日本でアマゾンの対抗馬になるのはどこか。楽天グループの挫折を受けて、名前が挙がるのがソフトバンクグループだ。しかし、ソフトバンクグループの物流ビジネスにも暗雲が漂う。物流のキーマンがソフトバンクグループから抜けてしまったのだ。特集『物流危機』(全14回)の#5では、ソフトバンクグループの物流ビジネスの内情に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
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物流のキーマンが
ソフトバンクグループを去った
さまざまな企業の商品を購入者の家まで届ける国内物流網、つまり日本でラストワンマイルのインフラまで握る「物流プラットフォーマー」として大成する最右翼はどこなのか。
物流業界や小売業界の関係者で最も多い答えは「アマゾンジャパン」である。
インターネット通販の巨人であるアマゾンは近年、国内で宅配の王者であるヤマト運輸に頼り切ることをやめた。自社の物流拠点を増やすだけでなく、自前で配送網を構築して商品を届けるようになった。この物流インフラを遠からず他社にも広く提供することで稼ぐ会社になると見立てているのだ。
全世界的にアマゾンのビジネスを見ると、企業向けのクラウドサービスである「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」が利益を生む稼ぎ頭だ。ネット通販などのEC(電子商取引)事業のためにサーバーシステムを構築し、それをAWSに活用して外販を行って稼いでいる。EC事業そのものの設備投資コストがかさんでも、その設備を生かした別のサービスが高い利益を生む仕組みになっているのだ。
EC事業では、ラストワンマイルである購入者の家まで届けられるようにする物流網の構築にも巨額が投じられている。このインフラを他社に提供すれば、AWSと同様に物流が稼げるサービスとなり得る。最終消費者にリーチすることで顧客個人の購買傾向を得ることができるため、それが商品開発やニーズに合った商品の販促といったことにもつなげていける。
では、日本でアマゾンの対抗馬になるのはどこか。
楽天グループの挫折を受けて、名前が挙がるのがソフトバンクグループだ。コンサルティング会社のローランド・ベルガーで物流分野を手掛ける小野塚征志パートナーも、「業界をリードする可能性があるという点で、台風の目になる」と注目してきた。
ただ目下、ソフトバンクグループの物流ビジネスには暗雲が漂う。物流のキーマンがソフトバンクグループから抜けてしまったのだ。これを耳にした業界関係者は、彼に見切りを付けられたのであれば対抗馬になる芽は摘まれたのだろうと眉をひそめる。
ソフトバンクグループの物流ビジネスの内情はどうなっているのか。
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