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Thursday, March 31, 2022

参院75年の歴史と特徴は 「良識の府」、時に政局も【政界Web】:時事ドットコム - 時事通信ニュース

 第26回参院選まで残り約3カ月。参院は1947年に初めての選挙が行われてから今年で75年を迎える。衆院との違いや、参院議員の首相がいない理由など、参院の歴史と特徴を紹介する。(時事通信政治部 川上泰斗)

帝国憲法下では「貴族院」

 大日本帝国憲法の下で、「帝国議会」は衆院と貴族院からなる二院制を採用していた。衆院は選挙で議員を選ぶ一方、貴族院は皇族や華族が議員を務めた。

 日本が敗戦した1945年には、帝国憲法に代わる新たな憲法の制定過程で貴族院の在り方についても議論が行われた。政府が設置した「憲法問題調査委員会」では貴族院の後を継ぐ組織の名称を検討。「上院」「元老院」などが候補に上がる中、「『両議院』と呼べるような名称が良い」(松本烝治委員長)といった理由で参院と決まった。

 日本国憲法は46年11月3日に公布。翌47年4月に第1回参院選が行われ、参院は発足から今年で75年が経過した。

 ちなみに、「代議士」と呼ばれる国会議員は衆院議員だけだ。今では参院議員も国民を代表しており代議士と呼んでも良さそうなものだが、公選でない貴族院との対比で使われていた衆院議員の通称が今に続いているそうだ。

 国会開会式が参院本会議場で行われるのも貴族院時代の名残。もともと貴族院が使っていた参院の議場にのみ、開会式に出席する天皇陛下の席があるためだ。

過去には政局の舞台に

 参院議員の任期は6年で衆院の4年より長く、任期途中の解散もない。1988年、当時の参院議長の諮問を受けて設置された有識者による参院制度研究会は、参院の役割について「衆院に対する抑制・均衡・補完の機能を通じて国会審議を慎重にし、国会の機能を万全たらしめること」と定義した。参院が「良識の府」と呼ばれるゆえんと言える。

 ところが、衆参両院で第1党が異なる「ねじれ国会」が生じれば、参院はたちまち政局の舞台となる。与党自民党が惨敗した2007年参院選後の国会では、ガソリン税の暫定税率をめぐり与野党が激しく対立してガソリン価格が乱高下した。国会同意人事である日銀総裁ポストは戦後初めて空席となる政治的な混乱も発生。当時の福田康夫首相は事態を打開しようと、時の参院第1党、民主党との「大連立」を目指すも不調に終わった。

「押しボタン投票」は参院だけ

 参院だけに存在する制度が「押しボタン式投票」だ。その名の通り、採決の際に賛否をボタンで選択する方式で、1998年に参院本会議場に導入された。衆院にはボタン式投票はなく、記名投票や起立などで賛否を示す。

 参院事務局によると、押しボタン式投票が検討され始めたのは「昭和30年代の衆院」からだという。しかし、記名投票の際に意図的にゆっくり移動して抵抗を図る「牛歩戦術」を封じられるとして野党が反発したため、この時は見送られた。参院では昭和50年代後半に本格的な検討が始まったという。

 ただ、参院での記名投票がなくなったわけではない。参院規則では出席議員の5分の1以上の要求があれば記名投票を行うと規定。実際、2005年の郵政民営化法案をめぐる参院本会議の採決では、与党の要求で記名投票が行われた。

 押しボタン式投票をめぐって、こんな「事件」があった。民主党政権下の10年、自民党のある議員が、議場にいなかった隣の議員のボタンも押してしまう「二重投票」を行った。参院規則は「現に議場にいない議員は、表決に加わることができない」として代理投票を認めていない。この自民党議員は閣僚経験もあるベテランだったが、直後に議員辞職。辞職後の記者会見では「魔が差した」と語るばかりだった。

参院議員は首相になれない?

 昨年10月の衆院選で、自民党の林芳正氏(現外相)が参院から衆院に「くら替え」して当選した。林氏は参院当選5回で、防衛相や農林水産相などを歴任。そんな林氏が衆院にくら替えした理由は、将来の首相就任を目指しているからにほかならない。「参院議員は首相になれない」という定説があるためだ。

 これには首相の「解散権」が密接に関わっている。衆院解散は首相の専権事項とされ、解散すれば衆院議員は全員失職する。首相が衆院議員であれば、自分自身も次の選挙で当選するまで議員の立場を失う。首相が参院議員だった場合はどうか。解散を行えば衆院議員は職を失うのに、自分は参院議員だからクビになることはない。こうした「不公平感」もあって、これまで参院議員が首相に選ばれることはなかった。

 憲法67条は首相について「国会議員の中から国会の議決で、これを指名する」と定める。参院議員でも国会議員投票で首相に選ばれることは可能だが、これまでに参院議員が首相に就いた例はない。林氏はくら替え出馬を表明した昨年7月の記者会見で「(日本の)かじを握る資格を得なければならない」と、首相の座を目指す意思を鮮明にした。

 くら替えを足掛かりに宰相の座を目指す人物はほかにもいる。自民党の世耕弘成参院幹事長も3月のテレビ番組でくら替えの意思を問われ、「政治家となった以上、国のかじ取りをするトップの立場をやってみたい思いはある」と回答。林氏のくら替えにも触れ「そういうことも考えたい」と衆院転出の可能性に言及した。

 定数見直しにより、今年の参院選では半数の124議席と神奈川選挙区の欠員1を補充する選挙が行われるため、与野党が計125議席を争う。4月の石川選挙区補欠選挙の結果を考慮せずに計算すると、自民、公明両党の非改選議席は68あり、57議席取れば過半数の維持が可能だ。自民党の茂木敏充幹事長らは「非改選を含め与党で過半数」を勝敗ラインに据えるが、党内では「それでは不十分」との声も漏れる。新型コロナウイルス対策や混迷するウクライナ情勢に対する岸田政権の評価が問われる参院選。投開票は7月10日が有力視されている。

(2022年4月1日掲載)

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