Pages

Monday, December 13, 2021

海の味「こんぶ飴」愛される柔らか食感の秘訣【工場探検隊】 - 岐阜新聞

北海道産の昆布に水飴などを加えて、ペースト状になるまで煮詰められるこんぶ飴=本巣市温井、浪速製菓

◆浪速製菓(岐阜県本巣市)

 だしをはじめ、日本人の食生活に欠かせない昆布。ミネラルや食物繊維が豊富で、海外でも日本食ブームとともに認知度が広がっている。懐かしい風味や磯の香りを手軽に味わえるのが浪速製菓おなじみの「こんぶ飴(あめ)」だ。1927年の創業時から基本的な作り方を変えていないことが、長年愛されている秘訣(ひけつ)でもある。地元銘菓の製造工程を見せてもらうと、こだわりが見て取れた。

 特徴の一つが原材料へのこだわり。味の決め手にもなる昆布は北海道産の天然もので、ブランドとして定着している日高昆布などを使用する。山田誠社長(59)は「日高昆布は柔らかく炊ける。加えて、うまみや風味も楽しめるので適している」と語る。途中で加えるでんぷんや砂糖も国産にこだわっている。

 製造作業は3日間にわたる。昆布を水で戻しながら表面をきれいにし、ペースト状になるまで煮込む。その後、水飴や砂糖、デンプンも加え、さらに数時間、攪拌(かくはん)機で練りながら炊き上げる。

 工場には八つの釜が整然と並んでおり、素人目にも練り具合で色が全く違うことが分かる。完成間近の釜のこんぶ飴は、色が濃い上に光沢があり、昆布独特の香りを強く感じられる。火を止めるタイミングを見極めるベテラン職人の目も自然と厳しくなる。山田社長は「こんぶ飴は食感が命。練る工程での粘度が肝になるが、季節によっても違う。そこが職人の腕の見せ所」と明かす。

 絶妙な粘度に仕上がったこんぶ飴は、自動工程に入る。特製の機械で棒状に押し出しながら、ベルトコンベヤーの上を進むと、その先にあるのが長い冷却機。数分かけて通過しながら冷やして固め、裁断機で一口サイズにカットする。心地よいリズムで裁断され、一つ一つがくっつかないよう表面にでんぷんがまぶされた。その後、人の目や機械を通した検品、袋詰めの工程を経て、出荷される。

 最盛期には1日の生産量約3トンを誇っていたが、菓子類の種類が豊富となる中で、下落傾向が続く。こんぶ飴もチョコレート味など多彩な味をそろえ、新たな購買層の掘り起こしにも余念がない。老舗を率いる3代目の山田社長は「90年以上愛され続けてきた味には自信がある。次代にも語り継いでいかなければ」と使命感を語った。

 【工場概要】1927年に大阪市中央区難波で浪速製菓合資会社として創業。戦時は工場を閉鎖するが、51年に岐阜市内で製造を再開し、60年にソフトこんぶ飴を発売した。現工場は87年に竣工(しゅんこう)し、現在は本社機能も移転した。敷地面積は約4900平方メートル。1日の生産量は約300キロ。本巣市温井。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 海の味「こんぶ飴」愛される柔らか食感の秘訣【工場探検隊】 - 岐阜新聞 )
https://ift.tt/3s4z6f0

No comments:

Post a Comment