中古マンションの売却においては、具体的な方法やコツを押さえたうえで計画的に準備することが大切です。
納得のいく価格で売却するためには、不動産会社だけに任せきりにしてしまうのではなく、自分でもできることを進めていく必要があるのです。
今回は中古マンション売却の手順と必要な費用、主な注意点について解説します。
どのくらいの期間が必要? 中古マンション売却までの流れ
不動産の売却においては、まずいつからスタートを切るべきか、おおまかなタイミングを把握しておくことが大切となります。
ここでは、中古マンション売却までの流れと期間の目安について見ていきましょう。
ステップ1:売却前の準備
スムーズに売却を行うためには、下準備を丁寧に進めることが大切です。売却前にはまず、中古マンションの査定を行い、おおまかな売り出し価格を決定することからスタートします。
その後、仲介を依頼する不動産会社を見つけ、媒介契約を結ぶと売却活動が始まります。
ステップ2:売却活動と売買契約の締結
売却活動は、広告掲載や購入希望者の募集といった過程を経ながら、不動産会社が中心となって営業活動を進めていくのが一般的な流れです。その後、購入希望者が見つかると、内覧を行ってもらい、さらに物件の具体的な状態を確認する段階へ入ります。
スムーズに買い手が見つかれば、細かな条件を固めながら、双方合意のうえで売買契約を締結します。契約のタイミングでは、専門家の立ち会いのもと、買主と売主が不動産会社に集まって手続きを進めるのが一般的です。
主な手続きとしては、重要事項説明、契約書の取り交わし、手付金の受領や仲介手数料の支払いが挙げられます。
ステップ3:引き渡し
売買契約を結んでからは、買主のローン審査通過を確認したうえで、売却代金の決済、物件の引き渡しとなります。引き渡しのタイミングでも、所有権の移転登記などを行う必要があるため、司法書士などの専門家が立ち合うのが一般的です。
すべての手続きがスムーズに進んだとしても、下準備から引き渡しまでは目安として6ヶ月程度かかります。手順を逆算しながら、時間のゆとりを十分持てるようにスタートを切りましょう。
マンション売却の第一歩! 売却価格を決めるポイント
売却活動においては、適切な売却価格の設定が成功のカギを握っています。ここでは、売却価格を決めるポイントや相場を調べる方法について詳しく見ていきましょう。
売却額に影響を与える3つのポイント
マンションの売却価格を決めるポイントは、「一般的要因」「地域要因」「個別的要因」の3つがあります。
一般的要因とは、政治や経済の動向、法制度の変化、人口の推移、税制の動きなどです。
地域要因とは、地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格形成に強い影響を与える要因のこと。用途地域、駅や商業施設までのアクセス、街路の幅員などさまざまなポイントがあります。
個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因のこと。具体的に、土地については地積や形状、地勢など、建物については面積や築年数、設備、管理状態などが挙げられます。
売却価格の相場を調べる方法
おおまかな売却価格の相場は、インターネットなどを使い、自分で調べることもできます。
たとえば、LIFULL HOME’Sの「プライスマップ」では、マンション名や住所、駅名などを入力し、取引されている参考価格を簡単にチェックすることができるのです。また、広さや築年数といった個別的要因に合わせて、さらに細かな価格を調べることもできます。
マンションの売却にかかる費用と税金
売却の計画を立てる際には、必要な費用についても目を向けておく必要があります。ここでは、マンションの売却にかかる費用と税金について解説していきます。
仲介手数料
マンションを売却するうえで、もっとも大きなコストとなるのは「仲介手数料」です。仲介手数料は、売却を仲介した不動産会社に成功報酬として支払う費用のことであり、宅地建物取引業法(宅建業法)によって上限が定められています。
上限の計算式は、「売却価格×3%+6万円+消費税」(売却価格が400万円を超える場合)です。たとえば、3,000万円で売却できたときには、「3,000万円×0.03+6万円+消費税(10%)=105万6,000円」となります。
ただ、これはあくまでも上限であり、不動産会社との契約により金額を下げることも可能です。
印紙税
売買契約を結んだときには、取引価格に応じて以下のとおり印紙税がかかります。
契約書などに記載された金額 |
印紙税額(印紙代) |
---|---|
100万円を超え500万円以下のもの |
2,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの |
1万円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの |
2万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの |
6万円 |
1億円を超え5億円以下のもの |
10万円 |
出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
仮に、1,000万~5,000万円の取引の場合では、通常2万円の負担が発生するものの、2022年3月末までは以下のように、印紙税の軽減措置が設けられており、1万円に軽減されます。
契約書などに記載された金額 |
印紙税額(印紙代) |
---|---|
100万円を超え500万円以下のもの |
1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの |
5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの |
1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの |
3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの |
6万円 |
2021年5月時点の情報です。国税庁のホームページや不動産会社など、最新の情報をご確認ください。
ハウスクリーニング・メンテナンス費用
売り手をスムーズに見つけるためには、内見に備えて掃除やメンテナンスを行う必要があります。クリーニングの費用は状況や箇所によっても異なるものの、5~10万円程度が目安です。
また、リフォームを行う際の費用は、規模や導入する設備のグレードによって幅が生まれます。クロスの交換は数万円程度、水回りの交換は数十万円程度が一般的であるものの、大がかりなものであれば数百万円かかる場合もあります。
必ずしも売却によって支払ったコストを回収できるとは限らないため、売却価格や需要とのバランスを考慮しながら慎重に検討しましょう。
オーバーローンに注意! 住宅ローンが残っているときの注意点
住宅ローンが残った状態でも、マンションを売却すること自体は可能です。しかし、売却するときには、いくつか注意しておかなければならないポイントがあるのです。
住宅ローンを残したまま売却できる条件
住宅ローンが残っている間は、融資を行った金融機関に抵当権があるため、自由に売却できません。売却するためには、手持ちの資金で残債を完済し、抵当権を抹消しなければならないのです。
ただ、手持ち資金が不足していても、売却代金によってローンを完済することができれば問題はありません。この状態は「アンダーローン」と呼ばれています。
オーバーローンの解消方法
アンダーローンと異なり、売却代金でもローン残債を支払えない状態を「オーバーローン」と呼びます。この場合は、何らかの形で差額を補わなければなりません。
たとえば、売却をして住み替えを行う場合は、「住み替えローン」を利用して負債をまとめてしまうといった方法があります。これまでのローンと新居のローンをまとめることで、旧居の抵当権を抹消してもらうのです。
ただ、この方法では新たに負債が生まれてしまうため、デメリットもあります。そのため、売却価格を設定する際には、オーバーローンにならないように意識しておくことが重要です。
住宅ローンの完済手数料
返済途中で一括返済するときには、場合によって5,000円~3万円程度の手数料がかかることがあります。また、抵当権を抹消する際には、登録免許税が1,000円程度、司法書士報酬が3万円程度必要となります。
中古マンションを高く売るためのコツ
マンションの売却時には、オーバーローンなどのリスクを避けるためにも、できるだけ高く購入してくれる買い手を見つけたいものです。ここでは、中古のマンションを高く売るためのコツを紹介していきます。
査定依頼サービスを利用して不動産会社選びをする
これまでにも見てきたように、売却を成功させるひとつのカギは、適切な売り出し価格の設定にあります。そのためには、自分で相場を調べるとともに、信頼できる不動産会社を見極めて専門家の手を借りるのがもっとも近道です。
しかし、不動産会社ごとに得意分野は異なるため、信頼できる会社を見つけるのが難しいケースもあります。また、複数の会社に査定を依頼しながら比較したいと感じていても、そのたびに物件の情報を入力するのは手間がかかってしまう面もあります。
そんなときは、一括査定サービスを利用すれば、一度の入力で複数の会社に査定依頼が行えるので便利です。
LIFULL HOME’Sの「売却査定」では、売却する物件の特徴や売主の事情に合わせて、全国2,672社の不動産会社へつなぐサービスを無料で行っています。それぞれの特徴や強みがまとめて掲載されているので、依頼先を比べたいときに便利です。
自分に合った契約形態を選ぶ
不動産会社との媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。それぞれの主な特徴は以下の表のとおりです。
一般媒介契約 |
専任媒介契約 |
専属専任媒介契約 |
|
---|---|---|---|
複数の会社との契約 |
可 |
不可 |
不可 |
売主の自己取引 |
可 |
可 |
不可 |
契約有効期間 |
制限なし |
3ヶ月以内 |
3ヶ月以内 |
依頼者への業務報告 |
任意 |
2週間に1回以上 |
1週間に1回以上 |
レインズへの登録義務 |
任意 |
7営業日以内 |
5営業日以内 |
これらの特徴からも分かるとおり、一般媒介契約は依頼者と仲介者ともに、もっとも制限が課されない形態だといえます。一方、専任媒介契約や専属専任媒介契約は依頼先が1社に絞られる分、より綿密に販売計画を考えてくれやすい面があります。
こうした特徴を基に、それぞれのメリットとデメリットを比較しながら検討することが大切です。
一般媒介契約 |
専任媒介契約、専属専任媒介契約 |
|
---|---|---|
メリット |
・複数の会社との契約が可能 ・広範囲で買い手を探せる |
・不動産会社が親身になってくれやすい ・買い手が見つかりやすい |
デメリット |
・買い手探しに時間がかかるケースもある |
・依頼先が1社に絞られるため、より見極めの重要性が高い |
むやみな値下げは避ける
買い手の立場から考えれば、価格が安いほうが購入意欲は高まりやすいのが当然だといえます。しかし、買い手を見つけるために安易な値下げをしてしまうと、マンションの取得費や修繕費に見合わない契約金額となる場合も少なくありません。
そのため、事前に値下げの限度額を決めておくことが重要です。相場をしっかりとつかんだうえで、「ここまでなら損をしない」といったラインを把握すれば交渉をスムーズに進めていけるのです。
マンション売却の手順とコツを押さえて納得のいく価格で契約しよう
- 売却の手順は準備、売却活動、引き渡しの3つに分けられる
- しっかりと買い手を見極めるためにも6ヶ月以上のゆとりを持つことが望ましい
- 相場を把握したうえで、適切な売り出し価格の設定を行うことが重要
- 住宅ローンが残っている場合にはオーバーローンに注意
- 売却における不動産会社選びにはLIFULL HOME’Sの売却査定サービスが便利
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