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Tuesday, March 3, 2020

アップルの「バッテリーゲート問題」は、消費者への和解金支払いで一件落着となるか|WIRED.jp - WIRED.jp

古いiPhoneの動作をOSの修正によって意図的に遅くさせたとする集団訴訟において、アップルは5億ドル(約540億円)での仮和解に応じた。アップルは影響を受けたiPhone1台につき25ドル(約2,700円)を支払うことになるかもしれない。

WIRED(US)

iPhone

JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES

2017年に起きたアップルの「バッテリーゲート問題」を覚えているだろうか? 新型コロナウイルスや米大統領選などのより差し迫ったニュースによって、iPhoneを巡る古い論争が頭の隅に押しやられてしまったとしても無理はない。しかし、あなたが「iPhone 6」「7」、または「SE」をもっていて、これらのiPhoneを2017年12月以前に特定のヴァージョンのiOSにアップデートしていたとしたら、アップルはあなたに和解金を支払う義務を負っているかもしれない。

古いiPhoneの動作を意図的に遅くさせるソフトウェアをアップルがリリースしたとする集団訴訟の一環として、アップルは5億ドル(約540億円)での仮和解に応じた。和解にはまだ最終承認が必要だが、2月28日に公開された条件案によると、アップルは影響を受けたiPhone1台につき25ドル(約2,700円)を支払うことになるかもしれない。

原告にとって「かなりいい結果」

アップルは、消費者がどこで、どのように請求を申し立てられるかについて、まだ情報を提供していない。今回の裁判にかかわっていない集団訴訟専門のある弁護士によれば、アップルが支払いを強いられるまでには何週間もかかる可能性がある。しかし、法律事務所Lieff Cabraser Heimann & Bernsteinの経済的損害・商品不良訴訟グループの責任者を務めるジョナサン・セルビン弁護士によれば、いまのところ今回の和解案は公平なものであるようだ。

「こういった訴訟は特に、完全に機能しなくなってしまうわけではない商品を扱っている場合は難しいものです」とセルビンは語ったうえで、完全に動作不良に陥ってしまう商品のほうが訴訟を進めやすいと指摘する。原告にとっては「かなりいい結果になったように思えます」

アップルの広報担当者はコメントを差し控えており、『WIRED』US版に対しては裁判所への提出書類を参照するよう求めた。この書類のなかでアップルは、不正行為をきっぱりと否定している。ロイターはアップルが「訴訟の負担と費用を回避するために和解した」と報じている

性能を抑制させるソフトの是非

ことの発端は2017年12月、掲示板サイトの「Reddit」への書き込みだった。古くなったiPhoneのバッテリーとiPhoneの機能の低下の相関関係を、ユーザーたちが示唆し始めたのである。

「Geekbench」が指摘した通り、動作の不具合はバッテリーの状態だけによるものではなく、iOSの「10.2.0」から「10.2.1」へのアップグレードに起因していた。Geekbenchは「アップルがバッテリーの状態が一定の水準以下に低下すると機能を制限するような変更を導入した」と結論づけた。

それから少したって、アップルは消費者の疑念を認めた。バッテリーの劣化を補うため、旧機種のiPhoneの動作を遅くさせていたことを明らかにしたのだ。

多くの人は、アップルの問題はリチウムイオンバッテリーの物理的限界を変えられなかった点にあるとは思わなかった。性能を抑制させるソフトウェアについての情報を、消費者に伏せる決定にあったと考えたのである。

この問題に対してアップルは、バッテリー1台につき29ドル(約3,100円)のバッテリー交換プログラムを開始すること、そして将来のソフトウェアアップデートではiPhoneユーザーに「性能抑制」をオフにする選択肢を用意することで対応した。アップルは問題の機能管理システムが、古くなったiPhoneのバッテリーにとって正しいアプローチであると非常に固く信じており、新しいiPhoneでも性能の抑制を続けるとのちに発表している。

いくつかの和解条件

しかし与えられた影響は、すでに取り返しがつかない。アップルは消費者が受けたダメージについての責任を認めていないが、17年と18年にかけて、一連の集団訴訟に加えて、司法省と証券取引委員会からの調査を受け入れることになった。

また、アップルの透明性の欠如によって、多くの人たちが自分たちのiPhoneの性能を改善する選択肢があることを知らないまま、新しいスマートフォンを買うはめになったことを憤っていた。一方、司法省と証券取引委員会はアップルが証券取引法に違反したかどうかを調査していた。

こうして、66の集団訴訟の訴状、アップル側からの700万ページにわたる書類、一連の調停を経て、アップル側と原告側の弁護士は和解に至った。

和解案には、いくつかの条件がついている。「和解集団」には、すべてのiPhoneを含むわけではない。iPhone 6、6 Plus、6s Plus、7、7 Plus、そしてSEを現在、または過去に所有していた米国のユーザーを指している。そして厳密には、iOS 10.2.1またはそれ以降のヴァージョン、もしくはiPhone 7または7 Plusの場合はiOS 11.2またはそれ以降のヴァージョンを搭載したデヴァイスで、これらのヴァージョンのiOSが17年12月21日以前にインストールされたことが条件になる。

iPhone1台につき25ドル

和解金には3億1,000万ドル(約335億円)の下限もあるが、最大で5億ドル(約540億円)に達する可能性もある。なお、アップルは上限がなぜ5億ドルに設定されたのかについてコメントしていない。もちろん、アップルがそれ以上は支払えないという意味では決してない。アップルの時価総額は1兆ドル(約108兆円)を超えているのだ。

これによって原告は、それぞれiPhone1台につき25ドルを受け取る権利が生じる。弁護士のセルビンは、訴訟中に進められた分析によってiPhone1台ごとの損害が約18ドルから46ドルと推定されたことを考えると、これは適正な金額であると語る。しかし、1人につき25ドルの和解金は、申請の数が集団訴訟和解金の最大金額を超えてしまった場合には減額される可能性もある。

そしてこれは仮の提案であるため、請求を申し立てる方法はまだ存在していない。エドワード・J・ダヴィラ米連邦判事は4月3日に和解案の承認を求められ、その時点で和解が動き出す。

その上に、このような集団訴訟が消費者に意義のある救済をもたらすのかという、より広範な問題もある。19年に連邦取引委員会が実施した包括的な研究によると、米国における集団訴訟の申し立て率の中央値は約9パーセントだった。

しかしロイターが報じた通り、連邦取引委員会は、集団訴訟の当事者が和解に関して何らかの直接の通知を受け取った訴訟のみを研究対象としていた。直接通知のあった訴訟だけに絞らなければ、集団訴訟当事者のなかで申し立てをした人の割合は劇的に下がる。

和解金を受け取るには苦労する?

一般的に言って、皆が損失を取り戻すわけではない。集団訴訟の当事者が申し立てをしたとしても、支払いを受け取るまでにはしばらくかかるかもしれない。信用調査会社エキファックスによる和解のように、和解金を受け取るために苦労する可能性もある。

アップルがバッテリーゲート訴訟の和解の管理人として、Angeion Groupという企業を利用すると表明したことについて、弁護士のセルビンは指摘する。セルビンによると、同社は「一流」であり、人々が郵便物にはもう関心を払っていなかったり、受信メールボックスにスパムメールが入らない設定をしていたとしても、集団訴訟の当事者に直接通知を届ける独創的な方法を駆使するという。

「通知が人々に確実に届くようにする方法は進化しています」と、セルビンは言う。「連邦取引委員会の研究結果を喜ばしく思っている人は誰もいません」

最終的には、世界で最も重要なテック企業の1社としてのアップルへの一般の人々の興味と関心が、お金を返せと要求するように人々を駆り立てるものになるかもしれない。

※『WIRED』によるアップルの関連記事はこちら

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