ガソリン車用(オイル交換)[2020.07.31 UP]
オイルパンはエンジンオイルを溜めておく役割を持っており、オイル漏れと関係している可能性が高いパーツです。
そのため、もしエンジンオイルが漏れているようであれば、まずはオイルパンをチェックしてみましょう。
このページでは、「オイルパンの構造からオイル漏れの原因、修理方法まで」を徹底解説していきます。
関連情報
エンジンオイルオイルパンとは?
車のエンジンはエンジンオイルによって潤滑されていますが、そのエンジンオイルを溜めておくための部品がオイルパンです。エンジン本体(エンジンブロック)の下部に設置され、四角い蓋のような形をしています。
エンジンオイルの潤滑方式にはウエットサンプとドライサンプの2種類があり、用途によって使い分けられています。
ウエットサンプは一般的な乗用車のエンジンに使われる潤滑方式で、ドライサンプは主にレーシングカーのエンジンに使用される潤滑方式です。
どちらの潤滑方式でもオイルパンは設けられていますが、構造が少し異なるため、それぞれご紹介します。
オイルパンの構造(ウエットサンプ)
まずは乗用車で使用される一般的なウエットサンプ方式から解説します。
ウエットサンプ方式では、オイルパンに溜められたオイルをオイルポンプで吸い上げることによりエンジン全体に循環させています。循環したオイルは重力によりオイルパンに落下し、オイルポンプで再び吸い上げられるというサイクルです。
オイルパンにはオイル排出用のドレンボルトが備わっているため、オイル交換の際はドレンからオイルを抜き取ることができます。また、エンジンオイルの量もオイルパンに備わっているオイルレベルゲージを使って、測ることができます。
このように、基本的にはオイルの受け皿・排出口としての役割がメインですが、その他にも走行風でオイルを冷却するオイルクーラーの役割や、沈殿式のオイルフィルターのような役割も持っています。
オイルパンは車体下部にあり破損しやすいため、スチール製のものが多いですが、一部スポーツカーなどでは軽量化のためアルミ製のものもあります。アルミ製のオイルパンは、軽量化の他にオイルの冷却性能の向上も期待できます。
ただ、ウエットサンプ方式には、下記のようなデメリットもあります。
① 高速でコーナリングすると横Gによってオイルが傾き、オイルポンプがオイルを吸えずに潤滑供給が不安定になる
② オイルを溜めるためにある程度の厚みが必要となるため、その分エンジンの搭載位置がかさ上げされ重心が高くなってしまう
ドライサンプ方式とは?
一般的には上記のウエットサンプ方式が採用されることが多いですが、一部のレーシングカーではドライサンプ方式が使用されています。
ドライサンプ方式にもオイルパンは設けられていますが、オイルパンからオイルを循環する方法がウエットサンプとは異なります。
オイルパンに溜められたオイルは専用の回収ポンプで吸い上げられた後、外部にあるリザーバータンクに溜められます。いったんリザーバータンクに溜めたオイルは、さらにまた別のポンプによりエンジン全体に供給されます。
一度リザーバータンクにオイルを溜めてから再度供給させるため、油圧が安定することがドライサンプ最大のメリットです。高速で横Gを受けても、安定してオイルを供給できます。
また、オイル溜めをオイルパンだけに頼らないためオイルパンを薄く設計できることもメリットです。エンジンの搭載位置を下げられるため、重心の低下に繋がります。
レーシングカーでドライブサンプ方式が採用されるのは、こうしたメリットがあるからです。タイムを追求するモータースポーツでは、油圧の安定と重心の低下は非常に大きなメリットです。
ただ、デメリットもあります。部品が複雑化してコストがかさむ、部品点数が多くなりオイル漏れが発生しやすくなる、といったデメリットです。競技車両に採用されても乗用車に採用されないのは、こうした理由があるからです。
オイルパンからエンジンオイルが漏れる原因は?
オイルパンからエンジンオイルが漏れてしまう原因は、複数あります。それぞれの原因について解説するので点検時の参考にしてください。
ガスケットの劣化
オイルパンからエンジンオイルが漏れる原因として最も多いのが、ガスケットの劣化です。
ガスケットは、オイルパンとエンジンブロックの接合部を密閉するパッキンの役割をしています。ガスケットが経年劣化すると気密性がなくなるため、エンジンオイルが漏れてしまうのです。
ガスケットは単なるパッキンなので、交換・修理は比較的簡単かつ安価で済みます。ガスケットを交換する際の作業手順は、後ほどご紹介します。
ドレンボルトからのオイル漏れ
先ほど解説したように、オイルパンにはオイルの排出口であるドレンボルトが備わっています。ドレンボルトは締めすぎても緩すぎてもオイル漏れの原因になります。
まずドレンボルトを締めすぎた場合、特にオイルパンがアルミ製であるとネジ山が潰れてオイル漏れの原因となります。
また、ドレンボルトのワッシャーは一度使うと再使用不可なので、使い回した場合も気密不良の原因になります。
ワッシャーに問題がある場合は交換するだけでOKですが、ネジ山をねじ切ってしまうと非常に厄介です。オイルパン側のネジ山が潰れてしまった場合は、オイルパン本体の交換が必要になります。
この場合、修理費用が高額になってしまいます。そのため、ドレンボルトは必ずサービスマニュアルにある規定トルクで締めることが重要です。
次に緩すぎた場合ですが、ボルトとワッシャーが密着しないため、隙間からオイルが漏れてきてしまいます。緩すぎる場合は単純に締め直せばOKです。サービスマニュアルに従い、規定トルクで締め付けましょう。
オイルパンに穴が空いている
上記の2つに比べると少ないケースですが、オイルパンに穴が開いてしまうと、当然オイル漏れの原因になります。
オイルパンに穴が開く原因は2つあり、1つは縁石などにぶつけてしまい破損するパターン。もう1つは、経年劣化によって鉄製のオイルパンが錆びて穴が開いてしまうパターンです。
どちらの場合でも、オイルパンそのものを交換する必要があるため、修理費は高額になります。
縁石に関してはぶつけないように注意するしかありませんが、錆びは融雪剤が原因であることが多いので、雪道を走行した後に洗い流すことで対策できます。
オイルパンからオイルが漏れていた場合の対処
車の下にオイル染みが見られるようなら、オイルパンからのオイル漏れが疑われます。この場合のオイル漏れは、液体ガスケットで応急処置するか、ガスケットを交換して完全に直すかで対処できます。
まずは以下の手順でオイル漏れの箇所を確認してみましょう。
オイルが漏れている箇所を確認
車体下部にぽつぽつとオイルが垂れたような形跡があれば、オイルパンが疑わしいです。本当にオイルパンから漏れているのか、車体下部から覗き込んで確認しましょう。
オイルパンはエンジンブロック下部に備わっているので、エンジン下を覗き込んで確認します。
このとき、以下のどれがオイル漏れの原因なのかを把握しておきましょう。
① オイルパンの接合部(ガスケット)からオイルが漏れているのか?
② ドレンボルトからオイルが漏れているのか?
③ オイルパン自体の損傷が原因でオイルが漏れているのか?
オイルがぽつぽつと垂れる程度であれば、すぐに大きな問題にはなりにくいですが、流れるほどの量が垂れてしまっている場合は、エンジンオイルの量が減っている可能性があります。
エンジンオイルが少ないとエンジンが焼き付く原因になるため、オイル漏れの量が多いと感じたら早急に修理に出してください。また、道路にオイルをまき散らすことになり非常に危険です。
液体ガスケットで応急処置
ドレンボルトの折損やオイルパン自体の穴開きには対応できませんが、ガスケットの劣化であれば、液体ガスケットを使って応急処置ができます。
液体ガスケット(液体パッキン)とは、接合部などの漏れを防止するために使う接着剤のようなものです。固まるまでは粘性のある液体ですが、乾燥すると弾力を保ったまま固まります。
オイルパンの漏れている箇所に液体ガスケットを塗布することで、オイル漏れを止めることができます。ただし、あくまで応急処置なので、できるだけ早くガスケット自体を交換することをおすすめします。
基本的にはオイル漏れの箇所に液体ガスケットを塗り込むだけですが、使用の際はいくつかの注意点があります。
① 接着面を脱脂する
オイルが接着面に残っていると、液体ガスケットの接着力が落ちてしまいます。液体ガスケットを塗布する前に、入念に脱脂しておきましょう。脱脂の際に手に油が付着しないよう、ゴム手袋などを着用すると良いです。
② ものによっては乾くまで1日かかる
液体ガスケットの種類にもよりますが、乾くまで24時間ほどかかる場合があります。応急処置といってもある程度時間がかかるため、時間に余裕を持って作業してください。
③ 剥がすのが大変
液体ガスケットは一度固まってしまうと剥がすのが大変です。剥がす場合はマイナスドライバーなどで削ぐようにして落とすしかありません。
後でガスケットを交換する際に大変なので、必要以上の範囲に液体ガスケットを塗布しないよう注意しましょう。
ガスケットを交換する場合の作業手順
オイルパンのガスケットを交換する作業は、手順さえ分かればそれほど難しくありません。ガスケット交換の際はオイルパンを1回取り外すため、オイルパン自体を交換する場合も、同じ作業手順となります。
それでは、作業手順を見ていきましょう。
① 車をジャッキアップする
まずは車をジャッキアップします。オイルパンはエンジンの下部に取り付けられているため、エンジンの搭載されている向きに合わせてジャッキアップしましょう。
基本的には前側にエンジンが載っているので前輪が浮くようにジャッキアップすればOKです。スポーツカーや一部の軽トラックなど、後ろ側にエンジンが載っている車種であれば、後輪をジャッキアップしてください。
ジャッキアップしたら、落下防止のためのリジットラック(通称:ウマ)を設置しましょう。ジャッキのみだと車が落下する可能性があるため、必ずリジットラックを併用してください。
② ドレンボルトを緩めてエンジンオイルをすべて抜く
ジャッキアップが完了したら車の下に潜り込み、ドレンボルトを外します。ドレンボルトを抜くと一気にオイルが放出されるので、オイルの受け皿を設置しておきましょう。
なお、オイルの受け皿はそのまま捨てられるオイル処理ボックス(ポイパック)を使用すると便利です(自治体によっては回収できないところもあるので要事前確認)。
③ オイルパンを取り外す
エンジンオイルがすべて抜けたら、オイルパンを取り外していきます。基本的にはオイルパンを止めているボルトを緩めれば取り外せますが、固着している場合はプラスチックハンマーなどで軽く叩いて取り外しましょう。
オイルパン付近にマフラーなどがあり、取り外しの邪魔になる場合は、妨げになっている部品を先に取り外してからオイルパンを取り外してください。
④ オイルパンに張り付いたガスケットを剥がす
オイルパンが取り外せたら、オイルパンに張り付いているガスケットを剥がしていきましょう。
ガスケット自体はペロッと簡単に剥がれますが、ガスケットのカスがオイルパン側に残ってしまう場合があります。
ガスケットのカスが接合面に残っていると、新品のガスケットを取り付けたときに気密不良の原因になります。そのため、スクレーパーなどで綺麗に取り除いておきましょう。エンジンブロック側もカスがあれば除去してください。
⑤ 接合面を脱脂し、オイルパンにガスケットを取り付ける
オイルパン、エンジンブロックの双方が綺麗になったら、接合面を脱脂してオイルパンに新品のガスケットを装着していきます。
ガスケットが装着できたら、オイルパンにボルトを差し込んでおきましょう。エンジンブロックに取り付けた後からでもボルトは差し込めますが、ガスケットの穴の真ん中に合わせにくいため、取り付け前に差し込んでおくことをおすすめします。
⑥ オイルパンをエンジンブロックにボルトで接合する
最後に、オイルパンをエンジンブロックにボルトで結合していきます。ボルトを1箇所ずつ一気に締め込むと取り付けが歪んでしまうため、対角線上に少しずつ締め込んでいってください。
また、締め付けすぎはトラブルの原因になるので、必ずサービスマニュアルの規定トルクに従って作業してください。すべてのネジを対角線上に締め込んだら作業は完了です。
まとめ
いかがでしたか?オイルパンはエンジンオイルを溜めておくための重要なパーツです。そして、エンジンオイル漏れと関連性の高いパーツでもあります。
車の下にぽつぽつと黒いシミが確認できるようなら、まずはオイルパンをチェックし、原因を探しましょう。
ガスケットを自分で交換する場合は、今回解説した注意点に気をつけて作業してください。
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July 31, 2020 at 07:27AM
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