国内の製薬各社が新型コロナウイルス治療薬の開発を加速させている。世界中でワクチン接種は進んでいるものの、コロナ禍以前の日常を取り戻すには、様々な症状に対応した治療薬が不可欠だ。海外勢にはワクチンの実用化で先行されており、巻き返しを図る。
厚生労働省が現在、新型コロナ治療薬として承認しているのはウイルスの増殖や炎症を抑える3品目だけだ。薬の種類が増えれば、患者の症状や副作用の可能性などに応じた処方の選択肢が広がり、治療効果の改善が期待できる。
政府は2020年度補正予算で、製薬会社が国内で実施する治療薬の臨床試験(治験)を支援するために、70億円を計上している。
支援対象の一つに選ばれたのが、6月末に中外製薬が厚労省に承認申請した「抗体カクテル療法」と呼ばれる点滴薬だ。米リジェネロンが開発し、米国では緊急使用許可を得ている。海外の治験では、入院や死亡のリスクを7割減らす効果が確認されたという。
中外製薬はほかにも、幅広い症状に対応できる飲み薬の治験を進めている。自社開発した関節リウマチ治療薬「アクテムラ」を新型コロナ向けに転用できるよう、年内にも国内で承認申請する方針だ。
治験は開始していないが、開発に乗り出すメーカーは相次いでいる。
塩野義製薬は、体内のウイルス量を減らせる飲み薬の製品化に力を注ぐ。木山竜一・医薬研究本部長は「近く治験を始め、インフルエンザ薬のように服用開始から数日以内にウイルスが消失する薬にしたい」と話す。
再生医療を応用した薬の実用化を目指すのが、日本トリムの関連会社ヒューマンライフコードだ。へその緒に含まれる幹細胞を使って、肺組織の炎症を抑え、修復を助ける薬を開発しており、重症者に多くみられる「急性呼吸窮迫症候群(ARDS)」の治療に使うことを想定している。原田雅充社長は「重症者が減れば、病床の
ウイルスの遺伝子解析や病状の解明が進み、治療薬の開発スピードは上がっているものの、実用化は簡単ではない。小野薬品工業は、慢性
国内勢は「治療薬はどこよりも早く提供したい」(塩野義の木山氏)との意向を示すが、ワクチンで先行している海外勢も治療薬に力を入れる。例えば、米メルクやファイザー、スイスのノバルティスがそれぞれ感染初期の患者を対象にした抗ウイルス薬の製品化を急いでいる。治療薬開発の成否は、日本の製薬業界の国際競争力も左右しそうだ。
からの記事と詳細 ( コロナ治療薬、国内会社が開発加速…ワクチンの遅れ巻き返しへ - 読売新聞 )
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