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Wednesday, November 10, 2021

コロナ下「自分と会社が元気なうちに」事業承継の成約が過去最多 - 読売新聞

 新型コロナウイルスの影響で経済の先行きが不透明な中、事業を第三者らに売却・譲渡する「事業承継」が増えている。国が各都道府県に設置する「事業承継・引継ぎ支援センター」が昨年度に仲介した成約件数は1379件で過去最多。今年度もそれを上回るペースで増えており、高齢の経営者が会社を残し、従業員の雇用を守るため、「自分と会社が元気なうちに」と考えるケースが目立っている。(林尭志)

 「承継先が見つかるか不安もあったが、大切にしてきた店を信頼できる人に引き継げてよかった」。1995年に開店した佐賀市のラーメン店「一楽堂」の運営会社を売却した浅倉豊紀さん(72)は話す。

 浅倉さんは会社売却のため、「佐賀県事業承継・引継ぎ支援センター」(佐賀市)に登録。昨年10月、市内の不動産会社との間で成約に至った。

 一楽堂は黒字経営を維持してきた。ただ、コロナ禍による営業時間短縮要請もあり、昨年は売り上げが普段の半分になった月もあった。浅倉さんには家族を含めて後継者がおらず、体力の衰えも感じて売却を決めたが、従業員の雇用と長年地元で愛されてきた味を引き継いでもらうことを強く望んでいた。

 不動産会社社長の三好正洋さん(39)は、浅倉さんの思いに応えると同時に、女性や子どもを連れた親もより気軽に立ち寄れる店にしようと、古くなっていたトイレや看板などを改修し、期間限定のラーメンも提供。こうした取り組みの結果、先月の業績は、コロナ禍前の2019年10月と比べても、売り上げが約5%、利益が約20%増加した。

 独立行政法人「中小企業基盤整備機構」によると、昨年度に譲渡が決まった1379件を業種別でみると、製造業が23%でトップ。卸・小売業(18%)、建設工事業(13%)、飲食店・宿泊業(10%)と続く。譲渡により、約1万5000人の雇用が確保・維持されたことになるという。

 福岡県飯塚市の創業63年の和菓子店「ひろしま屋」。店主の岡本正之さん(94)は今年10月、同市の調理師斉藤昌子さん(48)に店を譲った。自らの高齢にコロナ禍が重なったが、店を引き継いだことで、20年以上、店で働いていた職人が仕事を失うことを免れた。斉藤さんは顧客や製造技術をそのまま受け継ぎ、当初の想定よりも出費を抑えて店を始めることができた。

 「店を持つ夢をかなえられた」と話す斉藤さんに、岡本さんは「目先の利益にとらわれず、常にお客様の喜ぶ顔を想像し、店を守っていってほしい」とエールを送る。

 民間信用調査会社「東京商工リサーチ」の担当者は「事業承継は会社を存続させるだけでなく、経営者の若返りで会社を発展させるチャンスにもなる」としている。

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