全米王者・デシャンボーのフェアウェイキープ率は意外と低い
これは、イギリスゴルフ界の名士ロード・ブラバズン・オブ・タラが評論「未来のゴルフ」のなかで語った名言で、その全文は次のとおりだ。
「もちろんロング・ドライブが有利であることは確かであり、またそうあるべきだ。だが同時に長打が有利であるためには、それが真っ直ぐでなければならないことも確かだ」
スコットランドの古い格言に「常にフェアウェイをキープせよ」とあるように、飛距離より正確性のほうが重んじられていた時代だったのだが、ロード・ブラバズンは未来のゴルフ競技が「飛ばし合い」になることを予期していたようだ。
近代ゴルフブームを巻き起こしたアーノルド・パーマーは、このことを次のような言葉で表現し、実践してみせた。
「『ドライブは見せるため、パットは銭のため』というのは、もはや真実ではない。低いスコアを争う高額のマネー・トーナメントでは、ドライブこそがマネー・ショットとなるのだ」(Arnold Palmer's Golf Book, 1961)
また、ビッグスリーの一角ゲーリー・プレーヤーも、同様の言葉を著書Grand Slam Golf(1966年)に残している。
「『ドライブは見せるため、パットは銭のため』というようなバカげた言葉を信じる者は、近代ゴルフを理解しない者だ」
彼らが予言したように、現代のPGAツアーでは、ロング・ドライブを放つ能力のある選手がメジャー競技で勝利することが多い。
全盛時のタイガー・ウッズ、ダスティン・ジョンソン、ブルックス・ケプカ、ローリー・マキロイ、いずれも屈指の飛ばし屋ぞろいである。
2020年の全米オープンでは、「科学者」の異名を持つブライソン・デシャンボーが勝利したが、最終日の平均ドライブはなんと336.3ヤードだったそうだ。それでも出場選手中5位だったというから、さらに飛ばす選手がいることにも驚く。
全出場選手の平均が305.73ヤードとのことで(これもすごい!)、ツアーゴルフがまさしく「飛ばし合い」の競技となっていることには疑う余地もない。
優勝したデシャンボーは、全出場選手の平均より30ヤード以上も飛ばしたが、フェアウェイキープは41%で26位と低いほうだった。
4日間でアンダー・パーだったのはデシャンボーひとりだけ。距離があってラフが厳しい難コースにおいては、たとえラフに入れようとも、8番以下のショート・アイアンで打てるところまで飛ばしてしまうほうが有利となったようだ。
飛距離が伸びてもスコアがよくなるとは限らない
飛距離が出る者だけが勝つというのはゴルフ本来の姿ではない。これは、飛ばし屋だったジャック・ニクラスやタイガー・ウッズすらも警鐘を鳴らす問題だ。
道具、ボール、スウィング分析などの進歩で、300ヤード飛ばない選手は参加資格なしのようになってしまったプロゴルフ界だが、本来のゴルフはそうではないところに滋味があったのだ。だからこそ、世界中で多くのゴルファーが興じるスポーツとなったはずだと私は思っている。
私は、そこまで飛ばないが正確でうまいジム・フューリック、ジョーダン・スピース、ザック・ジョンソン、フランチェスコ・モリナリといった選手が好きだ。
フューリックは最難関コース設定といわれる全米プロで、スピース、ジョンソン、モリナリはリンクスで行われる全英オープンで優勝している。
とくに全英オープンは、必ずしも飛ばし屋が勝てず、意外な伏兵が優勝していることが多い。やはり、ゴルフの原点は全英オープンにあるように思える。
そうは言っても、ロング・ドライブが有利なのは、やさしい設定の日本のコースでプレーするアベレージゴルファーにとっても同じ。80台前半や70台のスコアを出すには、ある程度飛ばさなくてはならない。
デシャンボーは、オフのトレーニングの肉体改造でこの驚異的な飛距離を手に入れたと聞いている。何度か書いてきたが、一般のゴルファーが飛ばすためには、通常のドライバーの2倍ぐらいの重量がある素振り用ドライバーで週3~4回の素振りトレーニングをすることが最も有効だろうと私は思う。
実際、私もそのおかげで65~66歳の1年でヘッドスピードが4m/秒ほど上がり、20~30ヤードほどドライブの距離が伸びたからだ。
しかし、これでスコアがよくなったかというと、正直言ってまったく効果が出ていない。飛ぶようになったぶん、曲がりも大きくなってトラブルが増えたのだ。
以前、私は飛距離を10ヤード落としてでも正確さを求め、フェードボールを持ち球にしたことがある。1年間のスタッツを見ると、フェアウェイキープは65%に近い数字になったが、反対にパーオン率は下がり、スコアは伸びなかった。
その後、またドロー系の球筋に戻したところ、フェアウェイキープは50%台に落ち、スコアはあまりよくはならなかったが、逆にパーオン率は上がった。
このように、飛距離を取っても正確さを取っても、スコアに大きな変化はなくせめぎ合いだったのだ。このへんが、どうやら私の壁になっているようである。
その後、重いクラブでの素振りトレーニングで飛距離はさらに伸びたが、フェアウェイキープも下がって50%を切るようになった。しかし、スコアはやはり変わらない。
「これが私の限界なのか?」と落ち込んだりもしているのだが、一筋の光明もある。バーディの数は増えているのだ。バーディはあくまでもパーを目指した結果のオマケのように来るものだと理解しているが、それでもその数が増えていることは可能性を含んでいるように感じる。
ドライバーは調整し続けることで熟成していく
デシャンボーほどではないが、同年代のゴルファーとラウンドしていると、やはり短いクラブでグリーンを狙えていることは大きいと思う。そこで頼りになるのは、もちろん飛んで曲がらないドライバーだ。
しかし、そんな自分のスウィングや筋力にピッタリ合ったドライバーに出会うのは本当に難しい。
私が仕事を定年でリタイアしたころと、素振りトレーニングを1年半継続した今では、ヘッドスピードが4m/秒も速くなっているから、当時のドライバーはそのときは最高によかったものの、今では使いものにならない。
このように、今の自分に合っているドライバーというのは、いつまでたっても探し続けなくてはならないようだ。メーカーの戦略にハマってしまっているようにも感じるが、これだけはゴルファーの性なのかもしれない。
だが前述したとおり、市販のドライバーがそのまま自分に合っているということは、まず皆無である。おおまかなスペックは把握し、試し打ちしてから購入しても、鳥カゴでの試打とコースでの実戦では異なる結果になるのだ。
練習場のボールはレンジボールといって、軟らかく、飛ばなくなっている。それでいい球が出ていても、実際に使うボールではまったく違う球筋になることもある。だから、とにかくコースでのパフォーマンスがいいかどうかが、いいドライバーの判別基準となる。
経済的に余裕のある方は、ダメなら買い替えるの繰り返しでもいいかもしれない。ニューモデルは比較的高く下取りしてくれるので、差額だけ足して買い替えられるからだ。
しかし、多くのゴルファーはそういうわけにもいくまい。購入前の試打でそれなりの結果が出ているなら、多少の調整をすれば対応できるはずだ。
この調整で便利なのが、最近は大概のドライバーに搭載されているカチャカチャ機能だ。メーカーによって異なるが、レンチ1本でシャフトを外し回転させることで、ロフト角やライ角などを変更できる。
また、シャフトとヘッドを連結するスリーブという部品も1000円以下の安価で購入できるから、好きなシャフトに交換したり、元に戻したりも簡単にできる。
さらには、ヘッドにスライド式のウェイトがついているタイプもある。このウェイト位置の調整でも球筋は大きく変わる。昔は鉛の板を貼ったり剥がしたりしたものだが、まったく便利になったものだ。これを利用しない手はない。PGAツアーのプロも、この調整には余念がないのだ。
ドライバーは好みがあるけれども、おおまかなスペックが自分に合っているものを試し打ちして購入し、その上で調整機能を使って熟成させることが肝心だ。
コースへ行ったら、どんな球筋が出るかによって、レンチでシャフトを回転させたり、違うシャフトに変えてみたり、ウェイト調整をしたりして、自分にとって最適な状態を探そう。
私の場合はハーフごとにセッティングを変えて試行錯誤したが、「これがよさそうだ」と思えるまでに5~6ラウンドは費やした。こういうこともゴルフの楽しみだと思う。
今回のまとめ
1. 近代ゴルフは飛ばし至上主義だが、それにはまず飛ばせる筋力を養うことが優先される。高齢者でも努力すれば、まだ筋力はアップする
2. 一般ゴルファーは、重いクラブでの素振りトレーニングが筋力アップのために効率的。いいスウィング作りにも効果がある
3. そのときの自分の筋力とスウィングに合ったドライバーは、試し打ちして目安をつけ、さらに実際のラウンドで調整して熟成させよう
参考資料:
摂津茂和『不滅のゴルフ名言集(1)読んでうまくなるのがゴルフ』ベースボール・マガシン社新書、2009年
みんゴルニュース班「最終日の平均飛距離は「336.30」ヤード! データが示す全米オープン王者・デシャンボーのすごさ」みんなのゴルフダイジェスト https://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17394265 2020年10月2日閲覧
"であるために" - Google ニュース
October 04, 2020 at 04:08AM
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「ロング・ドライブが有利なのは確かだが、同時に真っ直ぐでなければならないことも確かだ」――ロード・ブラバズン・オブ・タラ|ゴルフは名言でうまくなる|岡上貞夫 - gentosha.jp
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