政府が月内にもまとめる経済対策の財源を巡り、国民民主党が「外国為替資金特別会計(外為特会)の円建ての評価益を充ててはどうか」と政府に迫っています。「財布」として浮上した外為特会の仕組みと目的についてまとめました。(近藤統義)
A 特別会計とは国が特定の事業や資金運用を行うため、一般会計とは別枠で設けた会計です。財務省所管の外為特会は為替相場の急激な変動に対応するため、為替介入に用いる外貨資産を管理しています。
Q 規模はどれくらいですか。
A 9月末の外貨準備高は1兆2380億ドル(約180兆円)に上ります。このうち1兆ドル近くが米国債などの証券、残りが外国の中央銀行への預金などです。詳細な資産の内訳は公表されていません。
Q 為替介入の際、特会はどう使われますか。
A 急速な円安を食い止めるため、政府・日銀は9月22日、24年ぶりの円買いドル売り介入に踏み切り、今月も21日と24日に追加介入したとみられます。特会にあるドル資産を為替市場で売却し、円を買い入れる手法です。一方、円高是正では円売りドル買い介入を行います。
Q 米国は介入にどんな反応でしたか。
A 通貨の価値を変動させる為替介入には相手国の理解も必要です。日本が単独介入した9月は、米国側が「日本の行動を理解している」と表明し、市場での投機的な動きを阻止することで日米が一致しました。ただ、「介入は例外的な状況に限る」というのが米国の基本姿勢です。
Q 介入の効果はありましたか。
A 先月は1ドル=145円台が5円以上、今月21日には151円台が7円以上、円高に振れており、市場では一定の効果を認める声もありますが、円安基調は変わりません。日銀が金融緩和を続け、米国が利上げに突き進む限り、介入はドル高圧力が弱まるまでの時間稼ぎにとどまるとの指摘も出ています。
Q 特会は介入以外の目的でも使われますか。
A 保有する米国債などの利子収入は特会の利益(剰余金)となります。国の財政状況が厳しいため、剰余金の一部は一般会計に繰り入れています。
Q 国民民主は剰余金の活用を提案しているのですか。
A 違います。国民民主は現下の円安でドル資産の円換算の価値が大きく上昇しているとして、それを財源に充てるよう求めています。一方、政府は価値上昇はあくまで現時点の評価で売却して得た利益ではなく、円高になれば逆に評価損の恐れもあるため「評価益を一般会計に入れた事例は過去にない」(財務省)と否定的です。
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