新型コロナウイルスの流行の影響が長引き、航空会社の経営は厳しい。再編による効率化で着実に経営を改善し、需要の回復に備えてほしい。
北海道を拠点とするエア・ドゥ(札幌市)と、九州に本社を置くソラシドエア(宮崎市)が経営統合で合意した。2022年10月をめどに共同持ち株会社を設立し、両社が傘下に入るという。
コロナ禍の影響による国内航空会社の再編は初めてだ。
航空会社は、移動の自粛や渡航制限による旅客数の激減に苦しんでいる。特に規模の小さい会社への打撃は大きく、昨年秋には、格安航空会社(LCC)のエアアジア・ジャパンが経営破綻した。
エア・ドゥとソラシドエアも21年3月期決算で過去最大の赤字に陥っており、単独での生き残りは難しいと判断した。他社との統合に活路を求めるのは妥当だ。
航空会社は人件費や整備費、駐機料など、運航しなくてもかかる固定費の割合が高いとされ、収入減が赤字に結びつきやすい。
両社は、機体の整備拠点の集約や、人事・経理事務の共通化などで、コストを削減する考えだ。両社のブランドは残し、現在の路線網は維持するとしている。
いずれも全日本空輸を傘下に持つANAホールディングス(HD)から出資を受けている。航空業界では、ほかにも大手の系列を中心にLCCや地方を地盤とする会社が少なくない。苦境が続けば、さらなる再編が選択肢となろう。
大手の業績悪化も深刻だ。ANAHDと日本航空の21年3月期連結決算の売上高は、ともに前期比で6割以上減った。その結果、ANAHDは4000億円超の赤字を計上し、日航の赤字も2800億円を上回っている。
自由な人の往来は経済活動の基盤であり、大手航空会社は、それを支える重要なインフラだ。
両社は、増資や借り入れで手元資金を確保し、経費のカットを徹底しつつ、雇用調整助成金を活用した社員の一時帰休や、社員のグループ外企業への出向などで雇用を守っている。
新型コロナのワクチンが行き渡り、感染が収束するまで、あらゆる手を尽くして運航正常化に向けた態勢を維持してもらいたい。
海外では、国営化や資本注入により国が大手航空会社の救済に乗り出す例が相次いでいる。
日本では、空港使用料や航空機燃料税の負担軽減といった対策が講じられている。政府がこうした側面支援を続けるべきだ。
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