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ドイツ銀行に勤務する35歳のトレーダー、マーク・スペーン氏は、富豪イダン・オフェル氏がテルアビブの北に所有する海沿いの別荘で今月8日行われたジム・インテグレーテッド・シッピング・サービシズの新規株式公開(IPO)記念パーティに出席することはかなわなかった。それでもロンドンのオフィスにある自席から十分に祝った。
ジムはかつて経営難に陥っていたイスラエルの海運会社。スペーン氏が同社に対して賭けに出たことが奏功し、ドイツ銀は大きな勝利を手にできそうだ。ジムは世界で11番目に大きな海運コンテナ会社として貨物運賃上昇の恩恵を受けており、ドイツ銀にもたらされる利益は約10億ドル(約1100億円)に上る可能性がある。
ディストレスト債トレーダーのスペーン氏は2016年以降、割安に取引されていた ジムの社債と銀行ローンに賭けた。貨物運賃が低迷していた時期に数百万ドル相当の同社株式も購入した。こうした投資が今になって実を結んでいる格好だ。
ドイツ銀、スペーン氏は取引についてコメントを控えた。
ジムは14年に大幅な債務再編から脱却。債務は削減され、支配株主であるオフェル氏の持ち分は希釈化した。それでも海上輸送運賃の低迷でジムの経営は苦しかった。
そうした状況にあってもスペーン氏は、業界再編やオフェル氏からの支援、デジタル化や提携を進めるジム経営陣の動きを見て、同社に対する強気の見方を変えなかった。スペーン氏はロンドンの金融街シティーを駆け巡り、ジムへの投資を持ちかけたが、世界的に貨物運賃が低迷する中で商談は厳しかったと、同氏の考えに詳しい関係者は語った。
経営陣による過去数年間の対策が業績改善に寄与する中、同社の環境を大きく好転させたのが貨物運賃の上昇だった。欧米の需要増に加えて、より厳しい温室効果ガス排出規制の導入が影響し、コンテナ料金は昨年下期から 値上がりし始めた。需要増からサプライチェーンにボトルネックが生じ、運賃は記録的水準に押し上げられた。
今年1月に上場したジムは時価総額が約3倍となり、今年は特別配当を支払うと発表。同社についてジェフリーズのアナリストは、キャッシュフローが増加し、バランスシートもさらに改善するとみている。
原題: Deutsche Bank Set to Reap $1 Billion on Trader’s Freight Bet (1)(抜粋)
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