多くの方にとってあまり馴染みのないかもしれない「手練れ」という言葉。しかし、ビジネスやスポーツ、恋愛など日常生活のさまざまなシーンで使われうる表現だ。
そこで本記事では、「手練れ」の読み方や意味、類語、正しい使い方を解説する。また、一見同じ言葉のようにも見える「手練」との違いについても理解しておこう。
手練れとは?意味と読み方
まずは「手練れ」の意味や読み方、由来を確認していこう。よく似た言葉や英語表現もぜひ参考にしてほしい。
意味は「腕利き」
「手練れ」の読み方は「てだれ」で、元々は技芸や武芸が熟達している様を表す言葉だ。しかし、技芸や武芸に限らず、腕前が優れていること全般を指す言葉として、さまざまな場面で使用される。
また、「手練」と漢字二文字で表記する場合には、「てれん」と「しゅれん」の2種類の読み方がある。「しゅれん」と読む場合は、「手練れ」と同様に熟練した様や技芸に優れている人を表し、ポジティブな意味合いで使われる。一方で、「てれん」と読む場合には、人を騙す、あやつるといったマイナスの意味合いとなるため、読み方に注意しよう。
手練れの語源と由来
「手練れ」の語源は「手足り(てだり)」という言葉。「手」は、手で行われる技を、そして「足りる」は十分に備わっている様を表し、「手」と「足りる」の2語が合わさった「手足り」は、技術が十分に備わっている状態を意味する。この「手足り」の発音が徐々に変化して「てだれ」となり、最終的に現在使われている「手練れ」の漢字があてられたといわれている。
「手慣れ」との違い
「手練れ」の類似語の一つである「手慣れ(てなれ)」という言葉。どちらも上手に物事をこなす状況を表す点においては共通している。しかし「手練れ」が「巧みな腕前」や「一流の人」などを指すのに対して、「手慣れ」は単純にその動作に「慣れている」状態を表す。混同しやすい2語のニュアンスを理解して、適切に使い分けできるようにしたい。
手練れの英語表現
「達人」や「熟練者」を英語で表現する場合、master handやexpertがよく使われる。ちなみに、日本でもカタカナ語の「ベテラン」としてよく使用されるveteranは英語圏でも「特定の分野において多くの経験を持つ人」という意味合いで使われることがあるが、ネイティブスピーカーの間では「退役軍人」や「老兵」を表す単語として使用されるケースの方が多い。
また、熟練した状態を表す形容詞としてはskillfullやexperiencedなどが一般的。
手練れの類語
次に、手練れの類語をいくつか紹介する。表現の幅を広げるために、手練れと併せて覚えておこう。
達者
「達者(たっしゃ)」は、物事に熟達している様子や達人を表す言葉。熟練した様を表す「手練れ」の類語といえる。また、別の意味合いとしては「足腰が達者」のように身体が丈夫で健康である様や、上手く立ち回って抜け目のないこと、したたかである様を表す時に使われる場合もある。
猛者
相手から恐れられるほどに勇敢な人を指す「猛者(もさ)」。同じ分野で優れた者同士が戦う際、手強いと感じられるほど巧みな技術を持つ意味がある「手練れ」とは類語関係にあると言える。猛者は「荒々しい」というニュアンスを含んで使われることもあり、時代小説では武士のことを指す表現としてしばしば登場する。
精鋭
「精鋭(せいえい)」は強くて勢いのある人や、能力の優れた人のことを表す言葉だ。精鋭は、大勢の中から選び抜かれた人材という意味で使われることもあり、「少数精鋭」や「精鋭部隊」など、他の言葉と組み合わせた表現も一般的。
手練れの使い方
最後に、手練れの使い方をチェックしていこう。日常生活の中でも使える場面は意外と多いため、覚えておいて損はないはずだ。
技芸や武芸を見た時の表現として
技芸や武芸などに秀でる様を表す言葉として用いられる「手練れ」。例えば「彼の剣使いはまさに手練れだ」のようなセリフを時代劇の作中で見聞きしたことがある方も多いはず。また、現代では、柔道や格闘技などのスポーツ観戦時に使われることもある。
恋愛に関する話題で
恋愛経験が豊富な人のことを「手練れ」と表すこともある。男性の扱いに優れた女性の話題で「彼女はかなりの手練れとしてクラスの男子の間で有名だ」のように使う。
四字熟語「手練手管」
「手練手管」は「てれんてくだ」と読む。この場合の「てれん」は、人を騙すという意味。手管にも、人を騙す手段という意味があるため、同義語を2つ繋げることで意味を強調した四字熟語といえる。この言葉は、例えば「彼女は手練手管を使って出世した」のような使い方ができるが、プラスの意味で使われる「手練れ」とはニュアンスが大きく異なるため、注意が必要だ。
文/編集部
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