
コッヘルと甲状腺手術
甲状腺手術の術後死を0.5%まで抑えたのは、1841年にスイスのベルンに生まれたコッヘルです。コッヘルはベルン大学で医学を専攻し、ベルリン、パリ、ウィーン大学で外科学を学びました。そして、1872年から40年にわたって、ベルン大学で外科学教授の要職に就き、多くの甲状腺患者を手術しました。1909年、コッヘルはその功績により、ノーベル生理学、医学賞を受賞しています。 甲状腺手術は、19世紀後半にスイスとオーストリアで発展しました。この2国は、山岳地帯にあるためにヨードの摂取量が少なく、甲状腺腫にかかる人が多かったのです。甲状腺腫になると喉が腫れるため、進行すると窒息することもあります。 コッヘルが行う甲状腺手術は実に繊細で、組織を丁寧に処置して出血も最小限に抑えていました。そのため術後の経過もよく、合併症を起こすこともないので、大幅に致死率を抑えることができたのです。 当時の甲状腺手術では、術後に痙攣を起こして死亡する例が多数見られました。これに対して、コッヘルの手術は致死率は低かったのですが、最初の頃は手術後に30%もの患者が、廃人になるという事態が起きていました。これは、手術によって甲状腺が完全に切除されるため、甲状腺機能低下症を起こしたのです。しかし、甲状腺が人体に必要なホルモンを作る、重要な臓器であることがわかったのは、それから30年後のことでした。そのため、当時は原因不明で、手の打ちようがなかったのです。 自身の手術により、廃人になる患者が多いことにショックを受けたコッヘルは、甲状腺に重要な機能があることを知って、全摘出をやめました。その後、甲状腺の一部を残すようにしたところ、患者が廃人になることはなくなりました。それから15年間にわたって、コッヘルは600例もの甲状腺手術を行い、多数の命を救ったのです。
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