北大西洋条約機構(NATO)首脳は29日、ロシアによるウクライナ侵攻に対処するため、抑止力と防衛の「根本的な転換」を行うことで合意した。アメリカは欧州全域で軍事的プレゼンスを高める。
NATOはこの日、スペイン・マドリードで開かれている首脳会談で、今後10年の指針となる新たな「戦略概念」を採択した。ウクライナに侵攻したロシアについては、「同盟国の安全保障と欧州大西洋地域の平和と安定に対する最も重要かつ直接の脅威」だとした。
また、「同盟国の主権と領土保全に対する攻撃の可能性を否定することはできない」としている。
NATOはさらに、2023年以降、緊急時に対応する即応部隊を現在の4万人から30万人以上に増強することで合意した。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、冷戦以降で最大の防衛・抑止力の見直しだとしている。
米軍はポーランドに司令部設置へ
アメリカは、ポーランドに恒久的な陸軍司令部を設置し、軍艦をスペインに、戦闘機をイギリスに、地上部隊をルーマニアに配備するなど、欧州での米軍態勢を強化する方針を明らかにした。
ジョー・バイデン米大統領は、NATOは「かつてないほど必要とされている」と主張。「陸空海すべての領域で強化される」と述べた。
英国防省も、軍艦や戦闘機、陸上の待機部隊を増やし、NATOの集団防衛に利用できる軍事力を大幅に増強するとしている。ただ、「軍事機密」であるため具体的な数は明かしていない。
欧州での米軍態勢強化
バイデン氏は同盟国の領土を「隅々まで守る」というNATOの取り組みについて繰り返し言及。「1カ国に対する攻撃は全加盟国に対する攻撃だ」と述べた。
アメリカは今後、スペインに駐留する米海軍の駆逐艦を4隻から6隻に増やす。
ルーマニアには戦闘機3000機と2000人の戦闘チームからなる「交替制旅団」を追加配備する。
イギリスにはステルス戦闘機「F-35」の2部隊を増派し、ドイツとイタリアの防空能力なども高める。
イギリスはすでにエストニアでの軍事的プレゼンスをほぼ倍増させ、1600人強の部隊を配置している。
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NATOのストルテンベルグ事務総長は、ロシアの侵略に直面するウクライナは、同盟国からの支援を「必要な限り」頼っていけると述べた。また、ウクライナは自国の独立のために戦っているが、NATOが共有する価値観のためにも戦っていると付け加えた。
NATO加盟国は、燃料や医薬品、防護服、対ドローンシステム、地雷対策機器などを含むウクライナへの「包括的支援パッケージ」にも合意したという。
フィンランドとスウェーデンの加盟手続き開始へ
ストルテンベルグ氏はフィンランドとスウェーデンについて、NATOに加盟するよう正式に招待したと明らかにした。
バイデン氏は、北欧2カ国のNATO加盟はロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「まさに」望んでいないことであり、ウクライナ侵攻作戦が裏目に出たと指摘した。
ストルテンベルグ氏は「史上最速の加盟手続き」だとし、この迅速な進展が続くことを期待すると述べた。
フィンランドとスウェーデンは今後、政治や法律、軍事面でNATOの基準を満たしていることを示さなければならない。ただ、北欧の両国にとっては比較的容易であると予想される。
からの記事と詳細 ( NATO、「ロシアは直接の脅威」 アメリカは欧州での軍事プレゼンス拡大へ - BBCニュース )
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