注文住宅の見積書には、建物の工事費などのほかに、「諸経費」という項目が記載されるのが一般的です。見積書の内容を正しく把握するうえでは、諸経費の詳しい内容についても理解しておく必要があります。
今回は諸経費の内訳や相場を解説しながら、見積書をチェックする際のポイントも紹介します。
「諸経費」と「諸費用」の違い
注文住宅を建てる際には、「諸経費」と「諸費用」のどちらも発生します。言葉が似ていることから、内容も混同されやすいのですが、指している内容には大きな違いがあります。
諸経費は、建物を建てる際に手続き上、必ずかかる費用を指します。たとえば設計費用や建築確認申請費用、請負契約の印紙代などを指します。かけないと建物を建てられない費用といえます。
一方、諸費用とは、建物を建てるうえで必要なコストを広く捉えたものであり、住宅ローン手数料や建物の保存登記費用、地鎮祭などの費用、広義では引越し費用や近所へのあいさつ回りに関するコストなども含まれます。
使い道が明確であり、その都度用意しなければならないお金でもあるため、一般的にはイメージされやすい費用だといえます。
諸経費については、実際に支払う金額は大きなものとなるため、事前に内訳や相場を知っておくことも大切です。ここでは、諸経費についてもう少し詳しく見ていくことにします。
諸経費の種類と内訳
諸経費には大きく分けて「現場経費」と「一般管理費」の2つがあります。ここでは、それぞれの具体的な内容について見ていきましょう。
現場経費
現場経費とは、その現場で建物を完成させるために必要な費用のことです。作業人員の労務管理費、保険料、福利厚生費、事務用品費など、現場を運営していくうえでかかるコストが組み込まれています。
一般管理費
一般管理費とは、会社を運営していくうえで必要な経費のうち、各現場が一定の割合で負担しているコストのことです。具体的には広告宣伝費、事務所家賃、交通費、通信費、租税公課などが含まれます。
以上のように、費用の項目があまりにも多いため、見積書では「諸経費」としてひとまとめにされるのが一般的です。
諸経費の相場
具体的な内訳で確認したように、諸経費には建築会社自体を運営していくためのコストといった側面があり、住宅を建てる人にはあまり関係がないと感じられる場合もあるでしょう。
また、諸経費には具体的な金額の決まりがないため、相場が気になるところでもあります。ここでは、諸経費の相場について見ていきましょう。
施工費の5%程度が相場
諸経費は施工全体の5%程度が相場とされています。しかし、事情によっては20%程度の諸経費を組んでいることもあり、会社ごとにバラつきがあります。
そのため、諸経費の内容について気になる点があれば、遠慮をせずに質問することが大切となります。なお、諸経費については、交渉によって安くできることもあります。
ただ、諸経費には写真代や現場管理者の管理費など、きちんと施工を行ううえで欠かせない費用も含まれている点に注意しましょう。一概に諸経費が安いほうがいいというわけではないため、慎重な相談と交渉が重要となります。
注文住宅の見積書に関する基礎知識とチェックのポイント
諸経費はあくまでも建築費用の一部であるため、見積書を正しく読み解くためには、全体を通して基礎知識を押さえておく必要があります。
ここでは、見積書に関して知っておくべきポイントと、チェックする際のポイントを見ていきましょう。
見積書の種類と違い
見積書には「概算見積もり」と「詳細見積もり」の2種類があります。
概算見積もりとは、おおまかなプランに基づいて計算するものであり、複数の会社をまとめて比較する際などに使用されます。
詳細見積もりとは、実際に打ち合わせを進めた後に、細かなプランや仕様に基づいて計算する方法です。
概算見積もりの段階では、依頼者の意向が正確に反映されるわけではないため、実際のコストとはズレが生じるケースも少なくありません。
多くの場合は、概算見積もりよりも実際のコストのほうが高くなる点に注意しておきましょう。
見積書の内訳
見積書の内訳は大きく「本体工事費」「付帯工事費」「諸経費」の3つに分かれます。
本体工事費とは、住宅そのものを建てるためのコストであり、基礎や構造、基本的な設備、施工にあたる人件費などをまとめたものです。
付帯工事費とは、屋外の給排水工事、ガス工事、地盤改良などの費用です。
一般的な相場は、注文住宅の建築費用のうち、本体工事費が7割、付帯工事費が2割、諸経費が1割程度とされています。
見積書をチェックする際のポイント
具体的な打ち合わせが済むまでは、基本的に概算見積もりで比較することとなります。しかし、施工を依頼する前には必ず必要項目をすべて計上してもらい、詳細見積書を確認しましょう。
また、見積書のなかには「一式」や「一箇所」となっている項目があります。これは内容が複雑になってしまうのを避けるために、複数の内容がまとめて記載されるケースです。
項目のなかで一式表記があまりにも多い場合や、細かな内容について気になった場合には、なるべく早い段階で疑問点を解消しておくことが大切です。
良い施工会社を選ぶために必ず相見積もりをとろう
信頼できる施工会社を見極めるためには、必ず相見積もりをとりましょう。
はじめから1社に絞ろうとすると、どうしても相場などの判断基準が定まらず、その会社が本当に適しているのかどうかを見分けるのは難しくなってしまいます。
複数の会社で見積もりを出してもらい、ていねいに比較していくなかで、金額や施工内容の妥当性を判断できるようになるのです。ここでは、相見積もりを行う際のポイントについて解説します。
相見積もりを行う際のポイント
相見積もりは一括見積もりサービスなどを利用して、まとめて依頼するほうが便利です。そのうえで、相見積もりを行う際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
ポイント
- 同じ条件にそろえて依頼する
- 比較をするなら2~3社がベスト
- 金額以外の内容にも目を向ける
依頼するときには、必ず同じ条件にそろえて行いましょう。また、一度に多くの会社を見比べようとするよりも、じっくりと時間をかけて、見積もり内容をていねいに把握するのがコツです。
たとえば、設備のグレードがほかよりも高くなっていることで、金額に差が生まれているといったケースも考えられます。そのため、単純に金額を比較するのではなく、細かな内容にも注目しながら、比較検討しましょう。
施工会社選びに迷ったら「住まいの窓口」を利用してみよう
注文住宅においては、どの施工会社に依頼するかが成功を左右する重要なポイントとなります。
会社選びに迷ってしまったときには、LIFULL HOME’Sの「住まいの窓口」を活用してみるのもひとつの方法です。
「住まいの窓口」なら、家を建てる前に抱きやすい悩みに、ハウジングアドバイザーが無料で何度でも相談に乗ってくれます。
特定のハウスメーカーや工務店に限らず、約80社の厳選された会社のなかから、中立の立場で適したところを紹介してもらえます。
また、「住まいの窓口」では、家づくりに関する専門家監修の講座も無料で取り扱っています。
なかでも、「理想の家を建てるためのパートナー選び『ハウスメーカーVS工務店』」は、ハウスメーカーと工務店の違いや、施工会社選びのコツを分かりやすく学べる講座です。
すべてのサービスを無料で利用できるので、納得のいく家づくりを行う第一歩として活用してみてください。
まとめ
- 諸経費は建築工事を行う際にかかる費用であり、あらかじめ建築費用に組み込まれているケースも多い
- 諸経費は現場の完成に必要な「現場経費」と会社の運営に必要な「一般管理費」に分けられる
- 諸経費の相場は施工費の5%程度とされているものの、会社によってバラつきがある
- 諸経費の内容とともに、見積書の種類やチェックポイントも押さえることが大切
- 2~3社に相見積もりを行い、内容を細かく確かめながら比較検討することが重要
からの記事と詳細 ( 【ホームズ】注文住宅の見積書にある「諸経費」とは? 相場から内訳まで解説 | 住まいのお役立ち情報 - LIFULL HOME'S(ライフルホームズ) )
https://ift.tt/3w9QeOP
No comments:
Post a Comment