約3年間のコロナ禍による海外渡航制限も無くなり、ストップしていた海外留学にチャレンジする学生や、リスキリングとして語学学習のために海外留学を検討している社会人の方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、海外留学の種類と費用について説明した上で、メリット・デメリットや留学後の収入との関係などを解説していきます。
海外留学の種類とキャリアへの影響
海外留学と言っても、様々な種類があります。筆者も学生時代に短期語学留学、長期語学留学、交換留学の経験があり、周囲に留学経験者も多いため経験者の声も交えながらご紹介していきたいと思います。一般的な海外留学の種類とキャリア、費用への影響をイメージ図にしてみました。
【イメージ図】
イメージ図で示したように、留学する期間や通学する学校によって費用やキャリアへの影響が異なる傾向にあります。
例えば、正規留学・正規編入の場合は、海外の大学を卒業し現地の企業に就職する手段ができるなど比較的キャリアへの影響が大きいと考えられます。交換留学の場合は、キャリアへの影響は中間程度としていますが、語学力や海外経験がアピールでき就職等で有利に働く可能性もあるでしょう。語学留学の場合は、キャリアへの影響は比較的小さいとされていますが、1週間~1年以上まで様々な期間のコースが用意されていることが多く、仕事や大学を継続しながらも挑戦しやすい留学ではないでしょうか。留学後のキャリアを考えて、自分にあった留学手段を選ぶことも重要です。
次に、語学留学にかかる費用について見ていきましょう。
海外留学の費用を比較
留学費用について、主な英語圏の国を中心に語学学校の費用を調べてみました。
下記の表 に国別にまとめた留学費用は、渡航費、学費、滞在費のおおよその合計額です。
(万円)
1週間 | 1ヵ月 | 3ヵ月 | 12ヵ月 | |
---|---|---|---|---|
アメリカ | 25~40 | 40~70 | 100~170 | 380~580 |
イギリス | 25~40 | 40~70 | 85~170 | 400~640 |
カナダ | 25~40 | 30~60 | 70~140 | 280~520 |
オーストラリア | 25~40 | 35~70 | 95~140 | 330~550 |
ニュージーランド | 25~40 | 30~70 | 70~140 | 280~520 |
フィリピン | 10~30 | 20~50 | 45~110 | 220~330 |
出所:各種資料をもとにアセットマネジメントOne作成
これ以外に、保険料、ビザ取得代金などがかかることがあります。また、上記は一例であり、留学先、留学期間、留学目的、滞在スタイル、時期や為替レートによっても実際の金額は変動します。留学生の場合は、現地でアルバイトができない場合が大半であり、また留学先によっては残高証明書の提出を求められることもあるため、留学にかかる費用は事前に準備しておくことが必要になります。
また、国別で比較するとフィリピンが安く、アメリカやイギリスが高い傾向にあります。
いずれにせよ、決して安い金額ではないため、これらの費用を負担しても、海外留学に行く意義があるかしっかりと留学目的を考えて挑むことが必要だと思います。
海外留学のメリット・デメリット
次に海外留学のメリットとデメリットについて、見て行きましょう。
【海外留学の主なメリット】
- 日本で学ぶよりも語学力が伸びる
- 海外の異文化への理解が深まり多様な価値観を知ることができる
- 世界中に友人ができ人脈が広がる
- 留学経験を通じて自信や度胸がつく
- 企業や職業選択の幅が広がる
- 就職活動でアピールできる
- 語学力や日本で取得できない資格などにより収入アップの可能性が広がる
- 日本について話す機会が増え、世界から見た日本の特徴について詳しくなる
- 社会人基礎力が身に着く*
*社会人基礎力=経済産業省が2006年に提唱した「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」を指す。
【海外留学の主なデメリット】
- 費用がかかる
- 時間がかかる
- 人間関係が構築できないと孤独になる
- 海外の生活習慣や環境になじめない可能性がある
- 自ら努力しないと語学力が伸びない
- 目的がないと何も得られない
まず、メリットについて、将来のキャリアに関する大きなものとしては、語学ができることで日本企業だけではなく、海外の企業まで会社・職業選択の自由が広がる点があげられます。また、海外では日本のように「あうんの呼吸」や「空気を読む」といった文化はないため、自分で何をやりたいのか主体的に発言や行動をしていかなければ取り残されてしまいます。主体的に行動することで、困難に直面しても「前に進む力、考え抜く力、チーム力」といった社会人に必要とされる力も身につき、付加価値の高い人材となれるでしょう。
そして、デメリットについて、時間や費用以外では、人間関係の構築や生活習慣になじむことが大きな課題となりそうです。ただし、現在ではITの進歩によりある程度デメリットを緩和させることもできます。例えば、スマホで日本のメディアを日本語で視聴することもできますし、無料通話アプリで容易に家族とテレビ電話も可能です。これらは、孤独感を解消するツールとして役立ちます。
メリットとデメリットは表裏一体のところも多いため、時間と費用を無駄にしないためにも、留学の目的をしっかりと持ち、より多くのメリットを得られるように心がけましょう。
時間と費用をかけて留学をすることでキャリアの幅を広げるチャンスがあることはわかりましたが、費用に対してリターンともいえる収入の増加はあるのでしょうか。
海外留学と年収の関係
まず、会社員が収入を増やす代表的な手段として、「昇格」があげられます。最近では昇格条件の1つとして、英語能力テストの1つであるTOEICのスコアをあげている企業が増えています。一般的に昇格すると年収が増えるため、英語力が収入増加の手段になっていると見ることができるでしょう。海外留学経験者と留学未経験者の年収に関する各種調査を見ると、就職後の平均年収は両者で約70~100万円程度開きがあり、海外留学経験者の方が年収が高い傾向にあることがわかりました。
次に、留学の有無だけではなく、語学力が収入増加につながるか調べてみました。各種調査結果を見ると、20代では語学力による年収差はあまりありませんが、年齢が上がるにつれて英語力が高い人ほど年収も大きく上がるという傾向が出ています。特にTOEIC735点以上のビジネス英語力を持つ50代の人材は、同じ年代の平均年収と比較して男性は1.3倍、女性は1.6倍の年収差があるという調査結果もありました。
留学により身についたスキルとして、語学以外にもリーダーシップや積極性、ストレス耐性、目的を達成する力等、社会人として求められるスキルをあげる方も多く、こういったビジネススキルが身につくことで高い役職に就くチャンスにつながり、結果として収入増加になっている面もあると思います。
留学経験者の留学理由や、留学のキャリアへの影響を見ると、「現在の仕事に就くうえで役に立った」、「現在の年収を高めるのに役立った」という声が多くみられました。 筆者も就職活動時に、留学経験はアピールになったと感じていますし、留学中の困難を乗り越えた経験や、人脈の広がりは社会人でのキャリア形成や人生を豊かにする経験になったと実感しています。留学経験のある多くの友人も、商社やグローバル企業への就職や、就職後の海外駐在勤務や、語学力を生かした職務に従事するなど留学経験が生かされている事例も多く、キャリア形成にプラスに働いていると感じられます。
留学は時間や費用が多くかかりますが、人生100年時代と言われている中で、自分への投資として目的をもって臨むことで、大きなリターンを得られるのではないでしょうか。
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