
年々、発症する人が増加している「乳がん」。実は、ひとくちに乳がんといっても、様々なタイプがあることをご存知でしょうか。また、治療方法や予後も、乳がんのタイプによって異なるようです。はたして、乳がんにはどのようなタイプがあるのか、「目白乳腺クリニック」の緒方先生に教えていただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
乳がんのタイプとは?
編集部: 乳がんには、様々なタイプがあると聞きました。 緒方先生: はい。乳がんといっても、おとなしい性格のタイプもあれば、進行の早い厄介な性格のタイプもあるため、ひと括りにはできません。それぞれ性質がまったく異なるため、治療法や治療薬も異なります。乳がんの状態や特徴、患者さんの希望などに合わせた治療をおこなうためには、まず乳がんのタイプを把握することが必要です。 編集部: どのようにして、タイプ分けされるのですか? 緒方先生: がん細胞が持つ性質によって、いくつか大まかに分類します。本来は遺伝子検査をおこなう必要があります。ただし、煩雑で時間がかかりすぎるので、遺伝子検査の代わりに手術や針生検などで採取した乳がんの組織を詳細に調べて、どのタイプのがんかを便宜的に分類しています。
編集部: 具体的に、どのようなタイプがあるのですか? 緒方先生: 乳がんは、「ホルモン受容体」、「HER2(ハーツー)タンパク」、「がん細胞の増殖活性(Ki67)」という3つの要素の組み合わせによって分類されます。ホルモン受容体は、がん細胞の核内にあるエストロゲン・プロゲステロンという女性ホルモンが結びつく受容体が陽性か陰性か。HER2タンパクは、がん細胞の表面にHER2と呼ばれるタンパクが過剰に発現しているかどうか。Ki67は、がん細胞が増える速さの程度を示すKi67の陽性率が高いか低いか。それぞれの性質を見極めて、画像のように分類します。 編集部: なるほど。3つの軸を掛け合わせて分類するのですね。 緒方先生: そうです。これらを掛け合わせることにより、大きく分けて5つのタイプに分類していきます。まず「ホルモン受容体陽性乳がん」ですが、これはがん細胞の内部にホルモン受容体と呼ばれるタンパク質が存在しているタイプです。上の図では「サブタイプ分類」欄の「ルミナルA型」や「ルミナルB型」という名称で示されています。 編集部: 次の「HER2型」とは、どのようなものですか? 緒方先生: これは図の通り、HER2が陽性のタイプです。HER2タンパクは、がん細胞の増殖を促す役割をしています。このHER2タンパクが、がん細胞の表面に過剰に出現しているタイプは「HER2陽性乳がん」もしくは「HER2タイプ」と呼ばれます。 編集部: 最後の「トリプルネガティブ」とは、どのようなものですか? 緒方先生: これは、がん細胞の内部または表面に、ホルモン受容体の発現もHER2タンパクの過剰発現もみられないタイプです。エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2の3つが陰性であるため、トリプルネガティブと呼ばれています。
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