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Friday, August 21, 2020

アフターコロナのサステナビリティ戦略はどう変化する? - Forbes JAPAN

いまや業界を問わず、企業の価値と将来性を測る指標となっているサステナビリティに対しての取り組み。

世界中で人々の生活が激変しているいま、ライフスタイルブランドが誇りをかけて提案する商品やサービスとは?


SDGsのサステナブルというキーワードを、エシカルという言葉のもとで考え、ファッションとデザイン業界で先駆的な事業を展開してきたのが坂口真生だ。

「エシカルとはサステナブルであるための概念であり、持続可能な世界を目指すのがエシカル消費です。例えばエシカルファッションの要素には、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入する“フェアトレード”、技能やノウハウを未来へ伝える“ 伝統技術の継承”、資源を無駄にしない”アップサイクル&リサイクル”などがありますが、それらはすべてサステナブルであるための条件ともいえるでしょう。 エシカル事業部では、社会や環境をより良くするサステナブルなビジネスを、クリエイティブの力で推進しています」

自身、社会貢献事業を身近なものとする家庭環境で育ってきた坂口は米国での留学から帰国後、全国60余店舗のセレクトショップやクリエイティブ事業を展開するH.P.FRANCEに入社。新規事業を手掛けながら、自らがどのように社会貢献すればいいのか思いあぐねていたころ、このエシカルという言葉に出会った。

「自分がそれまでモヤモヤと抱えていた課題をすべて解決できるワードだ!と。まさに啓示を受けた気分でした」

折しも、日本最大級のファッションとデザインのトレードショーである「rooms」を運営するプロジェクトチ―ムにアサインされたこともあり、12年には「rooms」に初めてのエシカルエリアを敷設。ただ、この時点で趣旨に賛同して出展したのはパタゴニアなどわずか3ブランドだったという。

「当時はブランド誘致のために企業をまわっても、エシカルやサステナブルというキーワードに反応してくる人はまだまだ少なかった。社会課題をビジネスで解決するという思考に共感してくれる人が増えてきたのは、やはりSDGsが国連で採択された15年がターニングポイントとなりました」

20年2月、第40回を迎えた「rooms」ではエシカルエリアへの出展が128ブランドとなり、スタート期に比して実に40倍の拡大を見せた。


ファッションとデザイン、アートのトレードショーである「rooms」は若手デザイナーの登竜門としても知られる。アフリカンテイストを取り入れたアパレルブランド「CLOUDY」も、roomsエシカルエリア出展を期に大きく伸張を見せた

では、この言わばエシカルのスペシャリストは、新型ウイルス禍を脱した“アフターコロナ”をどう見るか。これからのファッションやデザイン業界では、サステナブルという概念はどんな意味を持つだろうか。

「まず、コロナという甚大な危機に直面し、多くの人が本当に大切かつ必要なものは何かを考えるようになったと思います。今こそエシカル、サステナブルな行動を選択し利他的に生きるということを真剣に考える時です。必要とされる販売やサービスのあり方は大いに変化していくでしょう。ものをどう売るのかではなく、社会にどんな意味を持つのかが企業価値そのものになります。エシカル、サステナブルにいま一層重きを置くことが、これからの消費者と本質的につながることになり、ビジネスを成功させる重要なカギとなるでしょう」

サステナビリティを一過性のトレンドにしてはいけないことは衆知であろうが、持続可能でないものは淘汰され、すべてのものが持続可能となる時代がいま眼前に迫りつつある。


坂口真生◎1974年東京出身。米国の高校・大学生活を経てNYで音楽業界に携わり、帰国後の03年H.P.FRANCE入社。17年6⽉にエシカル事業部を⽴上げ同事業部の部⻑に就任。⽇本エシカル推進協議会発起⼈・アドバイザー。

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