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Sunday, January 16, 2022

ファンがどよめくFUNな一台 「マツダ・ロードスター990S」は買いなのか? - webCG

あっぱれな原点回帰

Sの面白いところは、「安くするためにひたすら省いたモデル」にはあらずということです。上位グレードに対して取り去られたものはトンネルブレースバーと呼ばれるフロア下の補強パネル、リアアンチロールバー、ノンスリ(リミテッドスリップデフ)、遮音材……と、これらで20kgの減量を果たして990kgと、1t切りの車重を実現。その車重に合わせ込んだレートのダンパーや電動パワステのセットアップが施されています。

「ワタナベさん、Sも乗ってみてくださいね。きっと、お好きな感じだと思いますから」

2015年、NDデビュー時の試乗会でそう声をかけてくれたのはマツダの梅津大輔さん。操安性能開発部でNCやNDの開発を手がけ、GVC(G-ベクタリングコントロール)の生みの親でもあるエンジニア……といえば、ご存じの方もいらっしゃることでしょう。どうやら拙が関わっていた媒体を目にしていて、「MGミジェット」に乗っていた過去や、ちったぁ旧車に明るそうだということを存じてくれていたようでした。

勧められるがままに乗ったSの印象はといえば、「上位グレードにも増してよく動くクルマ」というものでした。“動く”というのは多くのスポーツカーが唱える加減速や旋回でのアジリティーを指すのではなく、「踏んだ」「抜いた」だの「切った」「戻した」だのというドライバーの運転所作に応じての逐一の反応を指します。そこらの交差点をそろっと曲がるくらいの話でも、操作のアラがロールやダイブやスクワットとなって逐一現れる。そのあけすけぶりに笑いが込み上げるほどです。

「これをきれいに走らせるのは相当いい練習になりそうですね」と感想を伝えたら、梅津さんいわく、「Sは他グレードよりもNAっぽいテイストを狙ったんですよ」とのこと。なるほど、初代のロードスターって確かによく動くクルマだったよなぁと感心しました。

エンジンパワーの向上に引っ張られるようにタイヤの性能が上がり、そのグリップ力に負けないような体躯(たいく)や骨格を求めるとどうしても車重がかさむのでまたパワーを上乗せしタイヤも頑張り……と、そういうループを繰り返した揚げ句、あまたのスポーツカーは随分と大きく重くなってしまいました。NDはNAの時代を顧みることでこの悪循環を脱することができたのでしょう。ちなみに初代ロードスターの重量はエアコンの有無等の仕様差はあれど、おおむね950kg前後。30年後の990kgは奇跡のような数字ではないでしょうか。

「マツダ・ロードスター990S」のインテリア。トランスミッションは6段MTのみで、ATは設定されていない。
「マツダ・ロードスター990S」のインテリア。トランスミッションは6段MTのみで、ATは設定されていない。拡大
「ロードスター990S」のエアコン吹き出し口のベゼルは、ブルー/ピアノブラックでドレスアップされている。
「ロードスター990S」のエアコン吹き出し口のベゼルは、ブルー/ピアノブラックでドレスアップされている。拡大
「ロードスター990S」には、RAYS製の鍛造16インチアルミホイールが標準装備される。フロントには、ブレンボの大径ベンチレーテッドディスク&対向4ピストンキャリパーが備わる。
「ロードスター990S」には、RAYS製の鍛造16インチアルミホイールが標準装備される。フロントには、ブレンボの大径ベンチレーテッドディスク&対向4ピストンキャリパーが備わる。拡大
こちらは「ロードスター990S」用のディーラーオプション。ブルーステッチ/刺しゅう入りの専用フロアマット。
こちらは「ロードスター990S」用のディーラーオプション。ブルーステッチ/刺しゅう入りの専用フロアマット。拡大

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