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Friday, June 25, 2021

奴隷解放記念日 に臨む、米・パブリッシャーたちの姿勢 : BuzzFeed や NYT などの事例 - DIGIDAY[日本版]

今年は、多くの米パブリッシャーがジューンティーンス(Juneteenth:米奴隷解放記念日)を公に祝福した。6月17日、ジョー・バイデン大統領が同日を米国の祝日とする法案に署名した。6月19日は、奴隷制廃止に最後まで抵抗したテキサス州が解放を認めたことを祝う奴隷解放記念日であり、その扱いは州によって異なっていたが、昨年、ジョージ・フロイド氏の殺害を契機に起きた人種的不公平に対する意識の高まりを受け、この日を祝福する動きがより多くの州にも広まっていた。ただ、その祝い方はいまのところ、企業によってさまざまだ。

一部のパブリッシャー――ボックス・メディア(Vox Media)、バズフィード(BuzzFeed)、グループ・ナイン(Group Nine)、G/Oメディア(G/O Media)、メレディス・コーポレーション(Meredith Corp.)、コンデナスト(Condé Nast)、ディジデイ・メディア(Digiday Media)など――はジューンティーンスを全社的な休日とし、今年は土曜にあたるため、18日(金)を休みにした。これらの企業はすべて、昨年もジューンティーンスを休日にしている。また、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)、ワシントン・ポスト(The Washington Post)、ロサンゼルス・タイムズ(The Los Angeles Times)、ヴァイス・メディア・グループ(Vice Media Group)などは、従業員に有給休暇を追加提供し、ジューンティーンスに取得するよう促している。

今年4月にG/Oメディアの米黒人関連ニュース/文化にフォーカスするブランド、ザ・ルート(The Root)の編集長になったヴァネッサ・デ・ルッカ氏は、こう語る。「ジューンティーンスを企業が祝福するのは極めて重要なことであり、今年は特にそう言える。ジューンティーンスはブラック[米黒人]コミュニティにとって意義深い日であるし、いまこそこの日を公に祝福すべきだからだ」。

ただし、氏はその一方で、組織的人種差別への対応や批判的人種理論の教育など、「やるべきことはまだ山ほどある」ため、同日がいまだ「ほろ苦い」祝日であるとも認める。「[企業が6月19日を]祝日にするのはもちろん素晴らしいが、それで終わりにしてしまっては、意味がない。この流れを後押しするために、もっとできることはないのか? 公正を求めて戦い続けているこの国の人々をサポートするために、何ができるのか?」。

企業の祝福例

バズフィードでは、チーフピープルオフィサーのケイティ・シッター氏が「この日の意味と歴史的背景」を記した社内文書をスタッフに送付した。同文書には、多様な教育資源のほか、支援可能なローカルイベントや黒人経営企業、慈善団体へのリンクなど、従業員がこの日を祝福するための方法がいくつも記されていた。

一方、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムズ、ヴァイスなどは今年、6月19日を全社的祝日にしていない。その代わりに、2020年または2021年中に従業員が自由に取れる有給休暇を追加提供した。これら企業の大半の広報は米DIGIDAYに対し、経営陣は「6月18日に休暇を取るよう、スタッフに勧めている」と語った。

ニューヨーク・タイムズ社は昨年、同社広報によれば、「オブザーヴァンス・フレックス・デイ(Observance Flex Day)」と称する有給休暇を追加提供し、ジューンティーンス、インディジナス・ピープルズ・デイ(Indigenous Peoples’ Day:先住民の日)、ベテランズ・デイ(Veterans Day:復員軍人の日)、「または従業員個々にとって重要な日」に取得できるようにした。

ワシントン・ポストは昨年6月に発表したダイバーシティ&インクルージョン(多様性および包括性)を推進する姿勢の一環として、全従業員に年間2日の休暇を追加提供しており、同社広報によれば、これは文化的、宗教的、または「個人的に重要な」日に「自由に取得できる」という。同社は今年もこれを実施している。ヴァイスも同じく、今年、従業員が自由に取れる有給休暇を2日間追加提供した。同社は6月16日に人事部が送信した全従業員宛ての社内文書において、米社員に対し、そのうち1日を18日(金)に取り、ジューンティーンスを祝福するよう促した。

ロサンゼルス・タイムズは昨年、ジューンティーンスを全社的な休日にしなかった。その代わりに、昨年夏、2021年に取得できる有給休暇として「文化的休日」の追加提供を発表しており、従業員にはそれをジューンティーンスか、または「個人的に重要な」別の日を祝うために「使用するよう奨励している」と、同社広報は述べた。

「従業員それぞれにとってもっとも重要な日を休みにできる、フレキシブルな文化的休日という制度をロサンゼルス・タイムズが設けたことは、非常に意義深いと思う」と、同紙スポーツ部副編集長イリアナ・リモン・ロメロ氏は語る。「我々のニュースルームは多文化的であり、ロサンゼルスという街をより深く反映するため、その点は今後も積極的に維持していく必要がある。それはつまり、スタッフ個々にとって重要な日を祝日にすることを意味する」。氏はまた、「こうした姿勢について、ジューンティーンスを重要視していない証拠と受け止める向きもあるかもしれないが」と認める一方、同紙スポーツ部内だけでも、その文化的休日をジューンティーンス、シーザー・チャベス・デー(César Chávez Day:農業労働者の権利を求めた活動家チャベス氏の功績を讃える祝日)、そしてイド・アル=フィトル(Eid al-Fitr:イスラム教の祝日)に取る者がおり、それは同部署の多様性の反映にほかならないと指摘する。

ほかの祝福の形

メディア企業勢はほかにも、さまざまな形で6月19日を祝う姿勢を打ち出している。たとえば、ザ・ルートはジューンティーンスをテーマにした特集を組み、『オン・ジューンティーンス(On Juneteenth)』の著者アネット・ゴードン=リード氏が同祝日の意味を説明する動画などを公開している。また、グループ・ナインの米黒人社員をサポートする従業員リソース・グループERGは、ジューンティーンスを祝福するハッピーアワーを催すとともに、同社傘下のナウディス(NowThis)、ポップシュガー(PopSugar)、スリリスト(Thrillist)はいずれも、ジューンティーンスを取り上げたさまざまなコンテンツを配信している。

ニューヨーク・タイムズは6月17日の夜、ジューンティーンスを祝福するバーチャルイベントを開催した。同社は2021年2月から、米黒人文化における重要な出来事や人々を探究する目的で、マルチメディアで展開するシリーズ企画ブラック・ヒストリー・コンティニュード(Black History Continued)を始めており、これはその一環でもある。

ヴォックス・メディアのDEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)チームと米黒人従業員をサポートするERGおよびその支援者らは、社内および社外向けイベントを主催し、反人種差別主義に関する各種リソースを共有している。それらの催しには、『オン・ジューンティーンス』にフォーカスした社内ブッククラブや、イブラム・X・ケンディ博士を招いてジューンティーンスについて議論したポッドキャスト、ヴォックス・カンバーセーションズ(Vox Conversations)のライブ録音などがある。

ワシントン・ポストはライブイベントシリーズ「レイス・イン・アメリカ:ヒストリー・マターズ(Race in America: History Matters)」を催し、ジューンティーンスの意義、1921年に起きたタルサ人種虐殺、人種間の富の格差が米黒人コミュニティに及ぼす影響などを議題とした。さらに、同社は17日、米国における奴隷解放の進展をアーカイブ写真や人々の回想、自社の記事へのリンクとともに辿るインタラクティブパッケージを配信した。

前出のロメロ氏によれば、ロサンゼルス・タイムズの社会部、政治部、論説委員、芸能部、スポーツ部は6月第3週、ジューンティースに関するさまざまな記事や解説を発信している。それらの記事/解説は、6月19日の連邦祝日化の背景、市民が参加できるジューンティーンス関連イベント、この日の意義について議論するロサンゼルスの著名人の紹介など、多岐にわたる。また、コンデ・ナスト・トラヴェラー(Condé Nast Traveler)からボナペティ(Bon Appétit)に至るまで、コンデ・ナストのパブリッシャー勢もジューンティ-ンスにフォーカスし、「今年のジューンティーンスでは、テキサス州ヒューストンの活動家らが同市の黒人史に光を当てる」といった記事や、祝日にふさわしいドリンクのレシピなど、硬軟織り交ぜた記事を配信している。

[原文:How publishers are handling the Juneteenth holiday this year

SARA GUAGLIONE(翻訳:SI Japan、編集:長田真)
Illustration by IVY LIU

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