土地や建物などの不動産を売却するときには、利益とともに発生する税金にも目を向けておくことが重要です。
大きな金額が動く不動産取引だからこそ、事前に税金の仕組みを正しく理解して、正確な計算ができるようにしておきましょう。
今回は不動産売却でかかる税金の種類や具体的な計算方法について解説していきます。
不動産売却で発生する4つの税金

不動産売却で発生する税金は大きく分けて「消費税」「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」の4種類あります。ここでは、それぞれの目安や発生するタイミングについて見ていきましょう。
消費税
居住用不動産の売却においては、原則として消費税の課税対象にはなりません。ただ、不動産会社に支払う仲介手数料や、司法書士などに支払う手数料は消費税の課税対象となります。
仲介手数料は物件価格に応じて上限が決まり、売買価格が400万円を超える場合は「売却代金×3%+6万円+消費税」で求めることができます。
売却コストのうち、大きな割合を占める費用となるため、事前に具体的な金額を把握しておきましょう。
印紙税
印紙税は一定金額以上の契約者や領収書を取り交わすときにかかる税金です。不動産の売却においては、取引金額に応じて、以下のような税額が発生します。
|
取引金額 |
税額※ |
|---|---|
|
500万円超1,000万円以下 |
5,000円 |
|
1,000万円超5,000万円以下 |
1万円 |
|
5,000万円超1億円以下 |
3万円 |
※2022年3月末までの軽減措置を適用
なお、売買においては売主と買主のそれぞれで売買契約書を保管することとなるため、2通分の印紙税が必要となります。ただ、通常のケースでは、両者がそれぞれ自分の契約書分の印紙税を負担します。
登録免許税
住宅ローンが残っている不動産を売却する際には、引き渡しの前に抵当権を抹消しておく必要があります。
抵当権を抹消する登記には、不動産1件あたり1,000円の登録免許税がかかるため、事前に把握しておきましょう。なお、不動産は、土地と建物を別個のものとして考えるため、それぞれに課税されます。
また、トラブルなどを防ぐために、登記は司法書士などの専門家に依頼するのが一般的であるため、その分の手数料として3万円程度のコストも見込んでおきましょう。
譲渡所得税
不動産を売却して利益が出た場合には、譲渡所得税がかかります。譲渡所得税とは、「所得税」「復興特別所得税」「住民税」の3つを総称したものであり、具体的な計算の仕組みは少し複雑です。
ここからは、譲渡所得税について詳しく見ていきましょう。
譲渡所得税を理解するための5つのキーワード

譲渡所得税を理解するためには、5つのキーワードの意味と仕組みを押さえておくとスムーズです。
譲渡所得税の計算に関わる項目としては、「譲渡価格」「取得費」「譲渡費用」「居住用財産の特別控除」「所有期間」の5つが挙げられます。
キーワード1 譲渡価格
譲渡価格とは、不動産を売却した代金と、固定資産税や都市計画税などの清算金を合わせた金額のことを指します。
本来、固定資産税と都市計画税の税金は、毎年1月1日時点で発生するものであるため、年の途中で売却した場合には、売主の負担になってしまいます。
そのため、売却日から12月31日までの期間に相当する分は、買主から売主に支払うのが一般的です。
キーワード2 取得費
取得費とは、不動産の購入にかかった金額のことを指します。物件の購入価格とともに、仲介手数料などの費用を組み込んで合計金額を計算します。
なお、細かな費用が明らかでない場合は、譲渡価格の5%として計算することも可能です。また、物件の購入金額については、「減価償却費」を差し引いて求めます。
減価償却費とは、経年によって建物の価値が低くなってしまった分の相当額のことであり、「購入金額×0.9×償却率×経過年数」の計算式で算出します。
償却率は建物の構造や用途によって定められており、居住用の場合は以下の表のとおりです。
|
建物の構造 |
償却率 |
|---|---|
|
木造 |
0.031 |
|
軽量鉄骨造 |
0.025 |
|
鉄筋コンクリート造 |
0.015 |
たとえば、3,000万円で購入した木造の居住用一戸建てを10年後に売却する場合、減価償却費は「3,000万円×0.9×0.031×10=837万円」となります。
そのため、取得費は「3,000万円-837万円=2,163万円」から、さらに仲介手数料などを差し引いた金額となります。
キーワード3 譲渡費用
譲渡費用とは、売却にかかった費用のことであり、「売却時の仲介手数料」「印紙税」「建物の取り壊し費用」などが含まれます。
キーワード4 居住用財産の特別控除
マイホームを売却した場合には、一定の要件を満たすことで、最高で3,000万円までの金額が控除されます。これを居住用財産の特別控除と呼び、マイホームを手放す際の負担を大幅に軽減させる仕組みです。
キーワード5 所有期間による違い
譲渡所得税の税率は、不動産を所有していた期間によって異なります。
所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」として扱われ、短期譲渡所得では39.63%、長期譲渡所得では20.315%と税率に大きな開きがあるのです。
この違いは、転売を目的とした短期での売買を抑制するために設けられています。税率によって税額は大きく異なるため、事前に所有期間についても目を向けておきましょう。
3段階に分けて考えよう! 譲渡所得税の計算方法

ここからは、上記の5つのキーワードをもとに、具体的な計算方法を見ていきましょう。譲渡所得税の計算は複雑なので、3段階に分けて考えるのがおすすめです。
譲渡所得税の計算式
譲渡所得税は、以下の計算式によって求めることができます。
ステップ1:「譲渡価格-取得費-譲渡費用」で譲渡所得を求める
↓
ステップ2:「譲渡所得-特別控除」で課税譲渡所得を求める
↓
ステップ3:「課税譲渡所得×税率」で最終的な税額を求める
まず、ステップ1で実際に売却して得られた利益を明らかにします。その後、マイホームの売却の場合はステップ2で3,000万円の特別控除を差し引きます。
この時点で利益がなければ、譲渡所得は課税されません。つまり、売却代金からさまざまな費用を引いた金額が3,000万円以下であれば、基本的に「譲渡所得税は発生しない」ということです。
控除を引いても利益が残っている場合には、所有期間に応じた税率をかけて最終的な税額を明らかにします。
譲渡所得税の減税特例にはどんなものがある?

不動産の売却時には、前述の3,000万円の特別控除以外にも、さまざまな減税特例を受けることが可能です。ここでは、主な特例について見ていきましょう。
居住用財産売却による軽減税率の特例
これまでに見てきたとおり、物件の所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得として扱われるため、税率は20.315%です。
しかし、マイホームの売却においては、所有期間が10年を超えている場合、6,000万円までの所得部分は税率が14.21%まで軽減されます。
これは、「居住用財産の3,000万円の特別控除」と併用ができるため、マイホームの売却をさらに有利にする仕組みだといえます。
居住用財産の買い替え特例
マイホームの売却にともなって買い替えを行う場合には、特例として税金負担がなくなるケースがあります。この特例では、「旧居の売却価格よりも新居の購入価格が高い」場合に、一定の要件を満たすことで適用されます。
その他の特例とは併用ができないものの、課税譲渡所得が3,000万円を超えていても税負担を繰り延べられる点がメリットです。
譲渡所得税を計算してみよう! ケース別シミュレーション

譲渡所得税の計算においては、さまざまな項目を明らかにする必要があるため、理解が難しい面もあります。ここでは、これまでの情報を整理するために、具体例をもとにシミュレーションしてみましょう。
パターン1:木造一戸建てを20年で売却した場合
譲渡所得税の具体的な計算を行うために、ここでは以下のような条件を想定します。
条件
- 居住用の木造一戸建てを売却
- 物件は3,000万円で購入(土地部分は考慮せず)
- 購入時のコストは200万円
- 売却額5,000万円(税金の清算金含む)
- 売却時のコストは100万円
- 居住期間は20年
まず、計算式のステップ1に沿って、「譲渡価格-取得費-譲渡費用」で譲渡所得を求めましょう。
この事例では「譲渡価格は5,000万円」となり、「譲渡費用は100万円」なので、あとは取得費を明確にする必要があります。取得費については、購入費用から木造一戸建ての減価償却費を引いて求めます。
減価償却費:3,000万円×0.9×0.031×20=1,674万円
取得費:3,000万円+200万円(購入時コスト)-1,674万円=1,526万円
取得費を明らかにしたうえで、ここから譲渡所得を求めていきましょう。
譲渡所得:5,000万円(売却価格)-1,526万円(取得費)-100万円(譲渡費用)=3,374万円
続いて、ステップ2の手順に沿って課税譲渡所得を計算します。
課税譲渡所得:3,374万円-3,000万円(特別控除)=374万円
この時点で利益が出ているため、今回のケースでは譲渡所得税が発生することとなります。最終的な税額を求めるために、ステップ3の手順に沿って374万円に税率をかけましょう。
この事例では、「居住用財産」と「所有期間10年超」の2つの条件を満たしているため、「居住用財産売却による軽減税率」を適用することが可能です。
この特例を適用すると、税率は14.21%となり、最終的な税額は以下の結果となります。
譲渡所得税額:374万円×14.21%≒53万円
パターン2:鉄筋コンクリート造マンションを4年で売却した場合
続いて、鉄筋コンクリート造マンションを4年で売却したケースについて見ていきましょう。この事例では、以下のような条件を設定します。
条件
- 居住用の鉄筋コンクリート造マンションを売却
- 物件は3,000万円で購入
- 内訳は土地1,500万円、建物1,500万円
- 購入時のコストは200万円
- 売却額5,000万円(税金の清算金含む)
- 売却時のコストは100万円
- 居住期間は4年
上の例と同じように、計算式のステップ1に沿って、「譲渡価格-取得費-譲渡費用」で譲渡所得を求めましょう。この事例でも「譲渡価格は5,000万円」となり、「譲渡費用は100万円」なので、あとは取得費を明確にする必要があります。
今回は鉄筋コンクリート造マンションなので、償却率が異なる点に注意が必要です。また、減価償却費には土地部分を含まないため、計算式は以下のとおりになります。
減価償却費:1,500万円(建物部分のみ)×0.9×0.015×4=81万円
取得費:3,000万円+200万円(購入時コスト)-81万円=3,119万円
続いて、譲渡所得を以下の計算式で求めます。
譲渡所得:5,000万円(売却価格)-3,119万円(取得費)-100万円(譲渡費用)=1,781万円
さらに、この事例も居住用財産として扱われるため、ステップ2の手順に沿って課税譲渡所得を計算します。
課税譲渡所得:1,781万円-3,000万円(特別控除)=-1,219万円
この結果から分かるとおり、今回は特別控除を差し引いた時点で金額がマイナスになりました。そのため、譲渡所得税が発生することはありません。
なお、仮にこの時点で金額がプラスになっていた場合は、所有期間が4年間であるため短期譲渡所得として扱われることとなり、39.63%の税率をかけて税額を求めます。
不動産売却でかかる税金の種類と計算方法を理解しておこう

- 不動産売却で発生する税金は「消費税」「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」の4種類
- 譲渡所得税は仕組みが複雑であるため、キーワードと手順を押さえながら理解していくのが良い
- 譲渡所得税の計算には、所有期間や建物の構造も影響を与える
- 居住用財産の場合は、控除の特例や軽減税率の特例を受けられる
- 3,000万円の控除を差し引いた金額がマイナスの場合は、譲渡所得税が発生しない
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