食卓が凍り付いた
4月3日。
東京郊外に住むわが家。その日の夕食は、鶏の手羽元と大根、レンコンの甘酢煮、前の晩に煮込んだもつ煮込み、わかめと卵のすまし汁、大根とレタスのサラダだった。
シーザードレッシングがよくからんだ大根の千切りを箸ですくいながら、22歳の長男がぼそっとつぶやいた。
「味がしないんだけど」
まさか、コロナ!? 楽しいはずの夕げの食卓が一瞬にして凍り付いた。
「えーっ、うそ。離れて、離れて」
妹である長女が椅子を離すのを見ながら苦笑いする余裕があった。まだこのときは。
「おかしいなあ。このお茶も水みたいに感じる」
長男が指さしたのは、とうもろこし茶。甘いコーンの風味はもともと濃くはない。
「気のせいじゃないの?」と私が言うと、慎重な夫は「おまえ、今日だるいとか言ってなかったか?」と尋ねる。
「うん、ちょっとだるくて……」
よく見ると耳が赤い。
すぐに熱を測ると36度8分。平熱ではあるが、高めだ。息子に平熱を尋ねたが「わからない」と言う。時計は19時30分。この後上がるのではないか。嫌な予感がする。念のため、息子は他の家族3人から離れて食事をとった。
「俺、コロナなのかな」
その夜、熱は37度3分まで上昇。息子はネットでPCR検査を受けるためにどうしたらいいのかを調べ始めたようだ。
「俺、コロナなのかな。今の症状だけじゃ検査してもらえないんだよね。熱があと二分上がらなきゃいけない」と言ってため息をついた。
息子が感染しているかもと考えたのは、3月下旬から頻繁に都心に出ていたからだ。大学4年生のため就職活動中。最後に出かけたのは前日の4月2日。企業説明会と面接で新宿へ行ったのだ。
いつもなら夜は家族でテレビを観たりしてくつろぐが、息子は「部屋にいる」と自主隔離した。
それでも、私たちはまだ楽観的だった。高熱ではない。咳もない。あるのは味覚障害だけ。「気のせいじゃないの」「ちょっと熱があるから舌が狂っちゃったのかも」口々に言い合った。万が一のことを考えて、息子が触ったであろうトイレのノブや椅子、階段の手すりなどを消毒液で拭いた。
翌4日、息子を完全隔離した。寝室で食事をし、トイレは2つあるので1つを息子専用にした。娘は自分にも感染の可能性があるため、同じ町内に住む幼馴染と久しぶりに会う約束をキャンセルした。
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