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Sunday, July 25, 2021

ダム放水量、鮎漁に影響 関電と見解相違、漁協「河川維持流量、低く設定を」 - 岐阜新聞



  • 宮川の水をせき止めて取水する関西電力打保ダム=19日、飛騨市宮川町 
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 岐阜県飛騨市を流れる宮川にある関西電力打保ダム(同市宮川町)の河川維持流量に対する地元の意向をまとめる協議が年内にも始まる。鮎の網による漁期に捕らえやすいよう河川維持流量を低く設定することを望む宮川下流漁業協同組合(同町)と、同社の見解に隔たりがあるためで、国土交通省が地元の意見をまとめるよう同市に求めた。市は関係者らによる協議会を開き、結論を要望として国に伝える方針だ。

 同社は、同市の宮川に発電用ダムとして角川、坂上、打保、蟹寺取水の各ダムを所有している。水利権の更新時に合わせて決めるとされる河川維持流量に関し、打保ダムは2017年3月に水利権が更新され、国のガイドラインで河川維持流量の対象となるダムであることから、新たに設定することになっている。

 打保ダムは67年前に稼働が始まり、これまで河川維持流量は定められておらず、平常時の放水は行われていない。同ダム下流では、8月下旬から10月上旬まで同漁協組合員によって刺し網による鮎漁が行われており、放流量が網漁に影響を与えるとみられている。同漁協は同社の協力を得て、同ダム下流の河川の数カ所で同ダムから毎秒1・2トン、毎秒0・6トン放流時の網漁への影響を調べ、河川維持流量を極力少なくするよう同社に伝えた。

 国交省富山河川国道事務所(富山市)によると「網の漁期に漁協が放水量を少なくするよう求めるのはレアケース」といい、関西電力と宮川下流漁協の示す河川維持流量には「かなりの乖離(かいり)がある」と捉える。同事務所は、地元の意向を河川維持流量に反映させるため、飛騨市に意見をまとめるよう求めた。また打保ダム下流の蟹寺取水ダムは今年6月30日に水利権が許可期限となったことから更新手続きが進められており、同ダム下流の鮎の網漁についても意見を聞いている。

 宮川と合流する高原川では、発電用ダムからの放水量について地元漁協などと発電事業者の合意で弾力的に運用されている。

 飛騨市は「市の施策で鮎漁の振興を図っており、網漁の文化を守っていくという観点などからも協議し、要望を国に出したい」とする。関西電力は「当社の考え方は国交省に提出してあり、早く協議してもらえるよう申し出ている」と話した。

 【河川維持流量】 河道の維持や水生動植物の生存繁殖、各種排水の希釈浄化など流水の果たす機能を確保するために国が定める河川水の流量。国は発電用ダムの河川維持流量(発電取水口などにて)の目安を集水面積100平方キロ当たり、毎秒0・1トン~0・3トン程度としている。関西電力によると同社の打保ダムの集水面積は1052・5平方キロ。

カテゴリ: くらし・文化 社会



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