コロナ禍で飲食店からの持ち帰り需要が増える中、街中で目立ち始めてきたのが、ギョーザなどの食品を扱う冷凍自販機。三重県四日市市では、同県の養殖マダイ「伊勢まだい」やアワビの煮付けなど、飲食店の魚料理を購入できる自販機も登場した。店の味を家庭でより手軽に楽しんでもらい、売り上げを確保しつつ、地元食材の産地支援も狙っている。 (片山さゆみ)
お金を入れて商品を選択すると、真空パックに入って冷凍された料理が、缶ジュースのようにゴトンと落ちてくる。あとは家に帰り、パックを湯煎するだけ。おいしい魚料理が、二十四時間三百六十五日いつでも手軽に食べられる、とアピールする。
四日市市天カ須賀四の飲食店「竹寿司(たけずし)」は、十一月十四日から冷凍自販機を導入。扱っているのは伊勢まだいなどのほか、ブリ大根、サラダチキンなど九種類。水産加工会社とコラボしたアジのギョーザや、たこわさびも販売している。
昨年からの新型コロナの影響で、竹寿司の客足も減った。今年で創業四十五年を迎えた同店の三代目、加藤大志朗さん(33)は「創業以来、一番大変な状況。何か新しい試みをしないと、売り上げは落ちる一方」と危機感を募らせた。テークアウトの弁当を始めたり、会員制交流サイト(SNS)での発信を強化したり。
そんな中、営業時間外でも料理を販売できる冷凍自販機に目を付けた。設置費用は、外観デザインも含め約百六十万円という。
仕入れ業者から養殖漁業もコロナの打撃を受けていると聞き、伊勢まだいを使うことに。タイは旅館や料亭など高級店で使われることが多いが、旅行需要の低下や休業により納入先がなくなっていた。
加藤さんは「脂ののりが良く、身もしっかりしている。フードロス削減にもつながる」と考えた。煮付けは、県内メーカーのしょうゆやみりんを使い、甘めに仕上げた。半身でも二十センチ以上あり、四〜五人前の量で、三千五百円で販売している。
感染者が急激に減り、店内には客が戻りつつあるが、宴会利用はほぼなく、書き入れ時の忘年会シーズンも例年ほどの売り上げは見込めないという。「暗いニュースが多いが、地元のおいしい魚を食べて元気になってもらえたら。定期的にメニューを入れ替えつつPRを進めていきたい」と力を込めた。
コロナ禍で需要急増
竹寿司が導入したのは、東京の自販機メーカー大手「サンデン・リテールシステム」が開発した冷凍自販機「ど冷(ひ)えもん」。コロナ禍で飲食店からテークアウト商品などを店頭販売したいと要望があり、さまざまな大きさの商品を収納できる冷凍販売機として、今年一月末から発売した。
同社によると、緊急事態宣言が発令された五月の連休ごろから需要が急増し、一時は生産が追い付かないほどに。売り上げは今年上半期で千台を超え、設置は全国四十六都道府県に広がっているという。
東海地方では、冷凍ギョーザ販売が最も多く、次いでラーメン、精肉が続く。竹寿司のようにアワビの煮付けなど、高級食材の取り扱いも徐々に増えているという。同社の担当者は「営業時間外でも無人で販売できるという利便性や、あらゆる商品サイズに対応している点が需要にマッチしたのでは」と話している。
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