タイ商務省外国貿易局(DFT)のロナロン・プーンピパット局長は11月2日、特定の商用製品が大量破壊兵器(WMD)に転用・拡散されることを防ぐ上で、WMDおよびデュアルユース品目(DUI)の管理措置を強化する時期に差しかかっているという認識を示し、輸出する前にライセンス取得を義務付ける措置(日本における「リスト規制」に該当)の実施に向け、準備を進める方針を明らかにした。
同局長は、DUIがWMDの製造に転用されたり、テロリスト集団に譲渡されたりするといったリスクを最小限に抑えるため、「ライセンス措置の実施が不可欠だ」と述べた。その上で、同措置が非常に効果的で、米国やEU、日本、シンガポール、台湾、香港、オーストラリアなどの、タイの主要貿易・投資パートナーに広く受け入れられている制度であることを紹介した。
DFTによると、タイ商務省は2020年1月に発効した「2019年大量破壊兵器および関連品目貿易管理法(TCWMD法)」(2022年5月17日付地域・分析レポート参照)に基づき、(1)ライセンス制度による措置(Licensing)、(2)WMD拡散関連品目に該当しない品目の認証制度による措置(Self-Certification、輸出時の申告・自己証明で輸出が可能)、(3)その他の措置、の3つの措置によって貿易管理を実施する計画だ。現在は、2021年12月に施行された「WMD関連物資および最終用途や最終需要者がWMDに用いられる物資にかかる貿易管理上の措置についての通達」〔通称エンドユーズ・エンドユーザー・コントロール(EUEUC)/キャッチオール・コントロール(CAC)〕(2022年5月17日付地域・分析レポート参照)と、同年10月に施行された、輸出業者が従うべき内部コンプライアンスプログラム(ICP、日本における輸出管理内部規定)の基準とガイドラインを定めた通達が実施されており、これらは(3)に含まれる。
ロナロン局長は「ライセンス措置を実施していくにあたり、輸出業者は、規制・ガイドラインについて学習しなければならず、適応していくには時間がかかるだろうが、最終的には本措置の恩恵を受ける」と述べた。また、「タイに対する貿易・投資パートナーとしての信頼が高まり、タイへの先端技術分野での外国直接投資が増える」とメリット面を強調した。
今回の発表では、具体的な試行スケジュールについては言及がなかった。今後、同措置の規定や細則の草案が起草され、公聴会が実施される予定だ。その後、最終的な草案が内閣に提出され、担当相の署名後、官報に掲載されて施行される。
本措置では、輸出企業は、関連品目の輸出にあたって事前許可申請を行う必要があるため、企業への負担・影響が懸念されており、日系企業からの関心も高い。ジェトロもタイ商務省に対して、日系企業への十分な情報提供や日本の当局・関係機関との連携を求めている(2023年10月31日記事参照)。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
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