オープンソースのECサイト構築サービスで、日本シェアNo. 1である「EC-CUBE」。カスタマイズができて自由度が高いメリットがあるため、オリジナルのECサイトを作りたい事業者から人気を集めている。
そんなEC-CUBEだが、「制作会社に依頼したものの、思ったようなサイトができなかった」「制作会社の技術が追いつかず、なかなかサイトが完成しない」と悩まされる事業者も多い。
ECサイト制作事業を展開する株式会社キュールの山村氏は、EC-CUBE3系と4系の開発者だ。EC-CUBEに対する知見や経験が豊富なため、手厚くサービス提供できる特徴がある。同社に依頼することで、具体的にどのような利点があるのだろうか。良い制作会社の見分け方とは。株式会社キュール 代表取締役の山村清史氏に話を伺った。
EC-CUBEのインテグレートパートナー。中小企業から大企業まで、幅広い事業者をサポート
2014年11月に創業し、ECサイト制作事業を展開する株式会社キュール。事業者に抱えている課題をヒアリングし、イメージをすり合わせながら、より良いサイト案を提案している。
また、ECサイト制作だけではなく、オープンしたあとのサイト保守も対応可能だ。“作ったら終わり”ではなく、「サイトの不具合を修正してほしい、拡張機能を追加してほしい」といった問い合わせにも対応している。
山村氏「弊社に入る依頼は、EC-CUBEでの制作が9割、Shopifyでの制作が1割ほど。EC-CUBEは、3系と4系がメインです。EC-CUBEのインテグレートパートナーに認定されているため、パートナーの一覧ページからお問い合わせをいただくことが多いですね。
EC-CUBEで自社サイトを構築してから、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのモールに展開したいという依頼もあります。モールの場合は、商品登録以外をすべて弊社で担っているクライアント様もいますね。また、『EC-CUBE側で商品を登録したら、モール側にも反映させる』といった一元管理のカスタマイズの対応ももちろん可能です」
キュールは、雑貨や美容、自動車部品、家具、日用品など、幅広いジャンルの商材に対応している。ECサイトの規模も、月商1億円から月商数十万円までさまざまだ。
EC-CUBE3系・4系の開発者であるキュールの強みとは?
キュールの強みは、山村氏がEC-CUBE3系と4系の開発に関わってきたことにある。
山村氏「もともとWebサイトのシステム開発、制作サービスを提供していました。ある日、お客様から『EC-CUBEを使ってECサイトを作りたい』という話をいただきまして。知見を深めるためにEC-CUBE主催の勉強会に参加したら、責任者から声をかけてもらったんです。『EC-CUBE3系の開発を手伝ってほしい』と。
会社を設立して半年のタイミングでお誘いいただき、これもご縁だと思い、手伝うことを決めました。数ヵ月だけ携わるつもりだったのですが、結局、EC-CUBE3系と4系の開発に携わりましたね」
キュールとして受けるECサイト制作と並行し、EC-CUBEの開発も担当していた山村氏。その経験とノウハウを生かし、これまでEC-CUBEで20〜30社ほどのECサイトを制作してきた。具体的に、どういった依頼が届くのだろうか。
山村氏「EC-CUBEを使ったECサイト制作の依頼は、大きく分けて、新規とリニューアルの2種類があります。
新規の場合、『カスタマイズして、オリジナルのECサイトを作りたい』『EC-CUBEは有名だし、安心できそう』といった事業者様からの依頼が多いですね。一方で、リニューアルの場合は、『EC-CUBEで構築した既存のサイトに、オリジナルの機能をつけたい』『EC-CUBE2系からバージョンアップしたい』という依頼が多くあります」
別の制作会社にEC-CUBEでサイトを構築してもらい、バージョンアップのタイミングでキュールに声がかかることも珍しくない。以前依頼した制作会社へ相談すれば話がスムーズに進みそうだが、なぜキュールへと依頼が来るのだろうか。
その理由は、EC-CUBEはそれぞれのバージョンで使っている技術が違うからだ。制作会社の技術や知識が足りず、バージョンアップに対応できないことがあるのだという。その点、山村氏はEC-CUBEの3系と4系を開発していた経験があり、ノウハウが十分にあるため、問題なくバージョンアップの対応が可能なのだ。
山村氏「最初に依頼する時点で、制作会社にどの程度の知見があるのかを測ることは、難しいのが現状です。そのなかで制作会社を見極めるポイントは、金額に惑わされないこと。金額が安価なのは、知識や経験不足など、それなりに理由があるんです。安さにだけ目がくらむと、『クオリティの低いサイトになった』『リリース予定日を過ぎても完成しない』と失敗するパターンが多くあります。
弊社は、EC-CUBEを扱う一般的な制作会社に比べると、安価にサービスを提供しています。なぜなら、開発に携わっていたため、知識と経験が豊富にあるから。期間も工数も少なくして、ECサイトのリリースまでたどり着くことができます。もし提示された金額が安価だったら、思い切って『なんでそんなに安くできるんですか?』と質問し、理由を見極めることが重要だと思います」
本気じゃないならEC-CUBEはおすすめしない。制作手段を選ぶポイントとは?
オープンソースのEC構築プラットフォームで、日本シェアNo. 1であるEC-CUBE。システムを利用すること自体は無料で、カスタマイズ性が高いのが特徴だ。ただ、EC-CUBEはメリットばかりではない。セキュリティ面で不安視される声も挙がっている。
山村氏「EC-CUBE本体は常に脆弱性対策が行われており、普通に利用する分には全く問題ないのですが、サイバー攻撃を受ける原因として『カスタマイズにより、セキュリティ対策に穴が空いている』『バージョンアップをしていない』ことが挙げられます。前者は、制作会社の不備である場合がほとんど。後者は、カスタマイズを重ねてバージョンアップに対応できず、為す術もない場合が多くあります。
弊社では、EC-CUBE開発の経験をもとに、十分にセキュリティ対策をしたECサイトを構築していきます。定期的なバージョンアップ対応や、バージョンアップに対応できなくても、穴はないかと一つひとつチェックして、危険な穴は事前に埋めています」
ECサイトを制作する際、EC-CUBEだけではなく、モールやASPカートなど、さまざまな制作方法から選ぶ必要がある。では、どのように、制作方法を選ぶべきなのだろうか。
山村氏「制作手段を選ぶにあたり、まずは“何をどのように売りたいか”を考えるべきだと思います。もし『なんとなくECを始めたい』というスタンスなら、EC-CUBEはおすすめしません。なぜなら、制作会社へ支払う初期費用が大きいうえ、時間も労力もかかりますから。モールやASPカートのほうが、安価に、手軽にスタートできます。
一方で、『この商品をこのお客様に届けたい』と明確な意思があり、予算や計画もしっかりと決まっているのであれば、EC-CUBEを使うことをおすすめします。時間も労力もそれなりにかかりますが、カスタマイズができて、唯一無二のECサイトを作れるので。それに、EC-CUBEは初期費用がかかりますが、ランニングコストを考えると、2〜3年後にはASPカートとだいたい一緒になることが多いんです」
月商が1,000万円から5,000万円に。実績豊富なキュールの今後
「長期でECサイトの成長を考える事業者は、EC-CUBEを使うのが合っている」と話す山村氏。これまで多くのECサイトを制作し、結果も出してきた。
山村氏「とある美容系商材を扱うECサイトのリニューアルに携わり、EC-CUBE2系で制作していたものを、EC-CUBE3系で作り直しました。その際に『商品登録が手動だから時間がかかる』『既存の販売管理システムと連携したい』という相談をもらっていたので、システムを効率化したんです。具体的には、写真登録を自動化したり、商品情報を既にあるマスタから自動連携できるようにしたり。
その結果、半日かけてこなしていた作業が、15分で終わるようになりました。空いた時間で売上アップ施策を考えられるようになり、月商が1,000万円から5,000万円になったと聞いています」
リニューアルしたことで売上が5倍になるのは、EC-CUBEに対する知見が深いキュールだからこそ成せる技だろう。最後に、今後の展望について伺った。
山村氏「事業者様の利益が拡大することを第一に、ECサイト制作をしていこうと思います。時代が変わるとやり方も変わるため、昔は売れたやり方が今では通用しないパターンもあるでしょう。そういった現実的なところもしっかりと伝え、事業者様にとって有益なやり方を提案していくつもりです。
弊社は、EC-CUBEの開発に携わってきた経験から、EC-CUBEでの制作に困っている事業者様の力になれると自負があります。そのため、何か小さな相談でも構わないので、お気軽にお声がけいただけたらうれしいです」
現在は大阪を中心に事業展開しているキュールだが、今後は東京の事業者も積極的に支援していくという。「EC-CUBEで新しくサイトを作りたい」「EC-CUBEで作ったサイトをリニューアルしたいけれど、思うように進まない」と悩んでいるなら、この機会にぜひキュールに相談してみてはいかがだろうか。
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April 02, 2020 at 05:01AM
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