金泳三(キム・ヨンサム)大統領(在任1993年-98年)によってグローバル元年と位置付けられた1995年の韓国。本作は国際化へと激変する社会や91年に実際に起こった斗山電子のフェノール流出による水質汚染事件など実話をもとに描かれる物語。熾烈な学歴社会の韓国では、どんな才能があっても高卒社員は大卒社員の雑用ばかり。そんな現実をうまく物語に落とし込みながら、会社の不正に立ち向かった女性たちの逆転劇を爽快に描いた。
先日ノミネートが発表された『第57回百想芸術大賞』(韓国のゴールデングローブ賞)では作品賞、監督賞、主演女優賞(コ・アソン)、助演女優賞(イ・ソム)の4部門で選出。個性豊かなキャラクターを生き生きと体現するのは韓国映画界を支える若手実力派たち。最初に汚染水に気づくジャヨンを『グエムル-漢江の怪物-』、『スノーピアサー』のコ・アソン。ジャヨンの同期で推理小説マニアのユナを演じたイ・ソムは本作ですでに『第41回青龍映画賞』(韓国で最も権威ある映画賞)助演女優賞を受賞。さらに会計部の心優しき天才ボラムを『スウィング・キッズ』、『あなた、そこにいてくれますか』のパク・ヘスが演じている。
今回解禁となった予告編では、95年ソウル、サムジン電子に勤める生産管理3部のジャヨン、マーケティング部のユナ、会計部のボラムは実務能力が完璧ながら電話取りや書類整理、掃除やお茶くみなど雑用ばかりに明け暮れる様子が。コーヒーを作りながら「なぜ女が外で働き出したか知ってる? 安い賃金でよく働くからよ」と嘆くユナたち。ある日、TOEIC600点以上取った者を「代理」に昇格させることが社内で発表されると、「3ヶ月で600点以上なんて無理よ」と言いながらも、活躍の場を広げる夢と希望を持ってこぞって英語教室に通い始める。
そんな中、ジャヨンは自社工場から有害物質を含む工業用廃水が川に流出しているのを偶然目撃、しかし会社がその事実を隠蔽していることを知る。解雇の危険も顧みず「剣を抜いたのに何もしないの?」と必死に訴えるジャヨンたちは果たして真相解明することができるのか? 「一寸の虫にも五分の魂」と、自分たちの力を信じて前進していく3人のケミストリーに注目だ。
メガホンをとったのは、ペ・スジ主演『花、香る歌』のイ・ジョンピル監督。本作について「核心は人々の中にあった“ファイト”という気持ち。生きていく中で直面する大小さまざまな問題を、諦めず、文句を言わずに解決しようとする人々の物語です。こんなことで世の中が変わるのか?と考えながらも、自分を守るため前に進んで行く人たちの話を作りたいと思いました。 “たとえ小さな存在でも私たちは偉大なのだから” そんな信念と共に、自分の仕事に責任感と誇りを持った人たちの話を楽しくかっこよく描きたかった。何よりも堂々としていて凛々しい彼女たちの突き進む姿を見せたかったのです」と語っている。
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からの記事と詳細 ( 会社の不正に立ち向かった高卒女性社員たちの逆転劇『サムジンカンパニー1995』予告編:紀伊民報AGARA - 紀伊民報 )
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