東海地方の“都市部ではないエリア”で不動産賃貸オーナー業を展開している鈴木アキラさん。【前編】でも紹介した通り、17棟24戸を所有する現在の家賃収入は月々約130万円でキャッシュフローは月々50万円だ。
不動産投資を始めて6年目にF IR Eを達成できた鈴木さんは「F I RE は都市部より地方が圧倒的に達成しやすい可能性がある」と語る。
重要なポイントとして挙げるのは下記の2つ。
◆そこそこの需要があるエリアなのに“強力なライバル”が圧倒的に少ないため、少しの経営努力で満室経営が可能
◆ターゲットを中古戸建に絞ることで【物件の安価な仕入れ】【入居者獲得】【短期での売却】を容易に繰り返せる
今回はそのうちの
「ターゲットを中古戸建に絞ることで【物件の安価な仕入れ】【入居者獲得】【短期での売却】を容易に繰り返せる」ことについて解説する。
入居者にメリットが多いのに供給が少ない戸建賃貸で資産拡大
戸建賃貸は「マイホームのように過ごせる」「小さな子供がいても騒音トラブルになりにくい」など入居者にメリットが多い。しかし、投資効率が集合住宅に劣るため、新築する際の土地活用商品として選ばれにくい。需要に対する供給が少ないため、募集をかければ入居者をすぐに見つけることができ、長期入居にもつながりやすい。
実際に、鈴木さんが戸建賃貸で募集活動を開始してから3時間で入居者を獲得したこともあるという。
「その時はリフォーム後に写真を撮ってチラシを作成し不動産会社に紹介して回り、3軒目に立ち寄った仲介店で『ちょうど探している人がいる』と紹介され入居者が決まりました」(鈴木さん)。
リフォームと言っても、木材をモノトーンで塗装し、アクセントクロスなどの壁紙を張り、キッチンやバスルームの混合水栓を新しいものに交換するなどのD I Yで再生する物件だ。
一般的な中古の戸建で大規模な改修が必要な物件は投資効率が悪いため購入しない。数日かけてD IYした建物が、実質利回り18%程度の物件に生まれ変わるのだ。
空き家は増えているのに戸建賃貸が少ない理由は複数ある
「空き家(戸建)の増加が社会問題になっており、賃貸需要のあるエリアに立つにもかかわらず貸し出されている住宅が少ない」と疑問に思う人もいるだろう。それには所有者が抱える諸々の事情がある。
例えば、荷物を運び出す手間が面倒であることのほか、愛着があるため他人に貸したくないなどの理由が挙げられる。相続が原因で所有者が複数人になってしまっている場合、全員が同意しなければ賃貸も売買もされない。
売却の意思があっても売主が地元を盛り上げてくれる人物を望み、賃貸にする目的で購入する投資家には売らないこともある。
不動産会社が「買取が不可能」と判断したものや、建築制限があり売却に不利な市街化調整区域に立つ物件が100万円未満だったり、タダ同然だったりすることもある。
だが、そうした物件を取り扱っても大した手数料を得られない上、インターネットで情報公開をすれば問い合わせが殺到し面倒になる。そのため、不動産会社が取り扱わないために活用されずそのままというパターンもあるのだ。
最初から投資効率は考えず、まずは購入し運用実績を作ることが重要
そうした物件を紹介してもらうために、まずは実績を作ることが重要だ。不動産会社は取引をすぐに終えることができる常連客にのみ情報を公開する傾向があるからだ。
鈴木さんは100万〜400万円で中古の戸建を中心に購入し、リフォーム代、仲介費用などを合わせた70万円程度を信用金庫から借り入れる方法で資産を拡大してきた。200万〜500万円程度利益を上乗せして売却するのを年に1,2件のペースで繰り返す方法をとっている。
住居向けとして販売すれば割安に思ってもらえ、収益物件として売却する際は表面利回り12%以上で設定するため、すぐに買い手が見つかる。
なお、鈴木さんの場合は自身が立ち上げた法人が所有する形で物件を購入している。個人として所有する場合は、譲渡所得税が下がる所有5年目以降に売却するのがお勧めだ。
実績が積み上がるほど不動産会社は格安物件を紹介してくれやすくなり、金融機関の融資のハードルも下がる。
「不動産投資を始めようとする場合、最初はやはり戸建から始めることお薦めします。小さいリスクで始めながら、業者さん(リフォーム系・不動産系など)とも関係が作れて、実績を得られるからです。いきなり大きなアパートを買ってトラブルが発生した時に、対処するだけの資金力がなければ失敗してしまいます」(鈴木さん)。
最初からアパートを狙わず、利回りが多少は低くても、まずは運用実績を作る目的で戸建を購入することが結果的にはF I REへの近道になるようだ。
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