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Monday, March 23, 2020

中国、車軸のひずみでトラック積載量を随時測定 - 日本経済新聞

車載型スマート計量システムを開発する「深圳漢徳(HAND HITECH)」がこのほど、シリーズAでの8000万元(約12億円)の資金調達を行った。出資者は「前海マザーファンド」、「零一創投(01VC)」、「峰瑞資本(FREES FUND)」。今回の調達に加え、同社はこれまでの調達金額は総額1億元(約15億円)を超えている。

中国の物流規模が拡大し続けるなか、技術開発による効率向上が課題となっている。物流のうち80%~90%が体積と重量の正確な計算が必要な荒荷(砂利や石炭などの重量のある大量の貨物)だ。漢徳は重量に着目し、車載スマート計量とデータ分析ができるプラットフォームを開発した。同社の売り上げは設備料とサービス料からなり、価格は顧客が求める正確さによって調整することができる。

2万台以上の車両の荷積み状況や走行距離などをデータとして蓄積し、トラックなどによる積載・配送の効率化に活用する(深圳漢徳提供)

2万台以上の車両の荷積み状況や走行距離などをデータとして蓄積し、トラックなどによる積載・配送の効率化に活用する(深圳漢徳提供)

「アルゴリズム+センサー」の計量システム

現在、物流業で最もよく使われているのは、計量台を使った重量測定だ。この方法の課題はコストの高さと、計量台を移動させることができない点にある。また、荷主は輸送中の荷物の状況を追跡できないため、荷物が別の場所に運ばれたり、すり替えられたりしてしまうことがあるという。

漢徳のシステムは、車内にセンサーを設置し、積載による車軸のひずみを測定し、重量を計算する仕組みで、誤差を2%以内に抑えることができる。中核となるアルゴリズムは、長期にわたりトラックのデータの統計をとり作成したものだ。

このシステムには少なくとも3つの効果がある。まず、正確に計量できることによって、運送費の計算基準を体積から重量に変更し、積載率を4%~5%高めることができた点だ。次に、荷主がリアルタイムで重量を確認できることだ。このシステムにより苦情が減っただけでなく、到着後の仕分け作業の時間短縮にもつながった。3点目は、荒荷の輸送ミスやすり替えを防ぐことができることで、この利点も大きい。

システムは荒荷のほか、宅配便やゴミ収集車などにも使うことができる。例えばゴミ収集車なら、各地点でどれだけのゴミを収集したのかを算出できるようになる。すでに漢徳と利用契約を結んでいる企業で特に多いのは、セメント会社だ。漢徳では今後石炭、鉄鋼産業の顧客を開拓していく予定である。

漢徳の強み

現在、センサーメーカーやIoTプラットフォームを運営する複数の企業が物流の計量ビジネスに参入してきているが、漢徳は主に2つの面で強みを持つ。

まず、計量方法。大半の企業はリーフスプリングの形状変化から重量を計算するが、リーフスプリングは変形が大きく、再現性が低いため、重量の変化を正確に反映することが難しい。漢徳の車軸のひずみをもとにアルゴリズムで算出する方法なら、より正確な計量が可能だ。

次が、データモデルの蓄積だ。漢徳は2012年から2万台以上の車両の全ライフサイクルを追跡し、車両状態を荷積み、荷降ろし、上り坂、下り坂、急加速、急減速などに分け、収集したデータと照らし合わせることで正確なデータモデルを開発しており、実用時の様々なシーンに対応できる。

荷物を追跡するためには漢徳のような計量のほか、IoT技術を使用するものもあるが、漢徳では、それぞれの方法に独自の強みがあるため、ニーズは細分化されていくと判断している。特に荒荷については、重量で計算することしかできないため、自社のシステムが十分な強みを持つと判断している。

「36Kr ジャパン」のサイトはこちら(https://36kr.jp/)

中国語原文はこちら(https://36kr.com/p/5296695)

 日本経済新聞社は、中国をはじめアジアの新興企業の情報に強みをもつスタートアップ情報サイト「36Kr」を運営する36Krホールディングスに出資しています。同社の発行するスタートアップやテクノロジーに関する日本語の記事を、日経電子版に週2回掲載します。

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