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Saturday, March 5, 2022

クレジットカード会社から高級ブランドまで……ロシア国内での事業停止相次ぐ ウクライナ侵攻 - BBCニュース

Models walk in a Chanel fashion show in Moscow in 2018

画像提供, Getty Images

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、国際企業のロシア市場からの撤退が相次いでいる。5日には、クレジットカードの米ビザとマスターカード、オンライン決済のペイパルがロシアでの取引を停止すると発表した。シャネルやエルメス、ルイ・ヴィトン、プラダなどの高級ファッションブランドも5日までに次々と、ロシア内の店舗を一時閉鎖した。

米マスターカードは5日、ロシアの銀行とは取引を行わないと発表。また、ロシア国外で発行された同社カードは、ロシアの小売店やATMでは使えなくなる。

ビザも、今後数日以内にロシアでの取引を全て停止するとともに、ロシア国外の金融機関で発行されたビザカードも、ロシア国内で使えなくなると発表した。

ビザのアル・ケリー会長兼最高経営責任者(CEO)は、「この決定がロシアの同僚やクライアント、パートナー、小売店、カード利用者に与える影響を残念に思うが、この戦争と、平和と安定への脅威によって、我々は自分たちの価値観に従って動く必要が出てきた」と説明した。

ペイパルもロシアでの取引を停止するが、「一定の期間」は、口座からの出金を認めるとしている。ウクライナ政府はかねてペイパルに対し、ロシア市場から撤退するよう求めていた。

4日には、エルメス、シャネル、複数の高級ブランドを抱える仏ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー(LVMH)などが相次いで、ロシアの店舗を一時閉鎖すると発表した。ファストファッションのザラなどを手掛けるインディテックス(スペイン)も、6日からロシア国内の全502店舗を閉鎖する。

このほか、ロシアのスマートフォン市場で1位の韓国・サムスン電子も、「地政学的展開」を受けて輸出を停止した。米アップルやイケア(スウェーデン)、動画配信のネットフリックスなどが、すでにロシアでの事業を停止している。

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サムソン電子はロシアへの出荷を停止する見込みだが、店舗を閉鎖するかどうかは明らかになっていない。

ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相は4日、サムスン電子に対してロシアでのサービスや製品の提供を一時的にやめるよう要請。ツイッターに掲載した書簡で、「(サムスンの営業停止により)ロシアの若者や活動的な人々が、この不名誉な軍事的侵攻を止めるきっかけになるはずだ」と訴えていた。

サムスンは声明で、「この複雑な状況を積極的にモニタリングし、次の段階を決定する」と述べている。

People wait in line outside a Zara store in Nevsky Avenue, St Petersburg

画像提供, Getty Images

ザラやベルシュカなどのファッションブランドを抱えるインディテックスは6日から、ロシア国内の全502店舗を閉鎖。「現在の状況では、ロシア連邦での営業継続を保障できないため、一時的に営業課都度を停止する」と述べた。

これにより、9000人以上の従業員が影響を受けるという。インディテックスはBBCの取材に対し、従業員への支援計画を策定中だと話した。

フランスのエルメスや、カルティエを手掛けるリシュモン(スイス)は、他の高級ブランドに先駆けて、ロシアでの事業停止を発表した。エルメスは4日、「欧州での状況を深く懸念している」とコメントを発表した。

LVMHもこれに続き、6日から124店舗を閉鎖することを明らかにした。LVMHはルイ・ヴィトンのほか、クリスチャン・ディオールやジヴァンシィ、ブルガリなどを傘下に持つ。

シャネルはソーシャルメディア「リンクトイン」で、「現在の状況や先行き不透明感、事業継続の複雑さなどへの懸念が高まる中、同社はロシアでの事業を一時的に停止する」と発表した。

グッチやサンローランを傘下に持つ仏ケリングも、「欧州の現状への懸念が高まった」ことを受け、ロシアでの事業を停止。ケリングはロシアに2店舗を展開しており、ロシア国内の従業員は180人。

イタリアのプラダも5日、ロシアでの販売を停止すると発表した。

高級ブランドの対応と制裁の関係

高級ブランド各社は現在、西側諸国の政府がロシアに科している制裁の影響はほとんど受けていない。しかし制裁を受け、多くの企業がこの地域での事業継続や受注が難しくなっているのが現状だ。

こうした中、ウクライナの高級百貨店からは、西側の高級ブランドもロシアの侵攻に対して「立ち上がるべき」との声が出ている。

百貨店ツム・キーウのマーケティング主任、マルシャ・コヴァル氏はBBCの取材に対し、高級ブランドは「金銭的な利益より人道を取るべきだ」と指摘。一部のブランドはウクライナへの支援を約束しつつ、ロシアでの販売についてコメントを避けているところがあると述べた。

ウクライナではツム・キーウを含め多くの小売店が、ロシア軍が首都に迫っている状況で、店舗を閉鎖している。

コヴァル氏はファッション・高級品業界が「ロシアのブランドや店舗や小売業者に制裁を科して、ただちに反応してほしい」と話した。

バーンスタイン・リサーチのアナリスト、ルカ・ソルカ氏によると、多くの高級ブランドにとって、ロシア市場が世界売上高に占める割合は約2%。

ソルカ氏は、企業は「今後どうするかを考えるべきだ」と述べた一方で、制裁がロシア市場に影響を与える前に各社ができるだけ利益をあげようとしている「可能性」があると指摘した。

「ルーブルの価値が大きく下落する中、(ロシア国民には)その影響を和らげるために、高価な宝石類を買うという方法がある」

「これは下手な憶測などではなく、実際に起こっている可能性があることだ」

米カリフォルニア大学社会学科のエテル・ソーリンゲン教授は、高級品への制裁によって、ロシア政府の中枢に近い人々に影響を与えることができるかもしれないと話した。

「ロシアで高級品を買えるのは誰か、ということだ(中略)ロシアに対する制裁としては小さなものかもしれないが、不満を表明できる立場の層が標的になる」

ソーリンゲン教授はその上で、高級ブランドがウクライナ支援のコメントをSNSに投稿しつつ、ロシアで製品を売り続けるのは「偽善的」だと指摘した。

ロシアで事業を停止しているその他の国際企業(一部)

  • アップル(アメリカ)
  • イケア(スウェーデン)
  • ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M、スウェーデン)
  • ブーフー(イギリス)
  • ロールス・ロイス・モーター・カーズ(イギリス)
  • バーバリー(イギリス)
  • ジャガー・ランドローバー(JLR、イギリス)
  • ゼネラル・モータース(アメリカ)
  • アストン・マーティン(イギリス)
  • ネットフリックス(アメリカ)

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