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Tuesday, July 20, 2021

「熱中症」をラーメンで予防することは可能なのか?(山路力也) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

熱中症を予防するために大事なこと

 梅雨が明けていよいよ夏本番。毎日のように真夏日や猛暑日が続く中で、気をつけなければならないのは「熱中症」である。熱中症とは「高温多湿な環境に長くいることで、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態」(厚生労働省)を指す。

 熱中症になると、目眩や立ちくらみ、頭痛、手足の痺れ、吐き気など、身体の状態が悪くなる。重症になると痙攣や意識消失などの症状も発症する。屋外のみならず、屋内であっても水分補給などが足りていないと症状を起こすことがある。常日頃から熱中症にならないように予防に努めることが重要だ。

 外に出る時は日陰を選んだり、常に水分補給したりと、なんとなく熱中症にならないために工夫されている方も多いだろうが、それでもラーメンを食べたい。ラーメンを食べて熱中症を防ぐことは出来ないだろうか。一見、ふざけているように思われるかも知れないが、大真面目に考えてみた。

「冷やし中華」酢と豚肉で疲労回復

『萬福』(東銀座)の「冷やし中華」は一年中提供されている。
『萬福』(東銀座)の「冷やし中華」は一年中提供されている。

 まずは夏メニューの定番中の定番「冷やし中華」。冷やし中華において、一番有効だと考えられるのがタレに使われている「酢」である。酢には酸味の主成分であるクエン酸が多く含まれているが、抗酸化作用が高いため細胞が活性化されて老廃物の排出も活発になり、代謝も良くなって血液の酸性化や乳酸の蓄積を抑えて血流改善にも役立つ。

 さらに脱水症状を改善するために必要なミネラルを吸収する上で、クエン酸は威力を発揮する。ミネラルなどは単体では吸収しづらいが、クエン酸の「キレート効果」によってクエン酸がミネラルを包み込んで結合してミネラルの吸収を助ける働きがあるため、ミネラルの吸収促進効果が期待出来る。

 また、具材のチャーシューやハムの材料である「豚肉」には、ビタミンB1が豊富に含まれている。ビタミンB1は水溶性物質のため、多量の汗と共に体の外に排出されやすいばかりか、必要時に備えて体内に蓄えておくことが難しい。近年の研究では、急激にビタミンB1が失われることにより神経系に不都合が生じてしまい、熱中症がより重症化しや

すいのではないかとも言われている(参考資料:「熱中症予防とビタミンB1」大分県勤労者医療生活協同組合)。

「チャーシュー麺」豚肉でビタミンB1補給を

『二代目博多だるま』(台場)の「肉盛りチャーシュー麺」は炙りトロ肉と薄切りチャーシューがたっぷり。
『二代目博多だるま』(台場)の「肉盛りチャーシュー麺」は炙りトロ肉と薄切りチャーシューがたっぷり。

 熱中症で注意すべきは汗をかくことによる脱水症状と、多量の汗や尿と共に体の外に排出されやすい水溶性ビタミン、ナトリウム、カリウムなどの不足だ。前述したようにビタミンB1は水溶性のため、意識して補充しておく必要がある。

 ビタミンB1は炭水化物に含まれる糖質をエネルギーに変えるとともに、老廃物の代謝を促進して疲労回復に役立つ。さらに食欲増進効果やアルコール分解効果も期待出来る。夏場で食があまり進まない人や、ビールなどをたくさん飲む人には必須のビタミンといえるだろう。

 食品の中で非常に多くビタミンB1を含んでいるのは「豚肉」だ。その中でも脂身の少ないヒレやモモだとより効果的に摂取出来る。ラーメンには必ずと言っていいほど豚肉を使ったチャーシューが乗っているが、夏場はチャーシュー麺を食べて積極的に豚肉を摂取してビタミンB1不足を補って欲しい。

「レモンラーメン」熱中症対策のエースを効率良く

『ねいろ屋』(荻窪)の「レモンラーメン」は瀬戸内産完熟レモンを使用している。
『ねいろ屋』(荻窪)の「レモンラーメン」は瀬戸内産完熟レモンを使用している。

 ビタミンCとクエン酸を豊富に含む「レモン」は、熱中症対策には欠かせない食材だ。ラーメンの世界ではレモンを使った「レモンラーメン」を出している店が少なくない。またつけ麺や夏の冷やしメニューなどにレモンをはじめとする柑橘類を使っているものもある。お店にレモンラーメンがあったら、夏場は真っ先に注文したいところだ。

 まずビタミンCは抗酸化作用が高いため、不足することにより疲労感や倦怠感が上がり、さらには食欲低下の原因にもなる。また免疫力を高める効果も期待出来るので、夏風邪などの防止にも役立つことが期待される。ビタミンCも水溶性ビタミンなので、流出が激しい夏場は積極的に摂取しておきたい。

 また前述した酢と同様にクエン酸も多く含まれているので、抗酸化作用とミネラル摂取の補助として有効だ。さらにレモンには汗と共に排出されやすいカリウムも含まれている。カリウムは筋肉の収縮を助ける働きがあるため、熱中症になった時に回復力を高める効果が期待出来る。カリウムはワカメなどの海藻類や、ホウレンソウなどの葉物野菜に多く含まれているので、トッピングなどで増量出来る場合は増やしてみるのも良いだろう。

 熱中症をラーメンで防ぐ。そもそもラーメンは塩分の高い料理なので、通常ならば塩分摂取過多を意識すべきだが、塩分が消失しがちな夏場は多少スープを多めに飲んでも良さそうだ。もちろん、前提としてはこまめな水分補給と体力温存が不可欠。その上で、普段よりもチャーシューや海藻、野菜などを増やして暑い夏を美味しく乗り切って欲しい。

※写真は筆者によるものです。

【参考資料:「熱中症予防のために」厚生労働省HP

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