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新型コロナウイルスの猛威は、日本が抱える様々な課題や欠陥を明らかにしました。世界の秩序が変わろうとする中、どうすれば日本を再興の道へと導けるのか。シリーズ「再興ニッポン」では、企業トップや識者による意見・提言を発信していきます。今回はビル&メリンダ・ゲイツ財団の柏倉美保子・日本常駐代表です。
2015年のTEDトークで新型コロナウイルスの感染拡大を予見する講演をしたビル・ゲイツ氏。そのあまりの的中ぶりに米国では、「ゲイツ氏が新型コロナのワクチンを利用して人々にチップを埋め込んで行動を観察しようとしている」との陰謀論まで浮上したほどだ。
そのゲイツ氏が00年に設立したビル&メリンダ・ゲイツ財団は、感染症が人類にもたらす危機に早くから着目し、ワクチンや治療薬の開発・普及の仕組みづくりに尽力してきた。
新型コロナの登場で世界はどう変化し、日本や日本企業のあり方にどんな影響を及ぼすのか。新しい世界で生まれる商機とは何か。日本常駐代表の柏倉美保子氏に聞いた。
柏倉 美保子(かしわくら・みほこ)氏
ビル&メリンダ・ゲイツ財団日本常駐代表。慶応義塾大学総合政策学部卒、投資銀行、ESG(環境・社会・企業統治)投資でキャリアを積んだ後、2013年から世界経済フォーラム日本事務所初の職員として地域戦略を担当。17年7月から現職。ケンブリッジ大学経営学修士号(MBA)、世界経済フォーラム・グローバル・リーダーシップ・フェロー
15年のTEDトーク「The next outbreak? We're not ready(次のアウトブレーク? 我々はまだ準備ができてない)」でビル・ゲイツ氏は、新型コロナウイルスによって今、世界が置かれている状況を予見するような講演をしました。財団内では今回のアウトブレークをどう受け止めているのでしょうか。
柏倉美保子ビル&メリンダ・ゲイツ財団日本常駐代表(以下、柏倉氏):人類の歴史を顧みても、感染症の流行は幾度となく起きていますし、戦争と比べても死者数が多い、とても大きなリスクです。そこに対する万全な対策やシステム、設計、インフラが必要だという認識を財団では新型コロナ以前からしてきました。
16年にエボラ出血熱がアフリカで発生したときは、突然出現する感染症にはワクチンの迅速な開発と供給のモデルが不可欠であることに気づきました。そこで17年の世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)でノルウェー政府やインド政府などと立ち上げたのが、官民連携でワクチン開発を推進する国際組織「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」です。
ゲイツ財団は、同じくダボス会議で00年に設立された「ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)」でも、世界保健機関(WHO)や国連児童基金(ユニセフ)などとともにパートナーを務めてきました。
2つの組織は、官民が国際的に協調し、感染症の収束に不可欠なワクチンを迅速に開発して速やかに市場に届けるまでのインフラ整備に貢献するのが目的です。CEPIがワクチンの研究と開発を支援する一方、GAVIは世界の低所得の国々などにワクチンを供給する仕組みをサポートしています。
感染症の収束には途上国参加が不可欠
柏倉氏:こうした取り組みを通じて少しずつではありますが、感染症対策のシステムやインフラを構築してきました。ただ、今回の新型コロナの収束に向けてゲイツ財団として、特に重要視したい点があります。
それは「感染症のワクチン、治療薬、検査キットの開発や供給は、途上国を含め、全ての人口を網羅した戦略でなければならない」ということです。
これだけモビリティーの高い地球社会です。どこかの脆弱な国に感染症が残り続ければ、世界的なパンデミックを収束させることは不可能です。ですから、ゲイツ財団では、マルチラテラリズム(多国間主義)をとても重視しています。
そのためのイニシアチブとしてWHOは4月、「Access to COVID-19 Tools(ACT)アクセラレーター」を立ち上げました。ワクチン、治療薬、検査キットの早期開発と、途上国も含めた公正な普及を目指す国際的な協力体制です。ゲイツ財団としてはこの活動にも力を入れているところです。
そうした世界の取り組みの中で日本はどう貢献しているのでしょうか。
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August 19, 2020 at 03:03AM
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ゲイツ財団の柏倉日本常駐代表「『三方よし』の会社が残る」 - 日経ビジネス電子版
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