
政府の税制調査会が昨年12月に発表した「令和3年度税制改正の大綱」により、生前贈与のルールが大幅に変わることは、前編の「政府があえて言わない「相続税」ルール改正で「支払うお金」がこれだけ変わる…!」で記したとおりだ。では、改正される前に、いますぐにやるべき手続きは何なのか。具体的なケースを元に説明する。 【写真】65歳をすぎて「老後破産」におちいる人たちの、ある意外な共通点
妻への遺言書に書くこと
都内在住の秋山孝明さん(80歳・仮名)のケースを中心に、12月までにどんな準備をすべきか見ていこう。 預貯金:2000万円 株・投信:500万円 自宅不動産:3000万円 【合計】5500万円 これが全財産という秋山さんの場合、相続人は長男1人なので、なんの準備もしない場合は、基礎控除は3600万円。これを引いた2400万円に税金がかかってくる。相続税額は2400万円×税率15%-控除50万円=310万円となる。 ただし、現行の贈与制度を最大限活用すれば、この額はおさえられる。 まず考えるのが、暦年贈与だ。秋山さんのケースであれば、長男、長男の嫁、2人の孫の合計4人に110万円ずつ贈与すればいい。これを、今年12月31日までと、来年末までの2回実施し、財産額を880万円減らす。 「妻が贈与後3年を超えてから亡くなれば、最終的な相続税額は178万円となる。何もしない場合と比べて、132万円も得できます」(税理士・山本和義氏) この時のポイントは未成年の子供であっても贈与できるということだ。弁護士の眞鍋淳也氏が解説する。 「秋山さんが長男の孫にあげた分の現金は、孫自身の名義の口座に入れるようにすることも重要です。もし長男の口座に入れると、長男への贈与とみなされる恐れがある。 贈与税申告は不要ですが、一人ずつ贈与契約書を作り、未成年の場合は、法定代理人親権者として父親と母親が署名します」 もし長男が自宅を新築か改築するなら、住宅資金贈与の特例で最大1500万円まで、贈与税ゼロでおカネを渡せる。2人の孫の学費についても、祖父である秋山さんが出してあげれば、相続財産はさらに圧縮できる。 残りの預貯金は、遺言書を書いて妻に相続させればいい。法改正で自筆遺言書を手数料3900円で法務局に預けられるようになったので、これも活用したい。 預貯金以外で多額の財産を持っている人もいるだろう。株・投資信託を保有しているなら、相場をにらみながら生前に名義変更するのが最も得だ。 「上場株式を今年11月15日に贈与した場合、当日の終値、11月、10月、9月の各月の終値の平均値の4つから、最も低い評価額を選ぶことができます。また投信は贈与日で発行した残高証明書に記載された時価が、課税価格になります。 つまり、相場が下がっている時に贈与すれば税金をなるべく払わずに、株や投信を渡せるのです」(税理士・板倉京氏) ただし、待ちすぎは危険だ。もし認知症になってしまえば、金融資産は凍結され取引が停止される。その間に大損するリスクもあるため、贈与制度が激変する来年中に現金化を決断したい。 一方、現金や金融資産と違い、不動産を生前に名義変更するには高いハードルがある。家の所有権を「100分の20」といった形で分ければ、持ち分を暦年贈与もできることはできるが……。 「一回ごとに法務局に足を運び、登記を変更する手間がかかります。しかも、登録免許税(2%)と不動産取得税(通常3~4%)も払わなければならない。 死後の相続の場合なら登録免許税はわずか0・4%、不動産取得税は非課税です。不動産については、亡くなってから渡すのが楽でお得でしょう」(ブライト相続代表社員税理士・竹下祐史氏) とはいえ、不動産について、何も準備をしなくてもいいというわけではない。今年のうちに、保管している登記簿謄本(登記事項証明書)を取り出し、所有する不動産の名義を確認しておいたほうがいい。 「'24年を目途に、登記変更が義務化されるからです。たとえば相続した実家の名義を変更しないまま放置していると、10万円以下の過料を科されます」(税理士・山本和義氏) また、死後に自宅を誰が相続するか、家族が集まった際に決めておくことも重要だ。妻が自宅に住み続ける予定で、子供と相続で揉める可能性があるなら、遺言書には「配偶者居住権を遺贈する」と書いておきたい。これで、妻が死後も自宅に住む権利を保障できる。 一方、すでに連れ合いに先立たれ、ひとりになっているなら、子供のうち誰が自宅を相続するかを話し合っておく。 「持ち家がなく、賃貸に暮らす子供がいれば『家なき子』に該当します。この子供が親から自宅を相続する際は、相続税評価額を8割減にできる小規模宅地等の特例が適用され、税額を大幅に減らせるのです」(前出・板倉氏) 生命保険の受取人が誰になっているかも、家族と共有する。保険金を妻の生活資金に充てるか、それとも子供に納税資金として渡すか。「妻2分の1、長男2分の1」という受取人の設定もできるので、トータルの相続計画とセットで考えておこう。 その他の財産についても、生前と死後にどう名義変更していくかを上の表にまとめた。自分にあった方法を活用しながら、ルールの激変を乗り越えていってほしい。 『週刊現代』2021年11月13・20日号より
週刊現代(講談社)
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