのは次の動きで使う木剣だった(ビールのほうは後で公園を出るときに1本開けた)。カープは剣で空を切り裂きながら、何事もないかのように言った。 「前回、この公園で本物の剣を使っていたら警察に止められてしまってね」 そのフランス人の警察官たちは、カープが危険人物ではなく、フランスの治安維持の一端を担うソフトウェアを作った米国企業のCEOだとは思いもよらなかっただろう。その米国企業とはパランティア・テクノロジーズ。この社名はJ・R・R・トールキンの長編小説『指輪物語』に出てくる遠見の石「パランティア」から採られた。 同社の主要ソフトウェアは「ゴッサム」と「ファウンドリー」の2種類だ。いずれも膨大な量のデータを集めて処理し、人間のアナリストが見落としてしまいがちなつながりやパターン、トレンドを見つけ出す。 「データ統合」によって組織がいい決断を下せるようにするのがこの会社の目標だ。実際、同社の顧客の多くが、パランティアの技術によって組織が変貌を遂げたと語る。だが、カープには、もっと壮大なビジョンもある。 「この会社を作ったのは西側諸国を支えるためでもあるんです」 だからパランティアは、米国とその同盟国に敵対するとされる国々、つまりロシアや中国ではビジネスをしない。 創業初期の頃、同社の従業員がトールキンの『指輪物語』に思いをはせ、「シャイア(ホビット庄)を守れ」を自社のミッションとして掲げていたときもあったという。
からの記事と詳細 ( ピーター・ティールが立ち上げた謎のデータ分析企業「パランティア」の実態に迫る(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
https://ift.tt/3c3WFfd
No comments:
Post a Comment