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Sunday, January 15, 2023

日本で「難民」として生きていくリスク | | 稲葉剛 - 毎日新聞

 「家賃を払えず追い出されてしまいそうです」「ホームレスになりました」「食べ物がありません」……。

 この2~3年、東京都内で生活困窮者への支援活動に取り組む私たちのもとに、さまざまな国籍の外国人からのSOSが相次いでいる。そのほとんどが仮放免という状態に置かれた人たちだ。

貧困状態に固定化する仮放免

 仮放免とは、在留資格が得られず非正規滞在となった外国人に対して、入管(出入国在留管理庁)が施設での収容を一時的に停止し、一定の条件のもと身柄の拘束を解く制度である。

 入管は2018年より仮放免の運用を厳格化してきたが、20年にコロナ禍が始まると、収容施設内での「密」を避けるため、仮放免を積極的に活用する方針に転換。仮放免者の人数は19年末の3315人から21年末には5910人へと倍増した。

 仮放免となった外国人は施設を出て、地域で生活をおくることはできても、働いて労務の対価を受け取ることや、国民健康保険や生活保護などの制度を利用することが認められていない。そのため、仮放免者は預貯金を取り崩したり、知人・友人からの援助や借金に頼るしかない経済状況にあり、極度の貧困状態に追い込まれている人も少なくない。

 仮放免者を労働や社会保障制度から排除し、貧困状態に固定化している日本の入管政策は、国際社会でも問題視され始めている。

 昨年11月3日、国連の自由権規約委員会は、日本国内の人権状況について発表した総括所見の中で、入管施設における収容者の劣悪な健康状況や、仮放免者の不安定な生活状況に懸念を示し、日本政府に改善を図るよう勧告している。

 総括所見は仮放免者について「Karihomensha」とローマ字で記載した上で、日本政府が仮放免者に必要なサポートを行うことや、働いて収入を得られる機会をつくることを検討するよう求めている。

 「Karousi(過労死)」や「Ijime(いじめ)」、「Chikan(痴漢)」と同じように、日本発の不名誉な国際語がまた増えてしまったことになる。

「人権の国…

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