特集は、北信濃の初夏の味「ネマガリダケ」です。新型コロナウイルスの影響で、去年（2020年）は入山規制した長野県高山村で、2年ぶりに収穫が「解禁」されました。早速、名人に同行。地域の伝統食「ひんのべ」も入れた絶品タケノコ汁も紹介します。
歯ざわりのよいネマガリダケに、サバの水煮でうま味を増したみそ汁。北信濃に「タケノコ汁」の季節が巡ってきました。5月29日に入山規制が解かれた高山村。この日もネマガリダケ採りを待ちわびた人達が次々と訪れていました。
入山者：
「待ち遠しかった。毎年来てるから」
「前々から楽しみにしていたので、解禁になって来た」
去年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い入山規制が解かれず、2年ぶりの収穫解禁です。
地元の住民でネマガリダケを採って50年になる宮川栄一さんも本格的に収穫するのは2年ぶり。5月31日、山に同行させてもらいました。
宮川栄一さん：
「標高の高いところはまだ出が鈍い感じ。普通のならいいのが出るんですけどちょっと細い」
ネマガリダケの正式名称は「チシマザサ」。県内では北部の山が主な産地です。5月に気温が上がらなかったためか、標高およそ1200メートルのこの場所は、まだ時期が早かったようです。
宮川栄一さん：
「そこに一本あるんだけど採れます？」
記者：
「全然わからないです」
宮川栄一さん：
「もっと腰を低くして。竹山はなるべく地面に近づいて見て動く」
記者：
「ありました！大きい、気持ちいいですね」
すると、宮川さんがあるものを見つけました。
宮川栄一さん：
「これクマが折ったやつ」
クマが食べたとみられる跡。近くには皮も捨てられていました。
宮川栄一さん：
「クマのいるところに人間が来るんだから、『ごめんなさい』と思って採りに来るのが普通」
山ではクマに人間の存在を知らせるための鈴や笛が必要です。
なかなか見つからず、場所を変えながら探していくと…。
宮川栄一さん：
「この辺が今一番いいところかな」
さすが、名人。ネマガリダケは集まって生えていることが多く、ここは「当たり」の場所です。
宮川栄一さん：
「いいタケノコですね。こんな感じで採れればいいよね」
1時間少々で収穫したネマガリダケは4キロほど。予想以上で、宮川さんも満足げです。
宮川栄一さん：
「去年は残念だった。同じところで7、8本採れるとうんと楽しい。新型コロナでなかなか出るところもないから、ストレス解消にはもってこいじゃないですか」
採れたてのネマガリダケは定番の「タケノコ汁」でいただきます。丁寧に皮をむき、柔らかいところを切って鍋へ。
そして、「サバ缶」の登場です。
宮川栄一さん：
「汁まで入れますからね」
宮川家では、さらに、ある食材も加えます。
宮川栄一さん：
「宮川家流に言うと、ちくわを2本入れて良いだしをとると」
サバ缶に続いて入れるのは、信州で長く愛されている「ビタミンちくわ」。宮川さんは子どもの頃から母親の作る「ビタちく入りタケノコ汁」を食べていたそうです。
その後、みそを入れてひと煮立ちさせたら完成です。
記者：
「夏が近づいてる感じがしますね。ちくわが良いだしを出していますね」
宮川栄一さん：
「最高ですね、おいしい」
高山村の「タケノコ汁」はこれで終わりではありません。小麦粉を練ったものを手でちぎってタケノコ汁へ入れます。すいとんのような須高地域の郷土食「ひんのべ」です。
旬の山の幸に、海産物の味、そして伝統の「粉もの」。「タケノコひんのべ汁」は、信州人の好きなものが一度に味わえます。
記者：
「みそにバッチリ合いますね、これ一杯で十分楽しめます」
採って楽しく食べておいしいネマガリダケですが、今年の収穫では特に「遭難」に注意が必要です。
宮川栄一さん：
「毎年入るとなると道になる。ところが去年1年入らなかったから、どこから入ればいいのかなという感じ」
去年、山に入る人がいなかったため、やぶが伸びていたり倒木などがそのままで足場が悪かったりと、道迷いや転倒が起きやすくなっている恐れがあります。この地域ではこの10年ほどで30件近い遭難が発生。亡くなる人も出ています。警察や遭対協は2人以上での入山やスマートフォンなどの携帯を呼び掛けています。楽しい収穫も旬のごちそうも安全な入山があってこそです。
宮川栄一さん：
「遭難も非常に多い。そういったものも気をつけてもらうよう注意を払って楽しく山に入ってもらえれば」
高山村の入山規制の解除期間は6月27日までです。（入山料は1日1000円）
からの記事と詳細 ( 【特集】北信濃の初夏の味『ネマガリダケ』 2年ぶり“解禁”で名人に同行 「絶品汁」も紹介します - FNNプライムオンライン )
https://www.fnn.jp/articles/-/192271
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