Pages

Saturday, February 12, 2022

【読者会議】定番 自慢 わが家のこの味 - 朝日新聞デジタル

 受け継いできた味、試行錯誤してたどり着いた味、あの異国の味……。各家庭の食卓を彩る「おすすめ」の一品には、さまざまな思い出が詰まっています。あなたの自慢のメニューは?

皆が集った じいちゃんカレー

 神奈川県の野田まさえさん(82)の家の定番料理は、昨年10月に87歳で亡くなった夫のお手製のカレーだ。家族みんなの大好物。「今日は、じいちゃんカレーだよ」。まさえさんがこう呼びかけると、みんな我先にと集まってきたという。
 仕事のため、単身赴任での生活が長かった夫は、台所で料理をすることが苦にならない人だった。「魚をさばいたり、冬の寒い日には鍋を作ってくれたり……。この時代の人にしては、たくさん料理をしてくれたと思います」
 中でも「十八番」だったのが、豚ひき肉を使い、野菜をたっぷり入れたお手製のカレー。きちょうめんな性格だったこともあり、タマネギはあめ色になるまでじっくりと炒め、あくもこまめに取る。「野菜をたっぷり食べてほしい」との願いから、孫が好きだというナスは欠かさず入れ、トマトも皮を取ってじっくりと煮込んだ。最後に、コーヒーを少し加えるのが、味を決める隠し味だ。
 同居している孫のほか、近くに住んでいる孫も、この「おじいちゃんの味」が大好き。「そろそろ食べたいな」となると、自然とみんなが家に集まってきた。月に2回ほどあったという「じいちゃんカレー」の日には、総勢8人が食卓を囲み、にぎやかな時間を過ごしていたという。
 食べ盛りだった孫もおなかいっぱいになるよう、活躍したのはステンレス製の大きなずんどう鍋。「おかわりができるようにと、みんながそれぞれ『少なめ』によそうんです。そのあと、おかわりに立つ。そのときの、おじいちゃんのうれしそうな顔といったら……」。おかわりをする孫たちの姿を見て、すこしはにかむような笑顔が、今も忘れられない。
 夫が亡くなってから、まだみんながそろってカレーを食べる時間は作れていない。「材料も目分量だったし、同じものを作るのは難しいんです。でも、そろそろ私も『ばあちゃんカレー』に挑戦してみようかな」。夫が大好きだったみんなの笑顔を、もう一度食卓に集めたいと願っている。

(中井なつみ)

読者会議 我が家のおすすめ料理

亡夫の好物 孫の記憶にも

 3年前に他界した夫の好物だった「豆アジの唐揚げのあんかけ」。先日、わが家に遊びに来た孫が、「おばあちゃん、おじいちゃんの好きだったあの『アジの唐揚げ』作って」とリクエストしてくれました。面と向かって「おじいちゃんはこれが好きなのよ」とは伝えたことはなかったのですが、日頃の様子から好物と察し、それを覚えていてくれたのでしょう。うれしくて涙が出ました。いつでも出せるように、下ごしらえしたアジを冷凍庫に入れています。
(茨城県 小原エミさん 74歳)

ひらめきの3色混ぜごはん

 みじん切りにしたユズの皮と、ちりめんじゃこを炊きたてのごはんに混ぜる――。ごはんの白、ちりめんじゃこの淡いグレー、ユズの黄色と色合いがすばらしいのです。この料理を教えてくれた知人に聞いたところ、誰に教わったわけでもなく、本で読んだわけでもないと言います。じゃあどうしたのと聞くと、「ひらめいたの」とひとこと。どうしたら、彼女のように「ひらめき料理」が作れるようになるのでしょうか。
(神戸市 桶本いち子さん 98歳)

ブラジルでサバイバルめし

 10年ほど前、単身赴任先のブラジルで思いついた料理です。道ばたで手軽に買える鶏の丸焼きを手でちぎり、ニンジン、タマネギ、キノコ、米と一緒に炊くだけ。鶏の様々な部位の味が楽しめます。味付けに、顆粒(かりゅう)の「おでんの素」を入れるのがポイントでした。自宅から約40時間も離れた辺境の地。米の味が恋しいなぁと思う時によく作りました。独り身のサバイバル環境でこそなので、今食べたらおいしく感じるかどうか……。残念ながら、まだ家族にはふるまっていません。
(東京都 岡本和明さん 57歳)

 Reライフ面では月替わりのテーマで皆さんの意見や体験談をお寄せいただき、紙面で取り上げます。最新Reライフ面アンケートの詳細はこちらのページでご確認ください。
 回答を踏まえて記者が取材をお願いすることや、紙面だけでなくウェブページで回答を掲載する場合があります。あらかじめご了承ください。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 【読者会議】定番 自慢 わが家のこの味 - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/wsLfe4x

No comments:

Post a Comment