Pages

Tuesday, January 11, 2022

100年以上続く遊覧舟下り、なくなる? 運営会社「お金がない」 - 朝日新聞デジタル

松下和彦

 信南交通(長野県飯田市)の中島一夫社長は11日記者会見を開き、「バス事業者として経営危機にある」と述べ、天竜舟下り事業から撤退する方針を示した。舟下りを引き継ぐ会社を探すなどしているが、金融機関と協議中の再建計画ではバス事業再生が最優先課題となっており、「猶予は3月まで」とした。

 同社のバス事業の売上高は、コロナ前の2019年9月期の26億3千万円から21年9月期には8億7千万円に激減。再建のため高速バスの不採算路線や路線バス、観光用バス(貸し切りバス)からの撤退提案も受けた。だが「通学の足や学校の教育旅行といった地域の公共インフラは維持したい」と中島社長。

信南交通社長「一度も黒字化したことがない」

 天竜舟下りは昭和20年代から40年代初めまで同社が運営。一時、吉川建設(同市)が株式会社化して運営したが、2011年に浜松市での川下り船の転覆事故の影響で乗客が激減、信南交通が買収し再運営してきた。コロナ禍での乗船定員減や冬季限定のこたつ船の運休のほか、夏のかき入れ時も大雨や渇水で運休が増えた。ピーク時は年間12万人の乗船客がいたが、2万人を割った。売上高4800万円に対し赤字が8千万円。「一度も黒字化したことがない」という。

 舟下り事業の受け皿となる会社探しは芳しくない。中島社長は「1社で無理なら行政を含めた地域でお金を出し合う」仕組みも選択肢に挙げ、継承には施設、要員面で協力する考えも示した。

 天竜川の遊覧舟下りは100年を超える歴史がある。天竜舟下りは船頭でもある船大工が木造和船を建造し、手こぎで急流を下る。伝統の技を含め、飯田市民俗文化財に指定されている。中島社長は「地域の観光にとっての重要性も理解している」としたが、「舟下りに投入するお金がない。力不足で大変申し訳ない」と述べた。(松下和彦)

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 100年以上続く遊覧舟下り、なくなる? 運営会社「お金がない」 - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/34IjsMR

No comments:

Post a Comment