社会生活を営むには当然一定のお金が必要である。生きていく上で大事なことはたくさんあり、お金が必ずしも全てではないが、重要な要素だということは間違いない。そのお金を稼ぐには様々な手段がある。会社に勤めて給料をもらう人もいれば、自分でビジネスを立ち上げる人もいる。
このお金を稼ぐという行動は、どうせ労力をかけるのならば、自分の気持ちも高まるような仕事やその方法であればもっとよい。これがやりがいと言われるような精神的なモチベーションである。
好きなことややりたいことを仕事にしていれば、常に気持ちを高めながらお金を稼ぐことができるし、何かに貢献しているということを評価や認識をしてもらうことで仕事に対する意識も変わってくるだろう。お金とやりがいのどちらを取るか、どのようなバランスにするかということは永遠のテーマである。
これについてどう考えるか。ここでは会社に勤めるということに限定して考えてみたい。私の世代より、今の若い世代の方が自分のやりたいことを仕事にしたいとか社会に貢献したいという気持ちが強くなってきている。お金だけでなく精神的なものもさらに大事であるという若い世代が多くなってきていると感じる。
それに対し、会社はどのように対応していけばよいのだろうか。ここで「よい会社」とは何かを考える必要があるが、何を「よい」とするかはそれぞれの会社で違っていてもちろんよい。ただ、会社というのは人の集合体であり、「人間」という視点が重要なのは間違いない。
根本的には働いている人に対しての視点を忘れてはいけないと思う。社員たちはこの会社に勤めて、いつもどう感じているのか。この会社にいることによって「何を得られているのか」などを改めて考えることが重要である。
私が考える「よい会社」とは「働いている人が少しでも成長を感じられる」会社ではないかと思う。会社は大きな器であり、その中で働いている人がそれぞれの目的ややりがいを感じながら仕事してもらえるようにしなければならない。逆に、会社は働いている人の個別の気持ちをあまり阻害するようなものであってはならないだろう。本人が会社にいることで1ミリでも成長しているという実感があればいいのではないか。
その成長を促進するために、会社はビジョンや組織や評価制度などを考えていく。もちろん売り上げを上げるために、自分たちが狙う市場や商品やサービスについて考えなければならないが、同時にそれと同じくらい働いている人に目を向けることが必要だ。働いている人たちに「この会社がいい」と選んでもらえることによって、仕事の品質も向上し、ビジネスもうまく回るというフィードバックループができてくるのだ。
[日経産業新聞2022年10月24日付]
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