2022年04月26日
株式会社今治.夢スポーツは、令和4年4月26日に定時株主総会を開催し、第20期(令和3年2月1日から令和4年1月31日まで)の事業報告、決算書類報告を行い、承認されましたのでお知らせするとともに、事業報告の一部を掲載させていただきます。
企業集団の現況に関する事項
1.事業の経過及びその成果
「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」という企業理念のもと、サッカークラブ運営事業、野外体験研修事業、公園指定管理事業など、さまざまな事業に取り組んでおります。今期も昨期同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた一年となりましたが、昨期の経験を活かし、各事業が環境の変化に柔軟かつしなやかに対応しながら、理念の実現に取り組んできました。
また今期は、2023年1月竣工予定のJ2対応の里山スタジアム(仮称)の建設が着工し、建設資金の調達のため増資を実施しました。その結果、36社/名の株主の皆様に新たに関わっていただくことになりました。 損益の推移は下記のとおりであります。
純売上高が昨期対比110%と順調に増加したものの、トップチームの2度にわたる監督交代により発生した人件費、前述した増資にかかる諸経費などが加わり、販管費及び一般管理費が昨期対比119%と大きく増加しました。
その結果、今期は268万円の経常利益、161万円の当期純利益と過去2期に比べて大きく落ち込みましたが、3期連続の黒字を達成することができました。
各事業及びプロジェクトの取り組み、業績は以下のとおりであります。
【FC今治 トップチーム】
Jリーグ2年目となる2021シーズンも、新型コロナウイルスの影響で全試合入場制限下での開催となりました。
昨期の経験を踏まえ、感染対策の徹底を行いつつ入場制限下の中でできる限りの集客施策を実施し、入場料収入を当初見込みで着地させることができました。
一方で、グッズの売上はコロナ禍の影響により新規来場者の確保が困難となったことから、当初見込みより大きく落ち込む結果となりました。
当社の収入の柱であるパートナー収入に関しては、パートナー数及びパートナー料共に増加し、前期の5億4000万円から5億5500万円と約1500万円増となりました。引き続きコロナ禍の中で多くのパートナー企業様に継続支援いただき、さらに新たに支援いただく企業様が増えたことは、私たちにとって大きな励みとなりました。
ファン、サポーターの皆様との接点に関しましては、シーズン当初に新たなファンクラブシステムのご案内をさせていただきましたが、初日より不具合が多数発生し、多くの方々にご迷惑をおかけする事態となり、最終的にはシーズン途中でシステムを変更するという結論に至りました。今回の反省を生かし、今後システム等を導入する際は外部の専門機関の意見を十分に聞いた上で判断していく体制を整えました。
トップチームは、序盤で思うような結果を出せずわずか7試合で監督交代、そしてさらにシーズン終盤でも監督を交代し、1シーズンに2回監督を交代させる事態となり、結果として7勝9分12敗、勝ち点28の11位に終わりました。3人目の監督はFC今治リスタート期より岡田メソッドに関わってきた橋川和晃氏が就任し、2022シーズンも引き続き指揮を執ります。「岡田メソッド」の要素をトップチームに落とし込み、集団指導体制で2022シーズンに臨みます。
【FC今治 アカデミーメソッド】
FC今治の下部組織であるU-18、U-15、U-12も、今期も引き続き新型コロナウイルスの影響を受け、公式戦の延期、中止を余儀なくされ、そして県外への遠征、合宿も思うように実施できない時期が続きました。
そんな中、今期は3年前に設立したU-18が3学年揃う年となりました。さらに2022シーズンにはU-12も小学6年生までが揃い、「岡田メソッド」を用いた一貫指導、そして日本一質の高いピラミッドの構築を目指す「今治モデル構想」の実現が、一歩ずつ着実に進んでいることを実感できる一年となりました。
また「岡田メソッド」に関しては、今期よりyoutubeによる配信を開始し、認知度の拡大に向けての取り組みが開始されました。今後は国内での収益化も視野に入れて取り組んでいく予定です。
【FC今治 レディース】
レディースのトップチームは、アマチュア最高峰の「なでしこリーグ」参入及び1部リーグへの昇格を目標に取り組んでいます。
今期は四国リーグを優勝し、なでしこリーグ2部参入の挑戦権を獲得しましたが、残念ながら1次予選で敗退しました。
また全国大会である皇后杯も県予選で敗退し、4年連続の出場はなりませんでした。
高校生年代までの選手で構成されるNEXTチームは、今期から始まったクラブユース選手権大会の四国大会で優勝し、四国代表として全国大会に出場。結果はグループリーグ敗退となりましたが全国の舞台に立つことができました。
少しずつファン、サポーターの数も増え、またパートナー企業様のご支援も増えてきており、レディースチームへの関心度の高さを感じています。今後もご支援、ご声援の輪を広げていけるよう、取り組んでまいります。
【FC今治 ホームグロウン事業】
年中から小学6年生までを対象にしたサッカースクール、今治市内の幼稚園・小学校を対象にした巡回サッカー教室(無償)を中心に活動しております。こちらも新型コロナウイルスの影響を受けながらも、地道に活動を続けてきました。
2022年1月時点のサッカースクールの会員数は373名、巡回サッカー教室は、小学校25校、幼稚園/保育所/認定こども園29か所を対象に実施し、合計実施人数は1792名を記録しました。
今期は今治市に加え新たに西条市での巡回教室も実施し、結果として実施箇所5か所、実施人数141名を伸ばすことに成功しました。
また、障がい者を対象にしたサッカーイベントも引き続き企画し、今期は8回実施、のべ 275名の子どもたちにサッカーを楽しんでもらうことができました。
【グローバル事業】
中国のサッカークラブ「浙江緑城」のU10~U16 年代を対象に指導者を派遣しております。おかげ様で評価いただきスタッフは昨季より2名増員し9名となりました。その結果、収入も昨期より4000万円増となりました。
リスタート期より岡田メソッドを用いて着実に結果を出し続け、中国でも評判になり様々な相談をいただいております。
今後は中国はもちろん、東南アジアも視野に入れ事業の拡大を進めてまいります。
【野外研修事業】
野外体験を通じて、"遺伝子にスイッチを入れる"をキーワードに「生きる力」や「感受性」を育むプログラムの実施、また社会人を対象にしたチームビルディング研修の実施などを行っています。
今期は事業開始5周年を記念し、2021年8月5日から25日の20泊21日間、海と陸地の合計320㎞以上を徒歩またはシーカヤックで旅をする「海遍路/山遍路:瀬戸内アドベンチャー320キロ」を実施しました。14歳から22歳までの計7名が参加し、無事全員見事に完走することができました。参加者はもちろん、私たちにとっても大きなチャレンジとなり、多くの学びと経験を得ることができました。
【アースランド事業】
今治市から指定管理を受託し、西部丘陵公園"しまなみアースランド"を管理運営しております。公園の管理運営業務だけではなく、幼児を対象とした、森の中で生き物や植物に触れ合うプログラムや、富良野自然塾から導入した環境教育プログラムを実施しております。今期も引き続き新型コロナウイルスの影響で、プログラムが実施できない時期と集中する時期があり、スタッフの稼働の調整が困難な部分もありましたが、皆様のご要望にお応えすべく取り組んでまいりました。
また、来園者増加の施策として、キッチンカーやハンドメイドショップの出店や保護犬・保護猫譲渡会などを実施した「アースマルシェ」を秋に企画し、コロナ禍の中で800名の来場を記録しました。アースランドが新たな賑わいの場となり、来園される方々に癒しの時間を提供できるよう、今後も様々な施策に取り組んでまいります。
【ホームタウンプロジェクト】
将来のJ2リーグ、J1リーグへの昇格を見据え、当社の理念や取り組みに共感し、応援いただけるファン・サポーターの人々、支援いただける企業・団体の方々を増やしていくため、今期より「ホームタウンプロジェクト」を立ちあげ、ホームタウン今治市のさらなる深堀り、そして今治市近隣の3市1町(西条市・新居浜市・四国中央市・上島町)とのさらなる関係性向上、FC今治の認知度拡大のためのアプローチに取り組んできました。各市町への表敬訪問や地域イベントへのスタッフの参加、ホーム戦でのマッチシティの実施、のぼり・ポスターの展開を積極的に行い、昨期以上に関係性を構築できたと感じています。今後も継続して取り組んでまいります。
2.資金調達の状況
里山スタジアム(仮称)の建設のための資金調達として、第三者割当増資の実施と金融機関からの融資契約(サステナビリティ・リンク・ローン)を締結しました。
2021年11月30日に既存株主を含む40社/名を引受先とする総額13.1億円の第三者割当増資を実施いたしました。この結果今期時点の株主は47社/名となりました。なお、増資により調達した資金は、当社子会社である株式会社今治.夢ビレッジにおける里山スタジアム(仮称)の建設資金とするため、当社から株式会社今治.夢ビレッジに出資いたしました。
また、2021年12月10日に株式会社今治.夢ビレッジが、株式会社伊予銀行様と愛媛信用金庫様の共同アレンジによるサステナビリティ・リンク・ローンの契約を締結しました。組成金額は14億円となっております。本ローンは当社及び株式会社今治.夢ビレッジの事業活動の中で、ESG・SDGsへの取組みを通じた企業価値向上に向けて、具体的目標を設定し、その達成状況に応じて融資条件の優遇等を受ける融資となります。
さらに建設資金の調達に関しては、企業版・個人版ふるさと納税を用いたご寄付や、スタジアムに設置する里山プレートの購入受付も継続して実施しており、また株式会社今治.夢ビレッジでの劣後ローンの契約締結も予定しております。
3.対処すべき課題
【人事制度の整備】
2022年1月期時点で役員及び社員26名、コーチスタッフ等の業務委託者43名の計69名、トップチームの選手を含めると100名を越える組織となりました。
リスタート期からのスタッフに加え、様々なキャリアを経験したスタッフや、新卒のスタッフもこの数年増えてきており、幅広い年代の多様な人々が集まる会社へと成長してきました。
一方でスタッフが成長していくためのサポート体制は十分整備されているとは言えず、またスタッフが一同に集まる機会を作ることも困難になってきており、トップの理念や考えを直接伝える場が少なくなっているという課題が生じています。さらにコロナ禍でのリモートワークも影響し、スタッフ間の業務以外でのコミュニケーションも減ってきており、お互いを知らないスタッフも増えてきているという現状があります。
今後は若手スタッフへの教育体制の整備や、中堅スタッフへのリーダーシップ研修、幹部候補へのマネジメント研修の実施など、各年代・各ポジションで必要な教育・研修制度を整え、それぞれが次のステップへ成長できるようサポートしていく予定です。
また会社の理念やトップの想いがスタッフ一人一人に浸透するような仕組みづくり、風土づくりに取り組んでまいります。
さらにはスタッフがお互いをより知るためのコミュニケーションツールの導入の検討及び昨期より引き続きグループを横断してのプロジェクトの実施やイベントを企画し、コミュニケーションの場を創出していく予定です。
【里山スタジアムプロジェクト】
2023年1月竣工予定の里山スタジアム(仮称)は、試合の日はもちろん、365日人々が集まり、賑わいと交流が生まれるサッカースタジアムをコンセプトとしております。コンセプトの実現に向け、サッカー以外で日常的に人々が集まる仕掛けを作るため、当社子会社である株式会社今治.夢ビレッジで様々な事業を行い、さらにその事業を収益化させる必要があります。2023年の事業開始に向けて準備を進めてまいります。
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