挽きたての抹茶を飲める家庭用抹茶マシン「Cuzen Matcha(空禅抹茶)」が販売台数を伸ばしている。2020年に販売を開始し、これまでに北米で約3500台、日本で約1000台を売り上げた。発売元は2019年創業のベンチャー企業。元サントリー社員という塚田英次郎社長の創業ストーリーとは――。(後編/全2回)
アメリカ人が抹茶にハマっている理由
(前編から続く)
来日したオバマ元大統領が、「子どものときに鎌倉で食べた抹茶アイスクリームの味が忘れられない」と語ったのは夙に知られた話だが、塚田さんによれば、現代の米国でも「抹茶がキテる」のだという。
抹茶ラテというメニューは日本のカフェでもおなじみだが、アメリカ人は抹茶をソーダで割ったりカクテルにしたりするそうで、しかも、飲む目的が日本人とは違うらしい。健康ドリンク、あるいはエナジードリンクと認識している人が多いというのである。
コーヒーのカフェインは即効性が高いが、代謝も早いのですぐに効果が下がってしまう。結果、何杯も飲むことになって身体へのダメージが大きいが、対する抹茶のカフェインは遅効性であり、ストレスの軽減効果があるとされるアミノ酸・テアニンも含んでいるからコーヒーよりもはるかに体にいい……。
しかも、米国で抹茶を愛飲しているのは、ミレニアル世代やZ世代と呼ばれる若者たちだから、彼らが抹茶の消費を拡大していき、抹茶がコーヒーをリプレイスする存在になっていけば、そこには広大なマーケットが誕生することになる。
サントリーに勤めていた塚田さんが社内ベンチャーの形でサンフランシスコに抹茶カフェ「STONEMILL MATCHA」をオープンした背景には、そんな米国の抹茶事情があった。
会社は退職の代わりに新部署を設置
「お前が本当に起業をしたいんだったら、会社の中でイノベーションを起こしていくプロジェクトを新しく立ち上げるから、そこで挑戦しないか?」
特茶をヒットさせた後、会社を出て起業したいという塚田さんを、こんなセリフで会社が引き止めたのは、2014年のことであった。なにしろヒット商品を連発してきた逸材だ。会社も必死だったのだろう。
翌2015年、約束通り新規事業開発を推進するプロジェクトチームが新設され、塚田さんは伊右衛門担当からその新しいチームに異動することになる。
すでに米国で海外版伊右衛門「IYEMON CHA」の事業開発を経験していた塚田さんは、米国に抹茶ブームが到来していることをキャッチしており、抹茶が大きな可能性を秘めたマーケットであることにもいち早く気づいていた。
からの記事と詳細 ( それなら会社を辞めて、自分でやります…元サントリー社員が43歳で「抹茶マシン」で独立起業した結果 「社内ベンチャー」ではやり切れなかった - PRESIDENT Online )
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