悪意をもって近づいてくる人物を見極めるデューデリジェンスの重要性
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近づいてくる人物の腹の内に、悪意があるとは気づけなかったものなのか。全く注意していなかったわけではなかっただろうに、経営陣はなぜ道を見誤ってしまったのだろうか。医療ベンチャー「テラ」を舞台にした金融商品取引法違反事件を見ると、そんな疑問が頭をめぐる。
「資金調達をして差し上げよう」。こう言って企業に近づくブローカーが今、再び界隈で暗躍し始めている。企業のサイバーセキュリティ対策やリスクコンサルティングを担う「脅威分析研究所」の代表、高野聖玄氏が企業を巣くう悪質なブローカーたちの今を解説する。
(高野 聖玄:脅威分析研究所代表)
怪しげなブローカーに転がり込まれた「テラ」
怪しげなブローカーの介入を招き、食い物にされたあげく、破産や上場廃止にまで追い込まれていく。こうした類の経済事件が存在するのは昔から変わりませんが、直近でその最たる例と言えるのが、東大発医療ベンチャー「テラ」のケースでしょう。
テラの事件は、すでに新聞・テレビ・雑誌などで数多く報道されている通りです。
緊急事態宣言が発出された2020年春、テラは医療関連会社「セネジェニックス・ジャパン」と業務提携し、新型コロナウイルスの治療薬開発に向けてメキシコでの臨床研究を開始すると発表しました。その年の秋には、セネ社を割当先として約35億円分の第三者割当増資をすることも公表しましたが、これが実はセネ社にハメられていたというのがあらすじです。
首謀者とされるのが、セネ社の取締役だった竹森郁被告です。第三者割当増資を引き受けるだけの資金の調達見込みがないにもかかわらず、75億円の準備があるとテラ側に説明し、虚偽の公表をさせたとされています。
竹森被告は2022年2月、金融商品取引法違反(偽計取引)容疑で警視庁に逮捕されました。今月、東京地裁であった初公判では、検察側が「株価をつり上げて売却益を得たいと考えていた」と指摘しました。
テラがジャスダックの新興企業向け市場・NEOに上場したのは2009年です。当時はがん治療のベンチャーという立ち位置でした。しかし、その後の業績は順調とは言えず、経営陣が変わるうちに怪しげな人物の介入を許してしまい、虚偽の資金調達話を見抜くことができずに乗っかってしまったのです。テラは今年8月に破産、上場廃止となりました。
からの記事と詳細 ( 上場企業を巣くうモンスター「資金調達ブローカー」に狙われる会社 悪意をもって近づいてくる人物を見極めるデューデリジェンスの重要性(1/4) - JBpress )
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