住宅ローンはさまざまな借り入れのなかでも特に高額になり、返済も長期にわたるため、安定した返済計画を立てるのに工夫が必要となります。
今回は4,500万円の住宅ローンを組むために必要な年収や返済シミュレーション、完済するためのコツについて詳しく見ていきましょう。
4,500万円の住宅ローンの返済シミュレーション
住宅ローンの返済シミュレーションは、インターネット上のサービスを利用して自分でも手軽に行うことができます。ここでは、LIFULL HOME’Sの「住宅ローンシミュレーター」を使って、月々の返済額を計算してみましょう。
今回は、3パターンの返済期間(15年、25年、35年)を設定して、金利ごとにシミュレーションを行います。
◇固定金利1.0%の場合
毎月返済額 |
総支払額 |
|
---|---|---|
返済期間15年 |
26万9,323円 |
4,847万8,056円 |
返済期間25年 |
16万9,593円 |
5,087万7,781円 |
返済期間35年 |
12万7,029円 |
5,335万1,997円 |
◇固定金利1.5%の場合
毎月返済額 |
総支払額 |
|
---|---|---|
返済期間15年 |
27万9,334円 |
5,028万185円 |
返済期間25年 |
17万9,971円 |
5,399万1,404円 |
返済期間35年 |
13万7,783円 |
5,786万8,859円 |
ボーナス払いを利用しないで計算すると、結果は上の表のようになります。返済期間が長いほど、毎月の返済額は低くなるものの、総支払額は大きく増えてしまうのです。
一方で、返済期間を短くすると毎月の負担額が大きくなるため、安定して返済を続けるために工夫が必要となります。毎月の返済額を参考にしながら、実情に合わせて返済期間を設定しましょう。
4,500万円の住宅ローンに必要な年収は?
年収から住宅ローンの借入額を計算するうえで重要な指標となるのは、「返済負担率」です。ここでは、返済負担率から必要な年収を具体的に計算してみましょう。
返済負担率の目安
返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合を示す数字です。住宅ローン審査においては、ほとんどの金融機関が返済負担率を重要視しており、多くの場合で25~40%以下と設定しています。
ただ、無理のない返済計画を立てるうえでは、20~25%以内が適正であるとされています。これは、住宅を購入した際に、さまざまなランニングコストがかかることが想定されるためです。
【年収別】返済負担率の目安表
返済負担率は毎月の返済額に12を掛けて年間の返済額を計算し、年収で割ると計算できます。たとえば、年収600万円の人が月々15万円の返済を続けていく場合、返済負担率の計算式は以下のとおりです。
15万円×12ヶ月÷600万円=30%
ここでは、先ほどの「固定金利1.5%」の場合のシミュレーション結果をもとに、年収500万円から1,000万円まで、年収ごとの返済負担率がどのくらいになるのかを見ていきましょう。
たとえば、「年収500万円」の人が「返済期間15年」で4,500万円のローンを組もうとした場合、結果は以下のようになります。
27万9,334円(毎月返済額)×12ヶ月÷500万円=67%
このように計算していくと、年収ごとの返済負担率は以下の表のとおりになりました。
返済期間15年 |
返済期間25年 |
返済期間35年 |
|
---|---|---|---|
年収500万円 |
67.0% |
43.2% |
33.1% |
年収600万円 |
55.9% |
36.0% |
27.6% |
年収700万円 |
47.9% |
30.9% |
21.8% |
年収800万円 |
41.9% |
27.0% |
20.7% |
年収900万円 |
37.2% |
24.0% |
18.4% |
年収1,000万円 |
33.5% |
21.6% |
16.5% |
必要な年収は約700万円以上
上記の結果のうち、返済負担率が25%以下に収まるのは、「返済期間35年に設定すると年収700万円以上」となります。また、「返済期間を25年に設定したときには、年収900万円以上」が目安です。
実際には、利用する住宅ローンの金利によって異なるため、ひとつの参考例として捉えておきましょう。
住宅ローン利用額を決める際の注意点
住宅ローンの利用額を決める際には、よく起こりがちな失敗例を知っておくことが大切です。ここでは、目を向けるべき注意点を2つ紹介します。
毎月返済額は現在の家賃よりも少し低めに設定する
住宅ローンの毎月返済額を決める際には、現在支払っている家賃を比較対象にするのもひとつの方法です。しかし、単純に家賃と同額に設定してしまうと、途中で支払いが苦しくなってしまう可能性もあります。
なぜなら、持ち家の購入時には、税金やメンテナンス費用といったランニングコストが発生するためです。また、マンションの場合は管理費や修繕積立金なども必要となります。
そのため、諸費用や生活予備費にも目を向けながら、毎月返済額を家賃よりも低めに設定しておくことが大切です。
変動金利の場合は金利変動に備えておく
住宅ローンの金利タイプには、完済まで金利が変わらない固定金利のほかに、経済状況に応じて金利が変動する「変動金利」があります。
変動金利は、スタート時の金利が比較的に低くなる点がメリットであるものの、場合によっては途中で金利が上昇してしまうこともあります。
そのため、変動金利を選択した場合には、金利の上昇リスクに備えてゆとりのある計画を立てることが大切です。
4,500万円の住宅ローンを完済するために押さえるべきコツ
4,500万円の住宅ローンを長期間で組む場合、安定して返済を続けるためには工夫が必要です。ここでは、住宅ローン返済を無理なく進めるためのポイントを見ていきましょう。
頭金を増やして借入額を抑える
頭金とは、住宅の購入に充てる自己資金のことです。頭金が多いほど住宅ローンの借入額を抑えられるため、利息対象分が少なくなります。
そのため、毎月支払額や総支払額を下げることが可能です。また、「フラット35」などの住宅ローンでは、頭金を1割以上用意すると、金利そのものが低くなります。
住宅購入で準備すべき頭金は、一般的に購入価格の2割程度が目安とされているものの、できるだけ多くの金額を準備できると安心です。ただ、住宅購入にはさまざまなコストがかかるため、計画的にいくらかは手元に残しておくことも大切となります。
新生活を始めてからのコストなども考慮すると、半年から1年分程度の生活費を残しておけるといいでしょう。
住宅ローン控除を利用する
住宅ローン控除とは、最大13年間にわたって、年末時点のローン残高のうち1%が所得税から控除される仕組みです。年間の控除額には40万円(認定長期優良住宅等は50万円)の上限が定められており、13年間で最大480万円までの控除が可能となります。
ただ、住宅ローン控除を利用する際には、以下の要件を満たす必要があります。
要件
- 購入してから6ヶ月以内に入居すること
- 控除を受ける年の合計所得が3,000万円以下であること
- 住宅ローンの借入期間が10年以上であること
- 対象住居の床面積が40平米以上であること(※ 40~50平米の住宅については、合計所得1,000万円以下であることが条件)
また、住宅ローン控除は税額控除であるため、所得税と住民税の合計が40万円を超えている場合でなければフル活用することはできない点にも注意しておきましょう。
ゆとりのあるときに繰り上げ返済を行う
繰り上げ返済とは、決められた返済額とは別に、住宅ローンの一部もしくは全部を前倒しで返済することを指します。繰り上げ返済をしたお金はすべて元金の返済に充当されるため、総支払額を大きく減らすことができるのです。
繰り上げ返済の方法には「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあります。
返済期間短縮型は、毎月の返済額を変えずに、返済期間を短くする方法です。一方、返済額軽減型は、返済期間を据え置いて、毎月の返済額を減らす方法です。
資金面にゆとりがあるときに繰り上げ返済を行えば、たとえ返済期間を長くとっていても総返済額を抑えることができます。そのため、ある程度の生活資金は手元に残しつつ、状況に応じて繰り上げ返済するように心がけると効果的です。
まとめ
- 無理なく完済できる返済計画を立てる際には、返済期間や金利、返済負担率を意識しておく
- 安定して返済を続けられる返済負担率の目安は25%以内
- 住宅の購入後にはランニングコストがかかるため、毎月返済額はゆとりをもって設定する
- 頭金を多く準備しておくと、返済計画を立てやすくなる
- 住宅ローン控除や繰り上げ返済の仕組みを理解しておく
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